執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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目次
注目の豪月次CPI!結果次第では豪追加利上げの可能性浮上?
先週の振り返り
先週の豪ドル/円は91.70円前後、NZドル/円は86.53円前後で週初を迎えました。23日には日経平均株価が33年ぶりの高値を更新したこともあり、豪ドル/円は92.35円前後、NZドル/円は年初来高値となる87.30円前後まで上昇しました。ただ、23日東京時間午後以降は主要株価指数が軒並み下落したことで資源国通貨の豪ドル、NZドルは上値を抑えられる結果となりました。24日にはNZ準備銀行(RBNZ)が利上げ終了を示唆したことでNZドルが86円台半ばから84円台半ばまで急落、豪ドルもこれに連れる形で91円台半ばから90円台後半まで下落しました。
注目のCPI、結果次第ではRBAはRBNZに追随?
5月2日に開催されたRBA理事会で、RBAは0.25%の利上げを実施しました。声明ではインフレをRBAの目標(2~3%)に戻すことが優先事項と示していました。
RBAがインフレと同様に意識している労働市場に関しては、18日に発表された豪4月雇用統計で雇用者数が予想に反して減少するなど、総じて悪い結果でした。
豪州のGDPの約6割を占める個人消費を見ると、26日に発表された豪4月小売売上が前月比±0.0%と横ばいになり、2023年に入り、月次の売上高はほとんど変わっていません。これは、高インフレと住宅ローンなどの負担が増加しているためだとみています。
これらの結果から市場はRBAが6月の理事会では利上げを再び見送るとの見方を強めています。
31日には豪4月月次消費者物価指数(CPI)が発表されます。市場は前年比+6.4%と前月の6.3%からインフレが加速することを予想しています。市場予想に反してインフレが鈍化していた場合には、RBAが6月に利上げを見送るとの見方が一層強まることになるでしょう。ただし、市場は既に6月の利上げ見送りどころか、RBAの利上げは5月が最後で今後はインフレの低下とともに利下げに転じると予想しています。豪4月CPIがインフレ鈍化を示していたとしても豪ドル相場への影響は限定的になるかもしれません。
中国の景況感に要注意
中国は昨年末にゼロコロナ政策を実質的に解除しました。市場は中国経済がゼロコロナ政策による締め付けから急速に回復するといった期待を抱いていました。しかし、中国の景気回復は市場の期待したほどの勢いはありません。先月発表された中国の経済指標を見ると、製造業購買担当者景気指数(PMI)は好不況の分岐点となる50.0を下回り、貿易収支では輸入が前年比で大きく減少、消費者物価指数は前年比+0.1%となっており、景気後退を警戒する声が出てきています。豪州は中国と交易関係が強いため、特に製造業PMIや中国の輸入減少は豪ドルにとってネガティブ要因となっています。
今週は中国国家統計局と民間企業のCaixinが集計する2つの5月製造業PMIが発表されます。50.0を上回れば豪ドルにとっての買い材料、前月から更に悪化していれば豪ドルにとって売り材料となりそうです。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は200日移動平均線(MA)を一旦上抜けましたが、押し戻されてしまいました。現時点では200MAが下向きとなっています。先週同様に同線を上抜けたとしても上昇圧力は限定的になりそうです。目先の上値目途は5/2高値の92.43円前後となりそうです。同水準は昨年9/13高値と今年の3/24安値を結んだフィボナッチリトレースメント61.8%戻し、先週の高値圏でもあるため意識されやすい水準となりそうです。そこを上抜けると昨年11月後半に上値を抑えた94.10円付近が次の上値目途として意識されそうです。
一方で下値ですが今週同様に日足一目均衡表の基準線が目先の下値目途となりそうです。その下の水準では雲がサポートとして機能しそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表、200MA】
予想レンジ:AUD/JPY:89.00-92.50、NZD/JPY:82.50-86.50
5/29 週のイベント:
05/30 (火) 07:45 NZ 4月住宅建設許可件数
05/31 (水) 10:00 NZ 5月ANZ企業信頼感
05/31 (水) 10:30 中国 5月製造業購買担当者景気指数(PMI)
05/31 (水) 10:30 豪 4月消費者物価指数(CPI)
06/01 (木) 10:30 豪 1-3月期四半期民間設備投資
06/01 (木) 10:45 中国 5月Caixin製造業PMI
一言コメント:
先日、Jリーグの30周年記念試合を新国立競技場に観に行ってきました。上の方の席でしたが、とても観やすかったです。金曜のナイターだったのですが、気候も良くお酒を飲みながら楽しく観れました。スポーツ観戦は非日常を味わえる空間なので大好きです。次は子供を連れて野球に行こうと思います。
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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