執筆：外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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目次
豪ドル/円は100円を目指す！？ 注目の豪雇用統計で大幅な改善があれば！
今週の振り返り
今週の豪ドル/円、NZドル/円はともに大きく上昇。豪ドル/円は95.07円前後で週初を迎え、一時97.50円前後まで上昇。NZドル/円は85.24円前後から一時87.51円前後まで上昇しました。豪州では6日に豪準備銀行（RBA）が政策金利を2.35%へ引き上げ（0.50%の利上げ）ましたが、市場の予想通りであったことから反応は限定的となりました。今週はRBAのほかに、カナダ中銀や欧州中央銀行（ECB）の大幅な利上げが相次ぎ、今月の米連邦公開市場委員会（FOMC）でも大幅な利上げが予想されていることから、日銀と主要各国中銀との金融政策の差が再度意識され、米ドル/円が24年振りとなる145円手前まで上昇したことが豪ドル/円、NZドル/円が上昇する主因となりました。
来週は豪8月雇用統計！注目点は？
来週は9月15日（木）にオーストラリアの8月雇用統計が発表されます。7月は雇用者数が予想外のマイナスとなり、市場に驚きを与えました。しかし、失業者数よりも最新（5月）の求人数が多かったことや、失業率が月次統計を開始した1978年以降での最低（3.4%）を記録したことにより、9月のRBA理事会での政策決定に影響はありませんでした。では今回はどうなるでしょうか？市場では、7月に減った（-4.09万人）雇用者の大半が戻ると予想しています（予想：+3.00万人）。8月の豪雇用統計の結果がRBAの政策決定にネガティブな影響を与えるとすれば、労働参加率の上昇を伴わない失業率の悪化となりそうです。2カ月連続で雇用者数が減少し、失業率は上昇、労働参加率は横ばい（もしくは低下）となれば、折しもロウRBA総裁が8日に利上げペースの減速を示唆と市場が受け止めた発言をした直後ということもあり、「RBAが利上げペースをそろそろ落とすかもしれない」との思惑が強まりそうです。
NZはリセッション入り？
15日にはNZで4-6月期国内総生産（GDP）の発表も控えています。市場予想では前期比+1.0%となっています。例年なら同時期の貿易収支は大幅プラスとなるが、輸入物価の高騰の影響から貿易収支は大幅赤字。高インフレの影響から市民の消費も低下（4-6月期小売売上高は前期比-2.3%）しています。もちろんこれらの材料だけでは判断できませんが、仮にGDPがマイナスとなった場合には2期連続でのマイナス成長となり、定義的にはテクニカルリセッションとなります。そうなった場合でも、NZ準備銀行（RBNZ）はインフレ対策を最優先としているため、NZの経済減速懸念が強まりそうです。
来週も相場の中心は…？
現在の為替市場の中心は米ドルの動向となります。8日のパウエル米連邦準備制度理事会（FRB）議長の発言を見ても、FRBは大幅利上げ継続を示唆しています。13日には米8月CPIが発表されます。米国のインフレが急速に萎む（インフレ率の大幅な低下）ことがあれば、FRBによる大幅な利上げ幅の早期縮小期待が高まり、これまで独歩高だった米ドルに売り調整が入ることになるでしょう。その場合は、米ドル/円の調整に引っ張られて、豪ドル/円、NZドル/円はジリ安となるのではないでしょうか。
テクニカル的には
豪ドル/円は2015年以来7年振りの水準まで上昇してきています。そのため、目安となる上値目途が余りありません。2015年1月高値の98.115円を上抜けると、99円や100円といった節目が目途として意識されそうです。一方で下値は、8月22日以降、日足一目均衡表・転換線が終値ベースではサポートとして機能しています。その下の水準では日足基準線、週足転換線がサポートとして意識されそうです。
【豪ドル/円 日足チャート・一目均衡表】
予想レンジ：
AUD/JPY：94.00-99.00、NZD/JPY：84.00-89.00
9/12 週のイベント:
09/12 (月) 中国 中秋節で祝日休場
09/13 (火) 09:30 豪 9月ウエストパック消費者信頼感指数
09/13 (火) 10:30 豪 8月ＮＡＢ企業景況感指数
09/14 (水) 07:45 NZ 4-6月期四半期経常収支
09/15 (木) 07:45 NZ 4-6月期四半期国内総生産（GDP）
09/15 (木) 10:30 豪 8月新規雇用者数
09/15 (木) 10:30 豪 8月失業率
09/16 (金) 11:00 中国 8月小売売上高
09/16 (金) 11:00 中国 8月鉱工業生産
一言コメント：
来週は遅めの夏休みで1週間の休暇です（ワクワク）。物価高と円安なので、海外旅行は断念。国内旅行をしてきます。肉や海鮮物など、食べ物が美味しくてゆっくりできるところに行ってきます！
外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員中村 勉（なかむら・つとむ）
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー（株）へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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