執筆：外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
- ▼9月25日週のユーロ/円、ポンド/円は方向性決まらず
- ▼ユーロさえない、欧州経済にブレーキ？
- △▼【ユーロ/米ドル、ユーロ/円チャート 日足】
- ▼ポンド/円、他の欧州通貨に追随
- △▼【ポンド/円チャート 日足】
- 10/2 週のイベント
- 一言コメント
執筆日時 2023年9月29日 16時00分
円安・欧州通貨安で方向性定まりにくい
9月25日週のユーロ/円、ポンド/円は方向性決まらず
米ドル高の流れから、相対的にユーロやポンドが値を下げたため、ユーロ/円は156.708円、ポンド/円は180.858円まで下げました。ユーロはイタリアの財政問題やスペインの政局も売り材料となった可能性があります。その後、米ドル高に調整が入ると、ユーロ/円は158.105、ポンド/円は182.657円まで切り返しましたが、戻ったところは月末フローで押し戻されるなど、方向性の見定めづらい展開になりました。（各レート水準は執筆時点のもの）
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※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ユーロさえない、欧州経済にブレーキ？
ドイツの成長鈍化懸念に加えて、周縁国のイタリアやスペインの政治問題などが燻り、ユーロにとって良いとこが少なくなっています。また、欧州の民間銀行に対してECBへの預け入れを義務付けている法定準備金の引上げ観測も出始めており、欧州経済へのブレーキが本格的になりそうで、成長への懸念は高まっていきそうな雰囲気です。こうした中、製造業・サービス業PMIの改定値が速報値から下方修正されれば、ユーロへのセンチメント悪化から、ユーロの下げ幅が広がるかもしれません。もっとも、ユーロ/円は、円の弱さもあって方向性が見定めづらいため、しばらくは156.00-159.00円を中核レンジとした推移に留まりそうです。戦略的には、レンジの上下限で逆張りかなと考えています。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：EUR/JPY：155.500-159.500
ポンド/円、他の欧州通貨に追随
欧州の成長減速に倣って英国でも経済成長不安が燻っています。また、ユーロ離脱後の貿易ルールに関連して、現状のままだと来年から電気自動車に10％の関税がかかる危険があると報じられるなど、英経済回復の道のりは険しそうです。ユーロやスイスフランが対ドルで軟調となる中、欧州通貨縛りでポンドもさえない値動きが続きやすい様子です。直近の下落スピードが速かった反応から短期的な反発期待はあるものの、戻りは限定されそうです。
ポンド/円は、181円半ばを推移する90日移動平均線に何とかサポートされて、日足一目均衡表での強い売り示唆となる三役逆転を回避しました。もっとも、雲の下限（181.542円）までの距離が短いため、安心は出来ません。183.13円付近で低下中の21日移動平均線に上値を抑えられるようなら、再度、三役逆転を試す流れが強まりそうです。買いで追随するなら、一目雲の上限（183.301円）を超えてからでも遅くはないように感じます。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：GBP/JPY：179.000-185.000
10/2 週のイベント
10/2(月) 15:00 イギリス 9月ネーションワイド住宅価格
10/2(月) 16:55 ドイツ 9月製造業購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
10/2(月) 17:00 ユーロ 9月製造業購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
10/2(月) 17:30 イギリス 9月製造業購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
10/2(月) 18:00 ユーロ 8月失業率
10/4(水) 16:55 ドイツ 9月サービス部門購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
10/4(水) 17:00 ユーロ 9月サービス部門購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
10/4(水) 17:00 ユーロ ラガルド欧州中央銀行(ＥＣＢ)総裁、発言
10/4(水) 17:30 イギリス 9月サービス部門購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
10/4(水) 18:00 ユーロ 8月卸売物価指数（ＰＰＩ）
10/4(水) 18:00 ユーロ 8月小売売上高
10/5(木) 15:00 ドイツ 8月貿易収支
10/5(木) 15:45 フランス 8月鉱工業生産
10/5(木) 17:30 イギリス 9月建設業購買担当者景気指数（ＰＭＩ）
10/5(木) 18:45 イギリス ブロードベント英中銀副総裁、発言
10/6(金) 15:00 ドイツ 8月製造業新規受注
一言コメント
2002年以降の10月のポンド/円の騰落率（10月の始値と終値を比較）を調べて見ると、21回中14回が上昇でした。もしかしたら、ポンド/円には追い風が吹いているのかもしれません。
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