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【2026年最新ドル円相場予想】サナエノミクスで円安・株高は続くのか?高市政権の経済ブレーン永濱利廣氏が徹底解説!【永濱利廣×神田卓也】 2026年2月27日

第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣氏をお招きし、前編ではサナエノミクスが株式市場・為替市場・債券市場にどう影響するのかを徹底解説いただきました。

【必見!】永濱利廣氏の解説動画

 

 

日本の財政は本当に「放漫財政」なのか?

外国人投資家が日本市場をいち早く評価する背景には、感覚ではなくデータによる判断があると永濱氏は指摘します。「積極財政=放漫財政」という印象とは裏腹に、実際の財政指標はいずれも改善傾向にあるとのことです。

実際、2024〜25年度の財政赤字のGDP比をG7で比較すると、最も少ないのが日本、最も大きいのがアメリカです。格下げを受けているのはアメリカの方であり、日本の財政は数字の上では相当改善していると永濱氏は分析しています。

長期金利の上昇も「良い上昇」と「悪い上昇」が混在しているものの、ファンダメンタルズ的には良好な水準まで改善してきており、最悪期は脱したと永濱氏は見ています。

今の長期金利は「高すぎる」のか?

長期金利(10年債)の上昇に対して警戒感が強まっていますが、マクロ経済的に見てそこまで高いとは言えないと永濱氏は述べています。

一般的に長期金利の適正水準は「潜在成長率+期待インフレ率」とされます。日本の潜在成長率が0%台半ば、インフレ目標が2%とすれば、理論値は2%半ば程度になります。現在の10年債利回りはおよそ2.0〜2.1%であり、むしろ低すぎた水準から正常化しつつある段階だと永濱氏は説明します。

コアCPIが約2%で推移している中、実質金利で見ても特段高い水準ではないとのことです。

さらに象徴的なのが、直近(1月分)の日本国債の売買動向です。外国人投資家の買い越しが過去2番目の規模に達しています。金利上昇のすべてを「財政への警戒」と結びつけるのは正確ではなく、ファンダメンタルズに基づく「良い金利上昇」の側面も相当含まれていると永濱氏は分析しています。

日経平均6万円超えは「割高」か?

高市政権への期待、いわゆる「サナエノミクス」が株価を押し上げたことはほぼ間違いないと永濱氏は見ています。日経平均の6万円超えも時間の問題という声が出てきている一方、「期待先行で急落リスクがあるのでは」という懸念も聞かれます。

この点をマクロ指標から検証すると、過去20年の日経平均の年度平均水準を名目GDPと長期金利で推計すると、かなり高い精度でフィットするといいます。この式に政府の経済見通し(25〜26年度)を当てはめると、2026年度の日経平均は平均で約5万8000円という試算になります。

現在の水準(5万8000〜9000円台)は来年度を先取りしている面はあるものの、極端に割高とは言えないと永濱氏は判断しています。今年度(25年度)の年度平均は約5万円程度の見込みですが、4月には3万円台前半まで下落した時期もありました。平均ベースでは割高感はないとのことです。

株価急落のリスクはどこに潜んでいるのか?

●金融システムリスク

金融不安が顕在化するときの典型的なパターンは「貸してはいけない先への過剰融資」だと永濱氏は説明します。現在警戒されているのはビッグテックへの過剰融資・過剰投資と、ノンバンク向けの過剰融資の2点です。数年前のシリコンバレーバンク・シグネイチャーバンクのような連鎖破綻が再び起きれば短期的な急落は避けられませんが、ファンダメンタルズ的に割高ではないため、そういった局面はむしろ投資チャンスになりうると永濱氏は述べています。

●半導体サイクルのリスク

株価上昇の一因である生成AIブームと半導体サイクルにも注意が必要だと永濱氏は指摘します。現在、台湾・韓国・日本いずれの出荷在庫バランスもプラス圏で好調ですが、このサイクルはいずれ反転します。「半導体が足りない→各社が一斉増産→作りすぎ→在庫調整」というパターンは過去に繰り返されており、2025年後半以降はやや注意が必要と永濱氏は見ています。

