野村雅道のID為替研究所 (Day)|FXブログ|外為どっとコム

トルコリラについて その2

トルコリラ「トルコ複合ショック、両大統領の感情問題で、たちが悪い」  既述分ですが繰り返させて頂きます


 先週の下げでリラの年初来下げ幅は対円で41.94%、対ドルで69.5%となった。ドル円もプラザ合意以降3年で約50%下落したが年平均では約17%下落であったので、今回の変動幅では異常な大きさであり、円とは方向が異なる。ただ当時の米ドルとは同じ方向だ(1998年10月のドル円の2日で24円下落は下落率は17%)

通常、経常赤字国は通貨が下がり金利が上がる。南アランド、豪ドル、NZドルは変動相場開始当時は約400円であった。米ドル、英ポンドも長期的に下落している。一方経常黒字国の通貨は通貨が強く金利が低い。スイス、円、ユーロなどである。デイトレや短期トレードはともかく、経常赤字国の通貨を長期に持てば、いずれ金利収入が為替変動を上回る。私も高金利通貨、ジャンク債などを1990年あたりから一定の割合で保有し、今後も続ける予定だ。ただ今回のリラの下げの大きさは戦後の通貨危機などをご存知ない方にはショックだったろう。常々言っているように高金利通貨にはこういうことが起きるものなので超低レバを薦めている。短期は自由奔放に売買双方向で取引したい。

 さて今回のショックで直接引き金を引いたのはトランプ大統領だが、以下のようにいろいろな要因が絡んでいる。過去の通貨危機では格下げをされた後に、IMFなど国際機関やG20などが協調して支援、該当国は緊縮財政政策で債務を縮小していくのだが、今回は少し違う。トルコ政府自体の債務=GDPの28%程度(債務が大きいのは民間)は大きくないし、そこそこの成長力がある。通貨安は、政府の支払い能力への疑念ではなく、経済・外交政策の信頼失墜の色が濃い。国際協調で米ドルを融通してもいいがトルコにその気はないようだ。また米国との関係悪化で、支援を取り付けるにも厳しい条件をつきつけられ、強気のエルドアン大統領は受け入れそうもないだろう。EUとの関係も人権問題があり上手くいっていない。トルコは今、中国を含めBRICSに歩み寄っている。リラを買うきっかけが、ギリシャ危機のユーロ買い、ギリシャ債買い、周辺諸国買いを実施した時のようには、まだ湧いてこない。経済的危機というよりエルドアン・トランプ大統領の個性的危機が問題解決を遅らせている。しばらく待ちたい。ただ同じように下落した他国の通貨や債券・株でファンダメンタルズにいいものは買いチャンスがやってくる。

(諸問題)
  

*対米関係悪化(クーデター首謀者と見られている在米のギュレン師引き渡し問題。ブランソン米牧師収監問題)、トルコは米のイラン制裁問題に反対、トルコは米のイスラエルの首都移転案に反対
  トルコは反米のベネズエラの金精製を引き受ける。シリア問題でも米国のクルド族支援で対立。

*リラ安に怒ったトランプ大統領がトルコからの輸入関税について、アルミニウムを20%、鉄鋼を50%に引き上げることを承認した。トルコも報復を示唆

*EUとは人権問題で対立し、EU加盟の話は遠ざかっている

*トルコに債権を持つ欧州の銀行株が売られる

*米国とトルコが加盟するNATOの亀裂の可能性

*格下げ不安

*原油高で貿易赤字が拡大

*エルドアン大統領が中銀のインフレ抑制策に介入。財務大臣には娘婿を採用

*非常事態宣言は解除したが「対テロ法案」を可決し、反対派を抑え込む。反対派の反発はあるだろう 

*対外債務(主に民間企業)がGDPの50%を超えるとともに、債券を持つ欧州の銀行の経営不安がクローズアップされる

*企業の外貨借り入れは制限を開始

*リラ防衛策が、またもや国民に「ドル、ユーロ、金を売ってリラに換えよう」というエルドアン大統領の呼びかけだけ

*大統領は100日アクションプランや新たな経済計画を打ち出す


(参考1)日本のGPIFはトルコ債を232億円保有 
(参考2)外貨準備は約1000億ドル
(参考3)トルコ財務省は、2019年の経済成長率は3-4%、財政赤字はGDP比率で約4%に低下するとの見通しを示した。

(参考4)

 GDPが約8500億ドルに対し、対外債務がその半分以上の約5000億ドル

(参考5)Agency Rating Outlook Date 各社格下げ

Fitch BB negative Jul 13 2018
Moody's Ba2 under review Jun 01 2018
S&P BB- stable     May 01 2018
Moody's Ba2 stable     Mar 07 2018
Moody's Ba1 negative Mar 17 2017
S&P BB negative Jan 27 2017
Fitch BB+ stable      Jan 27 2017

FX湘南投資グループ代表
野村 雅道(のむら・まさみち)氏

1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行、82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。

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