執筆：外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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目次
豪7-9月期CPIに注目！鈍化ペースが鈍いと…？
今週の振り返り
今週の豪ドル/円は94.19円前後、NZドル/円は88.16円前後で週初を迎えました。週初は中国人民銀行が中期貸出制度を通じて市場予想を大幅に上回る資金を市場に供給すると決定したことや、世界的に株価が上昇したことを支えに豪ドル/円は95.66円前後まで上昇しました。しかしその後は、豪9月雇用統計の結果が市場予想を下回ったことや米長期金利の上昇を受けた米ドル買いがあったことなどの影響から上値が抑えられ94円台へ押し戻されました。NZドル/円は16日こそ88.69円前後まで上値を伸ばしましたが、17日に発表されたニュージーランド（NZ）7-9月期消費者物価指数（CPI、前年比）が市場予想を下回り、NZのインフレが引き続き鈍化傾向にあると示したことでNZ準備銀行（RBNZ）による追加利上げ観測が後退。NZドル売りが強まり、株価の下落も相まってNZドル/円は19日には87円台前半まで下落しました。
豪雇用統計の結果は？
今週、10月19日に発表された豪9月雇用統計は以下の結果になりました。
【表1 豪9月雇用統計結果】
雇用者数は増加していたものの、市場予想を下回りました。雇用の内容を見ると、正規雇用者数の大幅な減少を非常勤雇用者数の増加がカバーしたことで全体の雇用が増加したことがわかります。正規雇用者に関しては、8月に小幅ながらプラスとなりましたが、その前の月の7月は大幅な減少でした。豪州の過去3カ月の正規雇用者数が減少（マイナス）になるのは、2021年の8-10月以来になります。また、失業率は3.6%へ低下していましたが、労働参加率の低下が要因であるため、失業率の低下はポジティブな材料として見られていません。
RBAが10月17日に公表した10月RBA理事会の議事要旨には「労働市場は転換点に達した」との見方が示されました。9月分の豪雇用統計はRBAの労働市場に対する見立てを裏付けする結果になったと言えそうです。
豪CPIの注目点は？
来週の注目指標は10月25日（水）に発表される豪7-9月期CPIになります。豪州の四半期CPI（表2参照）を見ると2022年10-12月期をピークに減速傾向であるのがわかります。今回発表される7-9月期CPIの市場予想は前年比+5.3%まで低下するとなっています（前期 +6.0%）。今回の注目は「どこまで低下しているか？」です。RBAは8月に公表した四半期毎の金融政策レポートで年末時点のインフレ率予想を+4.1%としています。月次CPIを見ると8月は+5.2%と7月（+4.9%）から加速していました。そして9月の月次CPIは+5.4%へと更に加速する予想となっています。これは原油価格の上昇によるものが大きな要因です。ただ、原油価格の高止まりが続けば基調インフレが再び上昇に転じる可能性は十分にあります。10月RBA理事会の議事要旨には「インフレ目標回帰が現在の予想より遅れることに対する理事会の許容度は低い」という一文もありました。RBAが8月時点で予測した年末時点でのインフレ率+4.1%に7-9月期CPIが期待していたほど鈍化していなかった場合は、追加利上げの可能性が浮上してきそうです。
【表2 豪CPIの推移】
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は10月に入って大まかに見て94.00～96.00円のレンジ内での推移となっています。そのため、上下の目安も変わっていません。上値は10/12高値の95.83円前後が目先の目途として意識されそうです。この96.00円手前は7月後半～8月序盤にも上値目途として意識されていました。その上の水準では9/29高値の96.92円前後や6/19日高値の97.68円前後（年初来高値）が次のポイントとなりそうです。一方で下値は、一目均衡表の雲下限が目先の下値目途となりそうです。そして10/3安値の93.04円前後がサポートとして意識されそうです。その下には200日移動平均線（200MA）があります。強いサポートとして意識されやすいですが、しっかりと下抜けした場合には売りが加速する可能性がありますので要注意です。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表、200MA】
予想レンジ：AUD/JPY：92.50-97.00、NZD/JPY：86.00-89.00
10/23 週のイベント:
10/23 (月) --:-- NZ Labour Dayで祝日休場
10/25 (水) 09:30 豪 7-9月期四半期消費者物価（CPI）
10/25 (水) 09:30 豪 9月消費者物価指数（CPI）
10/26 (木) 09:30 豪 7-9月期四半期輸入物価指数
10/27 (金) 09:30 豪 7-9月期四半期卸売物価指数（PPI）
一言コメント：
10月と言えば運動会の季節。我が家も今週末は子供の運動会です。とは言え、一昔前のように席取りをして、お弁当作ってと言うこともありません。決められた時間に応援に行って帰ってくるといった感じです。それでも運動会を通じて我が子やお友達の成長が感じられるので楽しみにしています。
外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員中村 勉（なかむら・つとむ）
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー（株）へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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