世界の通貨 スイス

スイスの基礎知識

正式名称
スイス連邦
首都
ベルン
公用語
ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語
政治
連邦共和制のもと、議会は二院制(全州議会=上院、国民議会=下院)を採用
大統領
ギー・パルムラン
中央銀行
SNB (Swiss National Bank スイス国立銀行)
スイスの歴史
1291年8月1日、ウリ、シュヴィーツ、ウンターヴァルデンの3州が盟約者同盟を結成しました。この日はスイス建国の日とされております。その後、加盟州を増やしていきますが、各州間では宗教改革などをめぐって争いが絶えませんでした。
1798年、フランス政府からの強力な圧力を受けて盟約者同盟が解体され、傀儡国家のヘルヴェティア共和国が成立しました。しかし、近代憲法に基づく中央集権国家という体制はスイスの国情に合わず、早くも1802年に瓦解しました。
翌1803年には、ナポレオンの仲裁により従来の盟約者同盟が復活しました。そして、1815年のウィーン会議以来、現在に至るまでスイスは永世中立国として歩み続けております。
第2次大戦後には、何度か国際連合加盟の是非を問う国民投票がおこなれましたが、加盟賛成が一定数に達しなかったため見送られてきました。しかし、2002年にはついに加盟賛成派が一定数を超えたため、国際連合への加入を果たしております。

スイスのお金の種類は?

スイスの通貨単位は「スイスフラン(「SFr」あるいは「CHF」で表記されます)」といいます。また、補助通貨として「サンチーム(「ct」で表記されます)」もあり、100サンチームは1スイスフランに相当します。ただし、ドイツ語が話される地域では、補助通貨はラッペン(Rp)となります。

スイスでは、6種類の紙幣と、7種類の硬貨が流通しております。

紙幣 10スイスフラン、20スイスフラン、50スイスフラン、100スイスフラン、200スイスフラン、1000スイスフラン
硬貨 5サンチーム、10サンチーム、20サンチーム、50サンチーム、1スイスフラン、2スイスフラン、5スイスフラン
1,000スイスフラン札のイメージ画像

スイスフラン相場の変動要因

スイスフランも、米ドルと同様に経済指標や要人発言が主な変動要因となっております(具体例は米ドルの紹介ページをご参照ください)。ここでは、そのほかにも注目しておきたい変動要因を紹介します。

有事のスイスフラン買い

スイスは永世中立国という立場から、地政学的リスクが高まった時には資金の逃避先として選ばれるケースが多くなっています。例えば、2001年に米国で起きた9・11テロや、2003年のイラク戦争開始時にはスイスフランが買われる格好となりました。また、2010年から2011年にかけて、中東やアラブ諸国の民主化運動が激化した際も、スイスフランが上昇しています。最近では、こうした戦争・紛争などの有事だけでなく、欧州債務危機の深刻化に伴い避難通貨として大きく上昇するなど、経済上の有事においても買われやすい通貨となっています。

スイスフラン相場の推移

スイスフラン円相場

スイスフラン円相場の推移のイメージ画像

1990年には110円台に乗せていたスイスフラン円相場は、2000年9月には58円台にまで下落しました。この間、円全面安が進行した1998年には10月に一時100円台を回復する場面もありましたが、その後はスイス経済の低迷や円高基調に反転した事などを背景に下落が続きました。しかし、2001年に米国で起きた9・11テロや、2003年のイラク戦争開始時、2006年のイスラエル軍によるレバノン侵攻の際には、いずれも有事のスイスフラン買いが対円でも活発になりました。その後スイスフラン円相場は、円キャリートレードが活発化した事や、対ドルでスイスフラン買いが強まった事から2008年7月には105円台乗せとなりましたが、同年秋の「リーマンショック」によって反落すると、同年12月には一時75円を割り込みました。その後しばらくはもみ合いが続きましたが、2011年8月には、欧州債務危機の深刻化や米国債の格下げを受けて安全資産とされるスイスフランに買いが集まる一方で、本邦政府・日銀が円売り介入を実施した事もあってスイスフラン円相場は108円台後半まで上昇しました。しかし、同年9月にスイス中銀が、通貨高阻止に向けて、ユーロに対する目標上限レートを設定したうえで、無制限のフラン売り介入を宣言すると83円台まで急落する事になりました。

米ドル・スイスフラン相場

米ドル・スイスフラン相場のイメージ画像

1970年頃には、4.30スイスフラン台だった米ドル・スイスフラン相場は、東西冷戦の当事国が米国だったこともあり、冷戦が終結した1989年にかけて有事のスイスフラン買い・米ドル売りが目立ち、同年末時点では1.30スイスフラン台にまで下落しています。その後も、1995年4月にはドル前面安の流れの中で1.10スイスフラン台まで下落しました。2001年には1.80スイスフラン台まで値を戻しましたが、同年の9・11テロやアフガン戦争で再び有事のスイスフラン買いが活発になりました。さらに2007年後半から2008年3月にかけては、サブプライムローン問題の深刻化を受けたスイスフラン買い・米ドル売りによって、1ドル=1スイスフラン台を割り込み、0.96ドル台まで下落して当時の史上最安値を記録しました。
その後2008年秋のリーマンショック後の世界経済の混乱の中でドルが買われると、一時1.22スイスフラン台まで反発したものの、2010年から2011年にかけての中東・アフリカにおける民主化運動激化や欧州債務問題深刻化に伴い、再び1ドル=1スイスフランを割り込みました。さらに2011年8月には米国債が史上初めて格下げされた事などからスイスフラン買い・米ドル売りが加速し、史上最安値となる0.70ドル台まで下落しました。しかし、同年9月にスイス中銀が、通貨高阻止に向けて、ユーロに対する目標上限レートを設定したうえで無制限のフラン売り介入を宣言すると米ドル・スイスフラン相場は0.91スイスフラン台まで急反発しています。

スイス関連リンク集

出典