金融システム不安と半導体サイクルの下落が重なった場合は、相当厳しい展開も想定しておく必要があるとのことです。

●アメリカ財政リスクの波及

見落とされがちなリスクとして、アメリカの財政悪化が日本の長期金利に波及するシナリオも警戒が必要だと永濱氏は言います。トランプ政権の関税が違法判決などで引き下げられた場合、アメリカの税収が減少し財政リスクが高まります。これが日本の長期金利を引き上げる方向に働く可能性があるとのことです。

その他にも国内の災害リスク、中東・イラン情勢、地政学リスクなど、マーケットはつねにリスクと背中合わせだと永濱氏は強調します。

なぜ同じ「積極財政」でも、ユーロは上昇し、円は下落するというように、為替の動きが逆になるのか?

2025年はユーロやスイスフランなどヨーロッパ通貨が強い動きを見せました。ドイツが安全保障面から積極財政に転じたことが一因とされています。一方、日本の高市政権の積極財政は円高ではなく円安材料として受け取られました。永濱氏はこの違いをどう見ているのでしょうか。

ドイツはもともと財政状況が良好で、ユーロ圏全体の通貨であるため財政出動が自国通貨高として現れやすい特性があると永濱氏は説明します(マンデル=フレミングモデル的な動き)。さらにECBが政策金利を中立水準(約2%)で利下げ打ち止めにしていることや、相対的なドル安も追い風となったとのことです。

日本については、「責任ある積極財政」の「責任ある」部分が当初誤解されたこと、そして高市政権が金融政策においてハト派バイアスを持っているとの見方が、円安につながったと永濱氏は分析しています。

「責任ある積極財政」はバラマキとどう違うのか?

高市首相の積極財政を「バラマキ」と批判する声も根強いですが、永濱氏はその違いをどう説明するのでしょうか。

まず財政規律の面では、債務残高対GDP比を中長期的に下げていく範囲内で財政運営を行うという世界標準的な持続可能性の条件を前提としていると永濱氏は述べています。26年度の当初予算ベースでは歳出に占める国債費の割合が約24%まで低下しており、なんといってもプライマリーバランスが黒字化する予算になっているとのことです。

投資の方向性についても、国内の供給力強化に焦点を当てた17分野の成長・基幹投資に重点配分しているといいます。さらに重要なのが予算編成の構造改革です。高市政権の本格的な予算編成は2027年度からになりますが、これまでの「当初予算を絞り、毎年補正で上乗せ」という手法から脱却し、複数年度にわたる投資を当初予算からしっかりと組む方式に転換するとのことです。これにより企業の投資判断に必要な予見可能性が高まり、設備投資が促進されやすくなると永濱氏は説明します。

「放漫財政」という見方が根強い理由は、おそらくデフレ時代の感覚が抜けていないからだと永濱氏は指摘します。デフレ期は歳出が増えれば財政収支がそのまま悪化しましたが、インフレの世の中では歳出以上に歳入が増えるため、バランスで見なければならないとのことです。歳出の金額だけを見て膨張と判断するのは正確ではないと永濱氏は述べています。

財政状況を正しく判断するには何を見ればいいのか?

財政の健全性を測る上で最も重要な指標は何でしょうか。永濱氏によると、世界標準的な財政持続可能性の指標は債務残高GDP比であり、三大格付け機関もこれを重視しているとのことです。プライマリーバランス単体を財政指標として重視している格付け機関はどこにもないと言います。

さらに政府の中長期試算では、債務残高GDP比の変化幅を要因分解した新たな指標が導入されました。①名目成長率、②国債利回り、③プライマリーバランスの三要素で総合的に判断する枠組みだと永濱氏は説明します。

ここで重要なのがドーマー条件です。名目成長率が国債利回りを上回っていれば、プライマリーバランスが黒字でなくても債務残高GDP比は下がります。逆に長期金利が名目成長率を上回れば、プライマリーバランスの黒字化が必要になります。財政健全化の道筋は成長率と金利の関係を踏まえた上で総合的に判断すべきだと永濱氏は述べています。

食料品の消費減税に効果はあるのか?2年後の出口はどうなる?

