指値・逆指値・成行注文とは?違いをわかりやすく解説

FXの相場は24時間動いていますが、トレーダーは取引したい価格になるまでずっと相場を見張っているわけにはいきません。24時間変動する相場で取引チャンスを逃さないために、FXではレートを指定して注文を発注しておく「指値注文」や「ストップ注文(逆指値注文)」という注文方法があります。本記事では指値注文の活用方法や他の注文方法との違い、メリット・デメリットなどについて解説します。

FXの指値注文とは?

指値(さしね)注文とは現在の価格より有利なレートを指定して発注する注文方法です。「現在のレートよりも安く買いたい(または高く売りたい)」という場面で使います。

例えば現在価格が1ドル100円で、「相場が下落しそうだから、1ドル99円になったら買いたい」と考えたとします。この場合、1ドル99円で買いの指値注文を発注しておけば、価格が99円になったときに自動で新規買い注文が執行されます。

新規注文での買い注文

指値注文は新規注文だけでなく、決済注文でも使えます。例えば1ドル99円で買ったポジションを、1ドル101円になったら売りたいと考えたとします。この場合、1ドル101円で売りの指値注文を発注しておけば、価格が101円になったときに自動で売る決済注文が執行されます。

決済注文での指値注文

指値注文と成行注文、ストップ注文(逆指値注文)の違い

FXでは指値注文以外にも、成行注文やストップ注文(逆指値注文)など様々な注文方法があります。ここではそれぞれ注文方法の違いを、詳しく紹介します。

  成行注文 指値注文 ストップ注文
(逆指値注文)
発注レート 現在提供されているレートで発注 現在価格より有利なレートを指定して発注 現在価格より不利なレートを指定して発注
使うタイミング すぐに約定させたいとき 自分で取引できないタイミングでも、取引チャンスを逃したくないとき 損失の拡大を防ぎたいとき(損切り)
注意点 スリッページが発生する場合がある 注文が成立しない場合がある スリッページが発生する場合がある

成行注文との違い

成行注文とはレートを指定せず、現在提示されているレートで発注する注文方法です。すぐに注文が約定するため、相場を見ながらリアルタイムで取引を行う際に使います。

レートを指定して発注する指値注文の場合、価格が指定レートに到達しなければ執行されないため、「指値注文を発注したものの、レートが逆方向へ進んでしまい、いつまでも約定しない」ということもありえます。それに対して成行注文は現在のレートですぐに発注するため、「いつ約定するかわからない」「約定しないかもしれない」といった不確実性がないのがメリットです。

成行注文のデメリットはリアルタイムで相場を見ていなければ取引ができない点です。成行注文のみを使うとなると、仕事中や外出中などでは取引チャンスが限られてしまいます。

また成行注文では、スリッページが発生する可能性があります。スリッページとは、発注したレートと約定したレートとの間にずれが発生する現象のことです。

為替レートは常に変動しているため、発注してからその注文がFX会社のサーバーに到達(約定)するまでのわずかな間でもレートが変わってしまう場合があり、これをスリッページといいます。

成行注文を使う際は、スリッページが発生して不利な価格で約定する可能性もあることに注意する必要があります。

スリッページを詳しく見る

マーケット注文

スリッページ対策として、「マーケット注文」があります。マーケット注文は、スリッページが発生した場合に価格のずれをどこまで許容するか設定できる注文方法です。
スリッページの許容値を設定しておけば、許容値以上に不利な方向へレートがずれた場合は注文が不成立となり、許容値を超える不利なレートでの発注を防ぐことができます。

仮にスリッページの許容値を「0」に設定すると、お客様にとってわずかでも不利な方向にスリッページが発生した場合はすべて注文が不成立となります。

また、外為どっとコムの「マーケット注文」では、「発注時の価格よりも安く買える」または「高く売れる」といったお客様にとって有利な方向のずれの場合は、許容値を超えても注文が成立します。FX会社の中には、許容値を超えるスリッページが発生した場合、お客様にとって有利な方向であっても約定しない設定となっていることもありますが、外為どっとコムのマーケット注文は有利な方向へのずれの場合は注文が成立するため、より取引チャンスが多くなるといえます。

外為どっとコムのマーケット注文を詳しく見る

ストップ注文(逆指値注文)との違い

ストップ注文(逆指値注文)とは、現在のレートよりも不利なレートを指定して発注する方法で、「現在価格よりも高いレートで買う」または「現在価格よりも安いレートで売る」という場面で使います。

初心者の方は「現在よりも不利なレートで取引するなんて、どのような場面で使うのか?」と疑問に感じるかもしれませんが、ストップ注文(逆指値注文)はFXにおいて非常に重要な損切り(損失の拡大を抑えるために損失を確定させること)のために欠かせない注文方法です。

例えば1ドル100円のときに、買いの新規注文を発注した後にレートが97円まで下がってしまったとします。レートの下落が続くと損失が拡大してしまうため、「95円まで下がったら売ろう」と判断し、95円で決済するストップ注文(逆指値注文)を発注します。

ストップ注文(逆指値注文)とは、現在のレートよりも不利なレートを指定して発注する方法

レートが実際に95円になると、自動的に売りの決済注文が発注され損失が確定(=損失の拡大がストップ)します(※1)。

  • ストップ注文(逆指値注文)では、実勢レートが指定レートに到達してから執行されるため、相場変動によっては指定レートより制限幅なく、その時点の実勢に基づく大幅にかい離したレートで約定する場合があります(スリッページの発生)。その場合には、お客様にとって想定以上に不利なレートで約定することがありますので十分にご注意ください。

