執筆：外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
日々、為替情報発信中！
目次
豪CPIの結果次第でRBAが利上げを決める？
先週の振り返り
先週の豪ドル/円は94.77円前後で、NZドル/円は88.26円前後で週初を迎えました。
17日に発表された中国4-6月期国内総生産（GDP）は予想（+7.1%）を下回り前年比+6.3%となりました。同時に発表された6月中国小売売上高は前年比+3.1%と前月の+12.7%から大きく低下。その他にも都市部の若年層（16～24歳）失業率は21.3%で前月（20.8%）から悪化していたこともあり、中国の景気鈍化懸念から豪ドル、NZドルは下落。豪ドル/円は93.77円前後、NZドル/円は86.46円前後まで下落しました。18日の海外時間以降は植田日銀総裁の発言を受けて円安が再開。20日の豪雇用統計が強い結果となったことで、豪ドル/円は95.42円前後まで上昇。この動きに連れてNZドル/円も87.87円前後まで上値を伸ばしました（執筆時）。
豪雇用統計は良好！CPIの注目点は？
20日に豪6月雇用統計が発表されました。結果は表1の通りです。雇用者数は市場予想の1.5万人増を大幅に上回る3.26万人増。雇用者数変化の内容は正規雇用者が増加して、非常勤雇用者が減少するといった非常に強い内容となりました。この豪6月雇用統計の結果を受けて市場は8月1日の金融政策会合でRBAが0.25%の利上げを実施するとの見方をやや強めています。
【表1 豪6月雇用統計結果】
豪6月雇用統計は強い結果となりましたが、RBAが一番注目しているのはインフレ率です。今週は26日に豪4‐6月期四半期消費者物価指数（CPI）と6月月次CPIが発表されます。特に四半期CPIはインフレ関連の経済指標の中でもRBAが最も重要視しているインフレ指標です。表2でご覧いただいている通り、月次CPIは5月に急速に鈍化を示しました。
今回の注目は、『4‐6月期四半期CPIが期待通り低下しているか？』です。
4‐6月期四半期CPIの先行指標となる月次CPIを見ると、5月に大幅な低下を示していました。そのため6月に豪州のインフレが急加速していない限り、4‐6月期四半期CPIも6％台前半まで低下することが予想されます。6月に豪州のインフレがさらに急低下して、4‐6月期四半期CPIが5％まで下がればRBAの利上げ再開の可能性は急速に萎むことになりそうです。
【豪四半期CPIと月次CPIの推移】
※黄色部分は今回発表分の市場予想※
日米の金融政策会合に注意！
今週は26日に米連邦公開市場委員会（FOMC）、28日に日銀金融政策決定会合と、日米の政策金利が発表されます。FOMCでは0.25%の利上げがほぼ確実視されており、市場の注目は「更なる追加利上げを示唆するかどうか」になります。大半の市場参加者は今回のFOMCでの利上げを最後に米連邦準備制度理事会（FRB）の利上げは終了すると予想しています。そのためFRBが市場が予想しているよりもタカ派的なスタンスを示した場合には、米金利の先高観による米ドル高と金利高を嫌気した株価の下落に伴う豪ドル売りが相まって、豪ドルは対米ドルでは強い売り圧力がかかってきそうです。
他方で豪ドル/円は、日銀がハト派的なスタンスを継続するとの見方となっているため、円が対米ドルで売られやすい地合いとなるため、豪ドル/円の下げ幅は限定的になるでしょう。日米の金融政策の内容次第で豪ドル相場も大きく変動する可能性がありますのでご注意ください。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円はこれまでサポートとして意識されていた日足一目均衡表・基準線を7/10に下抜けてしまいました。それ以降、同線が目先のレジスタンスとなっています。来週も「まず基準線を上抜けられるか？」が焦点になりそうです。上抜けに成功した場合は7/5高値の96.83円前後が次の上値目途となりそうです。一方で下値は、7/12安値の93.21円前後が目先の下値目途となりそうです。また一目均衡表の雲がジリジリと上昇してきています。雲の下限をした抜けてしまった場合には豪ドル売りの圧力が強まりそうですのでご注意ください。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ：AUD/JPY：92.50-97.50、NZD/JPY：86.00-89.00
7/24 週のイベント:
07/24 (月) 07:45 NZ 6月貿易収支
07/26 (水) 10:30 豪 6月消費者物価指数（CPI）
07/26 (水) 10:30 豪 4-6月期四半期消費者物価（CPI）
07/27 (木) 10:30 豪 4-6月期四半期輸入物価指数
07/28 (金) 10:30 豪 4-6月期四半期卸売物価指数（PPI）
07/28 (金) 10:30 豪 6月小売売上高
一言コメント：
7月に入ってからはとにかく暑い！夜も冷房を切ってしまうと目が覚めるくらいです。おかげで、のどの調子が少し気になります。寝苦しいのを我慢して、窓全開＋扇風機にしようか悩んでいます…
外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員中村 勉（なかむら・つとむ）
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー（株）へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
