世界の通貨 スイス|スイスフランの特徴
スイスのお金の種類は?
スイスの通貨単位は「スイスフラン(SFrあるいはCHF)」といいます。また補助通貨として「サンチーム(ct)」もあり、100サンチームは1スイスフランに相当します。そしてドイツ語が話される地域の補助通貨は「ラッペン(Rp)」となります。
スイスでは、6種類の紙幣と、7種類の硬貨が流通しております。
紙幣 | 10スイスフラン、20スイスフラン、50スイスフラン、100スイスフラン、200スイスフラン、1000スイスフラン |
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硬貨 | 5サンチーム、10サンチーム、20サンチーム、50サンチーム、1スイスフラン、2スイスフラン、5スイスフラン |
スイスフラン紙幣は計15種類の偽造防止技術が採用されているため、紙幣の偽造が非常に難しい特徴があります。素材には綿紙と補強性のある高分子素材を使用しており防水性・耐久性の面も優れています。
また、5スイスフラン以外の6種類の硬貨についてはヘルヴェティア※女神が採用されております。約150年間と、世界でもっとも古くからデザインの変わらない硬貨としてギネス記録に登録されています。
- Helvetia=スイスを疑心化した呼称
スイスフランへの投資
投資先としてのスイスフランは、『安全通貨』という特徴があります。
スイスは永世中立国という立場から、地政学的リスクが高まった時には資金の逃避先として選ばれるケースが多くなっています。例えば、2001年に米国で起きた9・11テロや、2003年のイラク戦争開始時にはスイスフランが買われる格好となりました。また、2010年から2011年にかけて、中東やアラブ諸国の民主化運動が激化した際も、スイスフランが上昇しています。最近では、こうした戦争・紛争などの有事だけでなく、欧州債務危機の深刻化に伴い避難通貨として大きく上昇するなど、経済上の有事においても買われやすい通貨となっています。ただしスイスは欧州自由貿易連合(EFTA)の加盟国となっているため、EU加盟国ではないものの近隣国が使用しているユーロの動向については注意が必要です。
また、スイスは日本と同じくマイナス金利政策を長年導入しておりましたが、2022年9月に政策金利を-0.25%から0.50%へ引き上げたことでマイナス金利が解除となりました。これにより、日本とスイスの政策金利に差が生じ、スイスフラン/円でスワップポイントを狙った投資をする際は売りポジションではなく買いポジションを保有する必要があります。
スイスフラン/円相場の推移
- 1990年には110円台に乗せていたスイスフラン/円相場は、2000年9月には58円台にまで下落しました。この間、円全面安が進行した1998年には10月に一時100円台を回復する場面もありましたが、その後はスイス経済の低迷や円高基調に反転した事などを背景に下落が続きました。
- しかし、2001年に米国で起きた9・11テロや、2003年のイラク戦争開始時、2006年のイスラエル軍によるレバノン侵攻の際には、いずれも有事のスイスフラン買いが対円でも活発になりました。その後スイスフラン/円相場は、円キャリートレードが活発化した事や、対ドルでスイスフラン買いが強まった事から2008年7月には105円台乗せとなりましたが、同年秋の「リーマンショック」によって反落すると、同年12月には一時75円を割り込みました。
- その後しばらくはもみ合いが続きましたが、2011年8月には、欧州債務危機の深刻化や米国債の格下げを受けて安全資産とされるスイスフランに買いが集まる一方で、本邦政府・日銀が円売り介入を実施した事もあってスイスフラン/円相場は108円台後半まで上昇しました。しかし、同年9月にスイス中銀が、通貨高阻止に向けて、ユーロに対する目標上限レートを設定したうえで、無制限のフラン売り介入を宣言すると83円台まで急落する事になりました。
- その後、ユーロに対するスイスフランのレートは安定した推移を見せておりましたが、2015年1月にスイスの中央銀行であるスイス国立銀行は設定していた目標上限レートを突然撤廃すると、スイスフラン/円相場は一時161円台まで急騰しました。これがいわゆるスイス・ショックです。
- その後、スイスフラン/円相場は100~120円台での推移となっておりましたが、2022年に米国の政策金利引き上げが要因となり円の相対的な価値が低下し、130円台を突破しました。さらに2022年6月には、スイス国立銀行が2007年以来の政策金利引き上げを実施。2022年9月にはマイナス金利の解除が要因となり、スイスフラン/円は151円台まで上昇しました。