高市首相は物価高対策として飲食料品の消費税を2年間停止する減税策を検討しています。IMFはこの措置に対して基本的には慎重ですが、対象と期間が限定的であることを踏まえ一定の評価を下しています。

永濱氏によると、食料品の消費税引き下げは経済対策ではなく逆進性緩和策だとのことです。これは本来「給付付き税額控除」へと移行するまでの橋渡し措置と位置づけられているといいます。給付付き税額控除と軽減税率は、消費税を8%から10%に引き上げる際に対立した2つの政策であり、どちらも低所得者の負担軽減を目的としています。

経済効果については、内閣府のマクロ経済モデルで試算すると、使った財源以上にGDPは増えないものの、同額の給付金の場合と比べると約2倍の乗数効果があると永濱氏は説明します。給付金は貯蓄に回りやすいですが、消費税減税は使わないと恩恵がないためだといいます。

課題は財源の確保と、2年後に元に戻す際の混乱リスクだと永濱氏は指摘します。ただし、給付付き税額控除への橋渡しという文脈が共有されれば、段階的な移行もスムーズに進む可能性があるとのことです。なお、年収178万円までへの壁引き上げも同様に「給付付き税額控除が実現するまでの2年間の暫定措置」として位置づけられており、政策の方向性は一貫していると永濱氏は述べています。

サナエノミクスは日銀の金融政策にどう影響するのか?

高市政権(サナエノミクス)が最重視するのは国内設備投資の促進による供給力・潜在成長率の向上だと永濱氏は分析します。そのためには教科書的に金利は低い方が望ましいといいます。ただし過度な円安も容認しないスタンスであり、「基本的には金利を上げたくないが、円安が行き過ぎれば致し方ない」というバランスの取り方と永濱氏は見ています。

次期日銀審議委員として国会に提示された浅田氏・佐藤氏の両名は、市場ではいずれもハト派気味のスタンスと受け止められており、これが利上げペースを緩やかにする方向に働くと永濱氏は見ています。

利上げ時期については、先物市場では3〜4月説も一部にありますが、エコノミストのコンセンサスでは7月頃が最も多い見方です。前回の利上げが昨年12月であったことを踏まえると、「半年に1回」のペースとして7月が現実的という見立てだと永濱氏は述べています。

円安は本当に物価高の主因なのか?今後の為替はどうなる?

円安が物価高の主因と思われがちですが、定量的に見ると必ずしもそうではないと永濱氏は指摘します。内閣府のマクロモデルでは、10%の円安による物価押し上げ効果は約0.2%です。2020年比で40%の円安が進んでいたとしても、年平均の押し上げは高く見積もっても0.2%程度にとどまるとのことです。

2020年以降はインフレ環境に変化しているため、直近の分析では影響が2〜3倍(年平均0.4〜0.6%程度)に高まっているとの試算もありますが、それでもインフレ率が3%を超えた主因を円安に求めるのは難しいと永濱氏は分析しています。

円安抑制には、財政規律への信認回復過度にハト派に振れない金融政策、そして日本のインフレ率が海外対比で落ち着いてきていることに伴う実質金利格差の縮小が重要な要素になると永濱氏は述べています。

今年の円相場については、昨年と同様の145円台レンジ内の推移になるというのが永濱氏の個人的な見通しです。160円を超えれば協調レートチェックにとどまらない対応が求められるため、そこが一つの上限の目安になるとのことです。

まとめ

サナエノミクスへの期待を織り込みながら上昇してきた日経平均ですが、マクロ指標で見れば現状水準は決して割高ではないと永濱氏は分析しています。短期的なリスクは常にありますが、下落局面はむしろ好機と捉えるのが賢明でしょう。サナエノミクスの全体像を正しく理解することが、これからの資産形成において重要な視点になります。

後編では、私たち個人投資家が実践すべき資産形成・投資戦略について、引き続き永濱氏に解説いただきます。

 
第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト、内閣府経済財政諮問会議民間議員
永濱 利廣(ながはま としひろ)氏
1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1995年第一生命保険入社。98年日本経済研究センター出向。2000年4月第一生命経済研究所経済調査部。16年4月より現職。国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。景気循環学会常務理事、衆議院調査局内閣調査室客員調査員、跡見学園女子大学非常勤講師などを務める。景気循環学会中原奨励賞受賞。著書に「お金と経済」、「新型インフレ」、「「エブリシング・バブル」リスクの深層」など多数。
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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