今は円高、円安どっち?覚え方をわかりやすく解説
円高とは円の価値が上がることを指し、円安は円の価値が下がることを指します。では、円高や円安になるとFXの相場にどのような影響を与えるのでしょうか?
本記事では、円高円安は具体的にどのようなものか、メリット・デメリット、FX相場に与える影響などについて、詳しく解説します。
円高・円安とは?をわかりやすく解説
FX取引をするときに覚えておきたいのは、通貨の価値は「相対評価」で決定されるという点です。
私たちが普段買うモノの価値は、それをいくらで買えるかで測られます。例えば100円で買えたパンの値段が110円に上がった場合、「パンの価値が上がった」と言えるでしょう。
通貨の場合、ある通貨Aを別の通貨Bと交換する際に、どれくらいの通貨Bと交換できるか(=為替レート)によって、通貨Aの価値を判断します。どの通貨と交換するかによってレートは異なるので、通貨の価値は別の通貨に対する相対的な価値となります。他の通貨に対する日本円の相対的な価値が上下するのが、円高や円安という現象です。
以下で円高・円安について詳しく紹介します。
円高とは?
円高とは文字通り日本円の価値が高くなることを表しています。例を挙げて具体的に見ていきましょう。
こちらの例ではある時点で100円を出せば1ドルを買えていたのが、その後50円を出せば1ドルを買えるようになったことを示しています。
さて、これは円高と円安どちらに動いたといえるのでしょうか。「100円から50円になったから円安では?」というのはよくある誤りで、正しい答えは円高です。
50円=1ドルということは、言い換えれば100円を出せば2ドルも買えるということになります。つまり100円=1ドルのときよりも同じ100円でドルをより多く買えることになり、それだけ円の価値が高くなった(=円高)といえるのです。
また、「ドル高・ドル安で言うとどちらなのか」から考える方法もあります。1ドルの価値が100円から50円になったということは、ドルの価値が下がったとも言えるので、ドル安になった状態です。
ドル/円の通貨ペアにおいて「ドル安と円高」、「ドル高と円安」は表裏一体です。円とドルを互いにいくらのレートで交換できるかということなので、ドルの価値が下がるということは相対的に円の価値が上がることであり、その逆も同様です。従って、「ドルの価値が下がった=ドル安」ということが判断できたら、逆に言えば円高であるという考え方ができます。
円安とは?
円安とは文字通り日本円の価値が低くなる(安くなる)ことを表しています。例を挙げて具体的に見ていきましょう。
こちらは100円を出せば1ドルを買えていたものの、その後200円を出さないと1ドルを買えなくなったということを示しています。
先ほどと同様に「100円から200円になったから円高」と考えるのは誤りで、正しい答えは円安になります。
200円=1ドルということは、言い換えると100円では0.5ドルしか買えないということになります。
100円=1ドルのときよりも買えるドルが少なくなってしまい、それだけ円の価値が安くなった(=円安)といえるのです。
また、「ドル高とドル安のどちらなのか」から考えるならば、1ドルの価値が100円から200円に上がっているので、この動きはドル高であり、逆に言うと円安であると判断できます。
円高・円安の覚え方
円高・円安の意味を理解しても、レートを見てすぐにどちらなのか判断するのは難しいかもしれません。初心者の方がレートからすぐに円高・円安を判断したい場合は、ドル/円などでは「円の数値が低くなれば円高、高くなれば円安」と覚えてしまうのもひとつの方法でしょう。
例えば1ドル=100円から1ドル=80円になった場合は「ドル安・円高」で、反対に1ドル=100円から1ドル=120円になる動きは「ドル高・円安」です。
相場を分析しながらFX取引を行っていく上では円高・円安の本質的な意味を理解することが重要ですが、慣れないうちはこのような覚え方を手がかりにする方法もあります。
円高と円安はどっちがいいの?
