米雇用統計 2021年6月4日(金)の結果と解説

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米労働省が2021年6月4日に発表した5月雇用統計の主な結果は、非農業部門雇用者数55.9万人増、失業率5.8%、平均時給30.33ドル(前月比+0.5%、前年比+2.0%)という内容であった。

5月の米非農業部門雇用者数は前月比55.9万人増と、前月の27.8万人増(26.6万人増から上方修正)から加速したが、市場予想(67.5万人増)には届かなかった。内訳では娯楽や外食関連の増加が目立った一方、建設や小売が小幅に減少した。非農業部門雇用者数の3カ月平均増加幅は54.1万人となり、回復は緩やかなものに留まった。

5月の米失業率は5.8%と市場予想(5.9%)を下回り、前月から0.3ポイント改善。フルタイムの就職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)も10.2%と、前月から0.2ポイント改善した。一方、労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は61.6%と前月から0.1ポイント低下し、市場予想(61.8%)を下回った。

5月の米平均時給は30.33ドルと、前月から0.15ドル増加して過去最高を更新。伸び率は前月比+0.5%、前年比+2.0%と、いずれも予想(+0.2%、+1.6%)を上回った。

米5月雇用統計は、非農業部門雇用者数こそ予想をやや下回ったが、失業率は予想以上に改善し、平均時給も予想を上回る伸びを示した。この結果だけを見ればそれなりに良好であったと言えそうだが、市場の受け止め方は違ったようだ。米5月雇用統計の発表後にドルは下落。米連邦準備制度理事会(FRB)は、量的緩和の段階的な縮小(テーパリング)に関する議論を当面棚上げするとの期待から、米国株と米国債は上昇(米国債利回りは低下)した。新型コロナウイルスワクチンの配布が進み、米経済活動が再開される中、市場は米5月雇用統計に対し、より良好な結果を期待していたと見られる。中でも、前日に発表された米5月ADP全国雇用者数が100万人近い伸びとなった事が期待値のハードルを上げてしまっていたと考えられる。そうした経緯はともかく、計算の上では、昨年のパンデミックで失われた2300万人の雇用のうち、依然として760万人が仕事に復帰していない。現在のペースでは年内にこれを全て回復するのは難しい事は間違いない。一方で、バイデン政権の失業給付上乗せ延長が足元の雇用回復を阻んでいる事も事実であろう。手厚い給付によって、雇い主が賃金を引き上げても労働力を確保できない様子が窺える。非農業部門雇用者数が予想ほど増えない一方、平均時給が予想以上に伸びているのはこのためとの見方が強い。いずれにせよ、今回の米5月雇用統計が米国景気減速の兆候を示したとは考えられない。FRBのテーパリング議論も棚上げされる公算は小さいだろう。

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米国 経済指標(失業率・非農業部門雇用者数)過去の推移

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