<第172回調査>2023年9月30日
外為どっとコムの口座開設者のお客様を対象とした投資動向等に関するアンケート調査です。
分析・レポート作成
外為どっとコム総合研究所
調査実施期間
2023年9月22日(金)13:00~2023年9月26日(火)24:00
調査対象
外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』に口座を開設のお客様層。
調査方法
外為どっとコムの口座開設者にメールでアンケート回答URLを送付。
今回の有効回答数は646件。
※必要項目を全て入力して回答して頂いたお客様を「有効回答数」としました。
問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください
問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください
問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください
問4:今後1カ月間のポンド/円相場の見通しについてお答えください
問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか
問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか
問7:原油高が目立ちますが、今年中にNY原油(WTI)は1バレル=100ドルを超えると思いますか
問8:円安相場は今年中に終了すると思いますか
問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください。
「今後1カ月間の米ドル/円相場の見通し」については、「米ドル高・円安方向」と答えた割合が63.2%であったのに対し「円高・米ドル安」と答えた割合は15.3%であった。この結果「米ドル/円予想DI」は△47.9%ポイントと前月の△30.5%ポイントからプラス幅が拡大した。
調査期間前後の米ドル/円相場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利見通し(ドットチャート)で年内あと1回の利上げを示唆したことなどを受け、金融引き締めが長期化するとの見方からドル買いが強まった。一方で、日銀が大規模金融緩和の維持を決定し、植田日銀総裁がマイナス金利解除について具体的に明言しなかったことなどから円安が加速し149円を突破。個人投資家は米ドル高・円安基調が続くとの見方を強めているようだ。
今後1カ月の米ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が153.22円、最安値が135.00円となり、高値の平均値は149.71円、安値の平均値は144.44円であった。高値の中央値は150.00円、安値の中央値は145.00円だった。前月調査時から実勢レートは4円前後切り上がったものの、予想中央値は2.5~3円程度の上方シフトにとどまった。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間のユーロ/円相場の見通し」については、「ユーロ高・円安方向」と答えた割合が、40.9%であったのに対し「円高・ユーロ安方向」と答えた割合は18.0%であった。この結果「ユーロ/円予想DI」は△22.9%ポイントとなり、前月の△25.6%ポイントからプラス幅がやや縮小した。
調査期間前後のユーロ/円相場は、欧州中銀(ECB)の利上げ終了観測が強まる中、ユーロ売りが優勢だった。しかし、日銀が金融緩和政策の現状維持を決定したことから円も売られたため157円台前半では下値が堅かった。日欧金利差は拡大こそしないものの、当面縮小しそうにないとの見方が個人投資家のユーロ/円に対する強気スタンスを支えたと見られる。
今後1カ月のユーロ/円相場の高値と安値の予想については、最高値が165.00円、最安値が140.00円となり、高値の平均値は159.06円、安値の平均値は154.46円であった。高値の中央値は159.00円、安値の中央値は155.11円であった。前月調査時から実勢レートが1円前後切り下がったのに合わせて予想中央値も1円程度、円高・ユーロ安方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通し」については、「豪ドル高・円安方向」と答えた割合が、41.8%であったのに対し「円高・豪ドル安方向」と答えた割合は14.6%であった。この結果「豪ドル/円予想DI」は△27.2%ポイントとなり、前月の△1.0%ポイントからプラス幅が大きく拡大した。
調査期間前後の豪ドル/円相場は、NY原油(WTI)が堅調に推移する中で資源国通貨である豪ドルにも買いが入ると一時96円台を回復した。豪州との経済関係が深い中国の景気懸念はくすぶるものの、円安主導の底堅さを踏まえ豪ドル高・円安が続くと見る向きが増えたようだ。
今後1カ月の豪ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が100.00円、最安値が88.00円となり、高値の平均値は96.73円、安値の平均値は93.07円であった。高値の中央値は96.50円、安値の中央値は93.00円だった。前月調査時から実勢レートが1~2円程度切り上がる中、予想中央値は1~1.5円程度、豪ドル高・円安に方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問4:今後1カ月間のポンド/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通し」については、「英ポンド高・円安方向」と答えた割合が、36.2%であったのに対し「円高・英ポンド安方向」と答えた割合は24.3%であった。この結果「英ポンド/円予想DI」は△11.9%ポイントとなり、前月の△29.0%ポイントからプラス幅が縮小した。
