米雇用統計 2021年3月5日(金)の結果と解説
振り返りバックナンバー
米労働省が2021年3月5日に発表した2月雇用統計の主な結果は、①非農業部門雇用者数37.9万人増、②失業率6.2%、③平均時給30.01ドル(前月比+0.2%、前年比+5.3%)という内容であった。
①2月の米非農業部門雇用者数は前月比37.9万人増と、前月の16.6万人増(4.9万人増から上方修正)から増加幅が拡大。市場予想(20.0万人増)も上回った。業種別では外食関連が28.6万人増となり、全体の増加幅の大半を占めた。非農業部門雇用者数の3カ月平均増加幅は、8.0万人へと持ち直したが、安定的な伸びの目安とされる10-15万人程度は下回った。
②2月の米失業率は6.2%と前月から0.1ポイント改善し、2020年3月以来の水準に低下。市場予想(6.3%)も下回った。フルタイムの就職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)は11.1%と、前月から横ばい。労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率も61.4%と前月と同じだった。
③2月の米平均時給は30.1ドルとなり、過去最高だった昨年4月(30.07ドル)に迫った。平均時給は前月から0.07ドル増加。伸び率は前月比+0.2%、前年比+5.3%と予想通りの結果であった。
米2月雇用統計は、米国で新型コロナウイルスの感染拡大ペースが鈍化した事などを背景に雇用情勢の改善を示す結果となった。市場はこれを好感する格好となり、発表後にはドルが主要通貨に対して一段と上昇した他、米国株は反発。米長期金利も上昇した。ただ、昨年5月以降の累計雇用者数は1289万人と、昨年3-4月に失われた2236万人の半分強を回復したに過ぎない。失業率も6.2%に低下したとはいえ、コロナ以前の1年前は3.5%であった事を考えると改善ペースは鈍い。その他、27週以上に渡り失業状態が続いている長期失業者が415万人(前月比12.5万人増)に上る点なども踏まえると、米雇用市場の改善は道半ばと言わざるを得ない。米国家経済会議(NEC)のディーズ委員長も、雇用統計後に「雇用の回復には引き続きムラがあり道のりは長い」との見解を示した。それでも、新型コロナの感染鈍化に伴う行動制限の解除が進む中、来月以降は雇用の改善ペースがアップするとの期待は根強いようだ。
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米国 経済指標(失業率・非農業部門雇用者数)過去の推移
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