円高と円安の話題に関して、よくある疑問が「円高と円安、結局どっちがいいの?」というものです。
グローバル化が進む世界の国々と日本は、すでにモノとサービスの売買で切っても切れない深い関係にあります。自国通貨である円の価値の変動は海外製品のコストなどに直結するため、経済と暮らしに大きな影響を与えます。
円高と円安、それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
円高のメリット:輸入商品の価格が下がる
円高になると、円の価値が高くなることで相対的にドルなどの外貨が安くなり、海外の製品やサービスを安く買えることになります。
日本は食料やエネルギー資源の多くを海外からの輸入に頼っています。円高によってこれらの価格が下がれば、国民の家計にとってはメリットとなります。輸入企業ではコストが減少して業績が良くなり、株価の上昇要因となります。
また、同じ金額の円をより多くの外貨と交換できるようになるため、海外旅行にも行きやすくなるでしょう。
円高のデメリット:輸出企業の業績が悪化する
円高は一般的に輸出企業にとって不利だと言われます。円高になると、輸出企業が海外で稼いだ外貨を円に転換した際に目減りしてしまいます。目減りした分を製品価格に上乗せすると日本の製品が海外で売れにくくなります。このため、円高は輸出産業の業績を悪化させると言われています。
日本経済を率いる大企業は海外に輸出することで成り立っているメーカーが多く、急激な円高局面になると経済に悪影響が出るといったニュースが飛び交います。
円安のメリット:輸出企業の業績が好転する
円安になると、輸出企業にとっては海外で稼いだ外貨を円に転換した際の売上高が増えるため、業績が良くなり株価が上昇する傾向があります。また輸出する製品の価格を安くできることから、国際競争力も高めやすくなります。
円安のデメリット:輸入商品の価格が上がる
円安のデメリットは円の価値が下がることで交換できる外貨が少なくなってしまうので、海外の製品やサービスが高くなってしまうことです。
大部分を輸入に頼っているエネルギー資源や食材などの価格が上がってしまうため、私たちの生活を圧迫するかもしれません。円と交換できる外貨が減ってしまうので海外旅行も割高になってしまいます。また、輸入企業ではコストが増大して業績が悪化する要因となります。
このように、円高・円安にはそれぞれメリットとデメリットの両面があり、企業の場合は輸出と輸入のどちらを主体とするかによって影響が大きく変わってきます。
今は円安と円高のどっち?
「現在の相場が円安と円高のどちらなのか」は、どの通貨とのペアで考えるかや、どのような時間軸で見るかによって異なり、一概には言えません。
例えば「ドル円相場では円安ドル高が進んでいるが、ユーロ安の進行により対ユーロでは円高」と言える状況もあります。
また、どの時期と比較するかによっても変わります。例えばドル円の2024年3月8日の安値は146.474円であり、2月28日の高値150.841円と比べると4円以上円高ドル安が進んだことになります。しかし2023年12月28日の安値140.255円の水準から考えると、6円以上円安ドル高が進行したとも言えます。
このように円高・円安は相対的な評価によるものなので、比較の対象となる通貨や時間軸によって判断が変わってきます。
ただし、2022年からのドル円相場の急激な上昇のように、歴史的と言えるような大きな動きがあった場合は、一般的に「円安の状況だ」というのが市場の共通認識となることはあります。
円安の対策方法は?
円安が進むと円の相対的価値が下がるため、保有している資産がどんどん目減りしてしまいますが、その対策として円を外貨に交換するという方法があります。
例えば、1ドル100円の時に1,000円を10ドルと交換したとします。その後円安が進み1ドル120円になった際に、保有していた10ドルを円に交換すると1,200円となります。
このように、円を外貨に交換することで、円安が進んだ場合でも資産を増やすことが可能です。
為替差益とは?
ドル高・円安、ドル安・円高といった通貨の動きを利用すれば利益を得ることもできます。
たとえば米ドル/円を買い、その後ドル高・円安になったときに売るとその差額が利益になります。
反対に米ドル/円を売り、その後ドル安・円高になったときに買い戻せば、その差額も利益になるのです。
この利益のことを「為替差益」といい、FXはこの為替差益を得ることが主な目標となります。
ただし、上の例ではどちらも利益が出ていますが、米ドル/円を買ったあとでドル安・円高になれば損失が出てしまいます。
これは米ドル/円を売ったあとでドル高・円安に動いてしまったときも同様です。このように思惑と反対に動いたときは、為替差損が発生するリスクがあることも知っておきましょう。
円高円安を狙った外貨投資
前述のように、米ドル/円を買っておいて、その後ドル高・円安になったときに売ると利益を得ることができます。そのため「将来円安になる」と予想した場合、米ドル/円のFX取引では買い注文を出す(円を売ってドルを買う)ことになります。そして予想通りにドル高・円安になったら売りの決済注文を出すことで、為替差益を得ることができます。
逆に「将来円高になる」と予想した場合は売り注文を出し(ドルを売って円を買い)、その後ドル安・円高になったときに買いの決済注文を出すことで、為替差益が得られます。
このように、FXで米ドル/円などを取引する際は、基本的に「円安になると予想したら買い注文、円高になると予想したら売り注文を出す」という取引を行って利益を狙います。
円高円安に備える外貨積立らくつむ(※1)
円高・円安に関する予想をもとにFX取引を行う方法についてご紹介しましたが、将来円高・円安どちらになるのか?といった予測は中々一筋縄ではいきません。そのため外貨への投資を検討されている方は、円高円安に関わらずおすすめと言われている積立投資から始めてみるのも一手です。
重要なのは、積立投資は将来の相場の動向を予測することなく、長期的な視点で資産形成を目指す方法であるという点です。市場の変動に左右されずに着実に資産を増やしていくため、積立投資は投資初心者から経験者まで幅広い人におすすめされています。
参考:ドルコスト平均法
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- 外貨積立(らくつむ)は『らくらくFX積立』の愛称です。外国為替証拠金取引であり、外貨預金ではない点にご注意ください。
円安はドルやユーロなどの外貨に対して円の価値が下がること。
円高は外貨に対して円の価値が上がること。
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