
南アフリカランドは堅調推移
南アフリカ・ランドの対ドル相場は、グローバルな為替市場におけるリスクセンチメント、そしてそれを大局的に反映して変動する安全通貨であるドルの名目実効為替レートと基本的に連動性が高い(第1図)。

第1図:南アフリカ・ランド対ドル相場とドル名目実効為替レート(資料)Bloomberg
ドルは第二次トランプ政権始動以降の下落基調が7月に一服して反発に転じた。8月に入ると、7月分米雇用統計の下振れや、8月22日のジャクソンホール会議におけるパウエルFRB議長の発言などから、9月FOMCでの利下げの可能性が高まり、ドルは再び下落方向へ推移したものの、インフレ指標にはトランプ関税の影響が顕在化しつつあることから、結果的にドルの反落はこれまでのところ限定的となっている。こうした中、8月以降のドルの反落に合わせて反発に転じたランドは、ドルの下落が限定的であるにもかかわらず、8月22日に対ドルで2024年11月以来の高値をつける(本稿執筆時点)など相対的に堅調な推移がみられている。米景気減速はこれまでのところ緩やかであり、むしろFRBの利下げ見通しが、グローバルに市場のリスク選好への支援材料となっており、高金利通貨であるランドの底堅い推移の要因となっているようだ。
南アランド見通し
南アフリカの国内情勢をみても、春先には政府予算審議などを巡って連立政権崩壊に至るリスクも警戒されていた与党第一党アフリカ民族会議(ANC)と第二党民主同盟(DA)の対立も、緊張緩和が維持されている模様だ。トランプ政権は南アフリカに対して8月7日より30%と高率の相互関税を発動しており、南ア政府は米政府と関税引き下げのための交渉中だが、現時点で南アフリカ経済は第2四半期も緩やかな景気拡大が続いている。7月31日の南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策決定会合では、インフレ安定を受けた市場予想通りの利下げ(7.25%→7.0%)と共に(第2図)、同中銀が計画中のインフレ目標(現行3.0%~6.0%)の3.0%への引き下げを織り込む動きも、ここ数ヵ月のランド高の背景にあるとの指摘が、声明でなされていた。

第2図:南アフリカ政策金利とCPI上昇率(前年比)(資料)Bloomberg
今後も米国の労働市場・インフレの動向が、FRBの利下げ見通しとグローバルなリスクセンチメントの変動を通して、ランドの相場動向にも大きく影響を与えそうだ。
【南アフリカランド/円 日足】

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新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
公益財団法人 国際通貨研究所 経済調査部 上席研究員橋本 将司(はしもと・まさし)氏
慶應義塾大学卒業後、三菱UFJ銀行に入行。国際通貨研究所研究員、グローバルマーケットリサーチ・シニアアナリスト、経済調査室ニューヨーク駐在などを歴任し、グローバルな為替市場やマクロ経済に加え、米国金融業界や金融規制など幅広い分野の調査業務に従事。現在国際通貨研究所において、為替市場や主要国の金融政策・マクロ経済動向の分析を担当。理論的な観点からの為替市場分析を得意とする。
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