主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年10月6日8時50分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼5日(木)の為替相場
(1):豪貿易収支は予想を上回る黒字
(2):仲値公示後にドル売り円買い
(3):独貿易収支も予想以上の黒字
(4):BOE副総裁 英経済への警戒感を示す
(5):米労働市場の強さは継続
(6):相次ぐFRB高官発言
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:150円へのハードルは高そう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
5日(木)の為替相場
期間:5日(木)午前6時10分~6日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪貿易収支は予想を上回る黒字
豪8月貿易収支は96.40億豪ドルの黒字で、黒字額は市場予想(87.00億豪ドル)を上回った。輸出が前月比+4%と増加した一方、輸入は前月から横ばいだった。
(2):仲値公示後にドル売り円買い
仲値公示の前後でドル売り・円買いが強まった。3日の海外市場で150円台から147円台へ一時急落した上に4日の戻りが149円台前半にとどまったことで、一段のドル安を警戒した輸出企業などがドル売りに動いたとの見方が出ていた。
(3):独貿易収支も予想以上の黒字
独8月貿易収支は166億ユーロの黒字となり、黒字額は市場予想(150億ユーロ)を上回った。輸出が前月比-1.2%と落ち込んだが、輸入も予想外に前月比-0.4%と減少した。
(4):BOE副総裁 英経済への警戒感を示す
英中銀(BOE)のブロードベント副総裁は「金融政策の引き締めが何らかの効果を上げていることは、特に英国では需要という形において、それなりに明らかな兆候がある」と述べ、「総体的に見ても需要の伸びは弱く、少なくとも失業率はある程度上昇し始めている」と警戒感を示した。
(5):米労働市場の強さは継続
米新規失業保険申請件数は20.7万件と前週(20.5万件)からやや増加したものの、市場予想(21.0万件)は下回った。失業保険申請件数は歴史的な低水準での推移が続いており、米労働市場の強さが継続していることが示された。なお、これより前に発表された米9月チャレンジャー人員削減数は前年比+58.2%の4.75万人だった(前月:前年比+266.9%、7.51万人)。
(6):相次ぐFRB高官発言
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は「労働市場と物価の減速が続けば金利据え置きは可能」と発言。「政策金利を現行水準に維持したとしてもインフレとインフレ期待が低下する中で金融政策はますます景気引き締め的になる」とし「したがって金利維持は積極的な政策措置だ」との見解を示した。その後、リッチモンド連銀のバーキン総裁は「もう十分やったのか、もっとやるべきことがあるのか、見極める時間はある」とし「今後の道筋は、インフレ圧力がピークを過ぎたと確信できるか、なお持続するとみるかに左右される。その手がかりを求め、労働市場を注意深く見守りたい」と述べた。
5日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
- ※ 「外為注文情報」とは、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況を確認できるツールのことを指します。
- ※また、高機能チャート(無料)では「取引分析」 を選択することで、チャート上に注文情報の表示が可能です。
- ※ 尚、この外為注文情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。
人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:150円へのハードルは高そう
昨日のドル/円は終値ベースで約0.4%下落した。仲値公示の前後で148.20円台まで下落するなど売りが先行。その後の海外市場では149円台を回復する場面もあったが、米長期金利が小幅に低下する中で上値は重く148円台半ばで取引を終えた。
本日は米9月雇用統計が発表される。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は昨日、「労働市場の減速が続き、インフレが当局の目標に向かって低下を続ければ金利を据え置き、政策効果が引き続き働くのを見ていることができる」と発言。米連邦公開市場員会(FOMC)の次の一手を占う上で、本日の雇用統計に市場の注目が集まっている。昨日終了時点で市場が織り込む次回11月FOMCにおける25bp(0.25%ポイント)利上げの確率は2割程度にとどまる。米9月雇用統計で11月の利上げ期待が高まり、ドル/円が再び150円を試すにはハードルが高そうだ。なお、米9月雇用統計の市場予想は非農業部門17.0万人増(前回18.7万人増)、失業率3.7%(前回3.8%)、平均時給前年比+4.3%(前回+4.3%)などとなっている。
注目の経済指標:米雇用統計
注目のイベント:ウォラーFRB理事講演
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
経済指標・イベントの結果について
主要な経済指標・重要イベントの結果について、最新情報は外為どっとコムサイトの「経済指標カレンダー」で確認できます。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。