また、ストップ注文(逆指値注文)をエントリー時に活用する方法もあります。
例えば、1ドル100円の時に「1ドル105円になったら円安トレンドがさらに勢いづく(95円になったら円高トレンドがさらに勢いづく)」と判断した場合は、105円で買い(95円で売り)の逆指値注文を設定することも可能です。

ストップ注文のエントリー時の活用方法

このように指値注文とストップ注文(逆指値注文)は「価格を指定して注文を予約する」という点は共通していますが、指値注文では現在よりも有利なレート、ストップ注文(逆指値注文)では現在よりも不利なレートを指定するという点に違いがあります。

長期的に安定して利益を上げ続けるためには、損切りを覚えることは非常に大切です。ストップ注文を活用し、適切な損切りを身につけましょう。

指値注文のメリット・デメリット

指値注文のメリットは、事前に注文が予約できるという点です。仕事中や外出中などでも、事前に注文を発注しておけばチャンスを逃さず取引を行えます。

しかしいつ注文が執行されるかわからないことや、指定した価格にレートが届かなければ注文が約定しないというデメリットもあります。特に現在のレートと大きく離れたレートを指定した場合、注文が成立する確率が低くなってしまいます。

指値注文で約定させるコツ

指値注文を約定させるコツは、現在レートと指定レートが離れすぎないように設定することです。

相場を完全に予測することはできないため、現在レートと離れすぎないように設定しても約定しない場合もありますが、大きく離れたレートを設定しないことでいつまでたっても注文が執行されないという事態を避けやすくなります。

現在レートと離れすぎない値幅の目安は取引スタイルや相場の状況によって異なるため一概には言えませんが、より長い期間のローソク足(上位足)で大きなトレンドを確認したり、経済指標の発表スケジュールを考慮したりして相場の動向を把握することが適切なレート設定につながります。

また、指値注文の発注後も、大きな相場変動があった際は状況に応じて注文の内容を見直すとよいでしょう。

外為注文情報で指値注文・ストップ注文の注文状況を確認

外為注文情報で指値注文・ストップ注文の注文状況を確認

『外為注文情報』では、外為どっとコムで取引をされているお客様の指値・ストップ注文が、売り・買いそれぞれどのレートにどのくらい発注されているかを一覧で確認できます。相場の予測や売買判断などの参考情報としてご活用ください。

外為注文情報・板情報はこちら

FX初心者は指値注文と成行注文のどちらを使うべき?

前述のように、成行注文と指値注文はそれぞれ異なる特徴や注意点があり、それらをよく理解したうえで場面に応じて使い分けることが重要です。

成行注文は現在のレートですぐに注文が成立するため、初心者にもわかりやすい注文方法といえます。現在のレートですぐに取引したい場合は成行注文を使うとよいでしょう。

ただし相場が激しく変動しているときはスリッページが発生する可能性が高まるため、そのようなタイミングでの取引は控えるか、スリッページの許容値を設定できるマーケット注文を使うのがおすすめです。

指値注文はレートを指定して注文を予約できるため、特定の価格で取引したいという場合に活用しましょう。初心者の方はリアルタイムで取引しようと相場を見ているとエントリーのタイミングをなかなか掴めなかったり、逆に頻繁に取引を繰り返してしまったりすることもありますが、指値注文はあらかじめ価格を指定して注文を発注しておくため、より落ち着いて計画的に取引できると感じる人もいるでしょう。

ただし指定した価格に到達しないと注文が成立せず、かえって機会損失となる場合もあるため、現在のレートから離れすぎないレートを指定するようにしましょう。

指値注文は成行注文に比べると指定レートや有効期限などの設定項目が多いため、初心者の方は難しそうだと感じるかもしれません。この後ご紹介するように、外為どっとコムのスマホアプリ「外貨ネクストネオ(GFX)」ではシンプルな操作で指値注文を発注することができます。不安な場合は、事前に手順を確認しておくとよいでしょう。

また、本番取引での指値注文に不安がある方は、デモ取引で練習するのもおすすめです。「外貨ネクストネオ(GFX)」では1つのアプリで本番口座とデモ口座を切り替えることができ、実際のレートを使って本番と同じ取引画面で発注の練習ができるため、指値注文の練習にもご活用いただけます。

スマホアプリ「外貨ネクストネオ(GFX)」について詳しく解説

成行注文と指値注文のどちらを使うべきかは場合によります。初心者の方は上記を参考にしながら、適切な使い分け方を身に付けていきましょう。いずれの方法の場合も損失のリスクに十分注意し、余裕のある資金で少額から取引を始めることが重要です。

スマホアプリ「外貨ネクストネオ(GFX)」で指値注文を発注するやり方

外為どっとコムのスマホアプリ「外貨ネクストネオ(GFX)」で新規指値注文を発注するやり方について紹介します。

STEP1:「外貨ネクストネオ(GFX)」にログイン

スマホアプリ「外貨ネクストネオ(GFX)」を起動・ログインします。

「外貨ネクストネオ(GFX)」のインストールはこちら

STEP2:指値注文を発注する

  1. 手順1
    下部メニューの「トレード」をタップ
  2. 手順2
    売りまたは買いのレートパネルをタップ
  3. 手順3
    注文の種類で「指値/ストップ」を選択
  4. 手順4
    注文数量を設定
  5. 手順5
    執行条件で「指値」を選択
  6. 手順6
    指定レートを入力
  7. 手順7
    有効期限を選択

STEP3:注文の確認・実行を行う

「注文確認」をタップし、内容に問題がなければ「注文実行」をタップします。

STEP4:注文中一覧を確認する

トレード画面の「注文中一覧」をタップすると、先ほど発注した指値注文を確認することができます。注文をタップして内容の変更や取り消しを行うこともできます。

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