- その後もスイス国立銀行は政策金利の引き上げを続け、2023年6月には1.75%まで上昇。2024年4月には1.50%と低下したもののスイスフラン/円の上昇は続いており、2024年4月現在では171円台での推移となっております。
スイスフランの経済指標
消費者物価指数(CPI)
消費者物価指数は略してCPI(Consumer Price Index)とも呼ばれており、一般消費者世帯が購入する商品やサービスの、総合的な価格の動きを指数化したものです。インフレに関する今後の動向を分析する指標として最も一般的であり、金融当局の政策を読むうえで注目度が高いといえます。スイス国立銀行のインフレ目標は0~2%となっております。
国内総生産(GDP)
国内総生産は略してGDPとも呼ばれており、一定期間内に国内で生み出された付加価値の総額を表します。その国の経済規模を示す経済指標として最も注目されており、スイスのGDPは約9384億5800万ドルで世界20位となっております。
- 日本は約4兆1104億5200万ドルで世界4位
- 2024年4月時点
スイス国立銀行の政策金利
政策金利とは中央銀行が一般銀行に貸し出すときの金利を指し、金利を調整することで景気の過熱や失速を防ぐ役割があります。スイスの政策金利は、スイス国立銀行の金融政策理事会によって発表され、現在のスイスの政策金利は1.50%となります。
- 2024年4月現在
スイスフラン投資をはじめるには
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スイスの基礎知識
- 正式名称
- スイス連邦
- 首都
- ベルン
- 公用語
- ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語
- 政治
- 連邦共和制のもと、議会は二院制(全州議会=上院、国民議会=下院)を採用
- 大統領
- ヴィオラ・アムヘルト
- 中央銀行
- SNB(Swiss National Bank スイス国立銀行)
- スイスの歴史
- 1291年8月1日、ウリ、シュヴィーツ、ウンターヴァルデンの3州が盟約者同盟を結成しました。この日はスイス建国の日とされております。その後、加盟州を増やしていきますが、各州間では宗教改革などをめぐって争いが絶えませんでした。
1798年、フランス政府からの強力な圧力を受けて盟約者同盟が解体され、傀儡国家のヘルヴェティア共和国が成立しました。しかし、近代憲法に基づく中央集権国家という体制はスイスの国情に合わず、早くも1802年に瓦解しました。
翌1803年には、ナポレオンの仲裁により従来の盟約者同盟が復活しました。そして、1815年のウィーン会議以来、現在に至るまでスイスは永世中立国として歩み続けております。
第2次大戦後には、何度か国際連合加盟の是非を問う国民投票がおこなれましたが、加盟賛成が一定数に達しなかったため見送られてきました。しかし、2002年にはついに加盟賛成派が一定数を超えたため、国際連合への加入を果たしております。 - スイスの経済 イベント
- スイスの有名な経済イベントとしてダボス会議があります。ダボス会議とは、毎年スイスのダボスで開かれる経済フォーラム(WEF)※の年次総会を指します。
2024年のダボス会議は”信頼の再構築”をテーマに開催され、『新時代に向けた成長と雇用の創出』や『経済・社会の原動力としての人工知能』など4つのプログラムについて議論が行われました。また、ダボス会議には各国の中央銀行総裁も参加しており、世界経済や地政学的リスクについても議論がされるため、世界中の投資家が注目するイベントです。- 世界経済フォーラム:グローバルな経済問題に取り組むために、政治・経済・学術等の各分野における指導者層の交流促進を目的とした国際機関のこと
- スイスの観光地
- スイスはアルプス山脈に位置しており、美しい山々に囲まれています。
観光地として人気なのが、スイスとイタリアの国境にそびえる「マッターホルン」です。
マッターホルンの標高は4,000mを超えており、その絶景を眺めながらのハイキングは特に大人気となっております。
また、『アルプスの少女ハイジ』はスイスにあるマイエンフェルト地方のハイジ村が舞台となっており、世界中からファンの方々が多く訪れている場所でもあります。