調査期間前後の英ポンド/円相場は、英中銀(BOE)が大方の予想に反して政策金利を5.25%に据え置いたことでポンド売りが強まると、一時180.76円前後まで下落した。利上げ再開の可能性は排除されなかったものの英国景気の先行きが不安視される中、個人投資家のポンド強気・円弱気の見通しが弱まったと見られる。
今後1カ月の英ポンド/円相場の高値と安値の予想については、最高値が190.00円、最安値が168.32円となり、高値の平均値は185.39円、安値の平均値は179.88円であった。高値の中央値は185.00円、安値の中央値は180.00円で、予想中央値は前月調査から2~2.5円前後、円高・英ポンド安方向にシフトした。なお、実勢レートは前回調査時から4~5円程度下落した。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか
今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「米ドル」と答えた割合が55.0%で圧倒的に多かった。次いで「円」が18.4%。さらに「メキシコペソ(6.8%)」、「豪ドル(4.8%)」、「トルコリラ(3.4%)」と続き、その後「英ポンド(2.9%)」、「ユーロ(2.9%)」が並んだ。「米ドル」の回答割合は前月の46.0%からさらに上昇しており、まさに米ドル一強の状態。その「米ドル」を最も買いたいと答えた理由について自由記述形式で尋ねたところ、「FRBの追加利上げが再浮上」「米インフレ高止まりでそれに伴う利上げが期待できる」などと金利面の優位性を指摘する向きが多かった。「スワップ(ポイント)がいい(高い)から」との声もあった。その他、「米景気は堅調で今後も崩れが感じられない」「ソフトランディング期待が高まり利下げ観測が弱まっている」などと、景気面でも米国優位とみる向きが少なくなかった。
問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか
今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「円」と答えた割合が50.0%と最も多かった。次いで米ドルが16.4%。さらに「中国人民元(7.4%)」と「英ポンド(7.4%)」が並び、その後「ユーロ(5.7%)」、「トルコリラ(3.9%)」、「豪ドル(3.4%)」と続いた。「円」の回答割合は半数に達しており、問5の「米ドル」と反対にひとり負けの状態にある。「円」を最も売りたいと回答した理由については「マイナス金利を維持しているから」「異次元緩和を止められないから」などと、日銀の金融政策を挙げる向きが大多数だった。「各国の中で、唯一今後も大規模金融緩和継続を表明しているため、引き続き最弱の通貨であり続けるだろう」との意見もあった。なお、「原油高で貿易赤字が増える」との意見や「介入警戒以外で(円を)買う材料がない」とする厳しい見方も出ていた。
問7:原油高が目立ちますが、今年中にNY原油(WTI)は1バレル=100ドルを超えると思いますか。
今回の特別質問として、「原油高が目立ちますが、今年中にNY原油(WTI)は1バレル=100ドルを超えると思いますか」と尋ねたところ、「超えると思う」が35.0%で、「超えないと思う」は32.7%と拮抗した。「わからない」も32.4%に上った。なお、調査期間中のWTIは1バレル=90ドル前後で推移しており、調査期間の終了後には約1年ぶりに94円台に上昇する場面もあった。回答の理由を自由記述形式(任意)で尋ねたところ、「超えると思う」と回答した向きからは「12月までOPECとロシアが減産を続ける」「OPECプラスは増産しないうえ、戦争の影響はあと数年続くと思われる」などとして供給面の制約が続くとの見方が多かった。一方で、「アメリカの個人消費は底堅く、原油は100ドル超えを試しに行くと思う」との見方や「ヨーロッパの冬の原油需要が多くなる」「中国の経済回復」など、需要面からも原油高を予想する声も上がっていた。「超えないと思う」と答えた向きからは「そこまでいけば(価格が上がれば)協調減産を破る国が出てきそう」などと産油国の足並みの乱れを指摘する意見が出ていた。その他、「世界的な金利上昇で経済が減速している」との見方や「今年の冬はエルニーニョの影響で世界的に暖冬傾向になりそうなので、原油の消費量も例年に比べて落ち込みそう」との見通しもあった。「その他」と答えた向きでは「ロシアとウクライナの戦争状況次第」との声が多かった。
問8:円安相場は今年中に終了すると思いますか
もう一つの特別質問として「円安相場は今年中に終了すると思いますか。次のうちから選んでお答えください。(ひとつだけ)また、よろしければその理由をお聞かせください」と尋ねたところ、「終了すると思う」が28.8%だった一方、「終了しないと思う」が68.3%に上り、2024年も円安基調が続くとの見方が多いことがわかった。回答理由について自由記述形式(任意)で尋ねたところ、「円安相場は今年中に終了」と回答した向きからは「来年にはアメリカの利下げが始まるとの見方から早めに円安は収まる」「アメリカ経済が減速する」など、米ドル主導で円安が止まるとの見方が出ていた。一方で「強い物価上昇が続いており年末から年度末には(日銀が)政策金利を上げざるを得なくなると思われる」などとして日銀の緩和修正を期待する声もあった。多数派である「来年も円安が続く」と答えた向きからは「アメリカの高金利は来年中には終わらない」「日銀は金融緩和をやめられない」との趣旨の回答が多かった。中には、「円安は終わらない。ただドル高が来年も続くとは言えないかも?」との意見もあった。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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