執筆：外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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目次
豪小売売上高が増加していてもRBAは金利据え置き？
先週の振り返り
先週の豪ドル/円は90.17円前後、NZドル/円は84.08円前後で週初を迎えました。米国の債務上限問題に楽観的な見方が台頭したことから、米ドル/円が大幅に上値を伸ばしたことがクロス円通貨である、豪ドル/円、NZドル/円に影響を及ぼし、豪ドル/円は91.95円前後、NZドル/円は86.56円前後（いずれも執筆時）まで上値を伸ばしました。しかし 豪州、ニュージーランド（NZ）と交易関係の強い中国の景気鈍化懸念が根強かったことや、豪雇用統計が予想に反して弱い結果だったこともあり豪ドル/円、NZドル/円の上値は限定的となりました。
豪小売が強くても…
来週は週前半に豪州の注目経済指標の発表はありません。26日には豪4月小売売上高が発表されます。市場予想は前月比+0.4%となっています。豪準備銀行は高金利や高インフレが家計に与える影響を懸念しています。豪4月小売売上高が市場予想通りもしくは予想を上回る結果となれば、「旺盛な消費意欲が豪州経済を支える」との思惑から、短期的には豪ドルに買い圧力がかかりそうです。
他方で、前述の通り豪雇用統計が弱い結果だったことや、16日に公表されたRBA議事要旨（5月2日分）で、「利上げか据え置きかの判断が微妙だった」という内容から、市場は「RBAは6月の理事会では金利を据え置く」との見方が大勢となっています。こういったことから、豪ドルは対米ドルでは売られやすい状況が続くため、豪ドル/円の上値は先週同様に限定的となりそうです。
RBNZの利上げ幅は？
24日にはNZ準備銀行（RBNZ）理事会が開催され、政策金利が決定されます。前回の会合（4月5日）でRBNZは市場予想（0.25%利上げ）を上回る0.50%の利上げを実施しました。同時に発表された声明では、「短期的なインフレ圧力は増大した」「インフレを目標（1-3%）に戻すには成長の鈍化が必要」と示していました。そのため、市場は24日にもRBNZは0.25%の追加利上げを実施するとの見方を強めています。
他方で、NZ政府が18日に公表した予算案は市場が予想していたよりも拡張的な財政スタンスをとる方針が示されていました。高インフレによる生活負担軽減や、2月のサイクロン被害からの復興支援のためです。拡張的な財政スタンスは経済の加速と通貨安を招くとの見方から、RBNZが0.50%利上げを実施する可能性もあります。前述の通り市場のコンセンサスは0.25%利上げとなっていることから、0.50%利上げとなればサプライズとなりNZドルが急伸する可能性もあるため警戒しておきましょう。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は200日移動平均線（MA）に接近してきました。現時点では200MAが下向きのため、同線を上抜けたとしても上昇圧力は限定的になりそうです。目先の上値目途は5/2高値の92.43円前後となりそうです。同水準は昨年9/13高値と今年の3/24安値を結んだフィボナッチリトレースメント61.8%戻しでもあるため意識されやすい水準となりそうです。そこを上抜けると昨年11月後半に上値を抑えた94.10円付近が次の上値目途として意識されそうです。
一方で下値ですが今週同様に日足一目均衡表の転換線が目先の下値目途となりそうです。その下の水準では基準線や雲上限がサポートとして機能しそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表、200MA】
予想レンジ：AUD/JPY：89.50-94.20、NZD/JPY：84.00-88.20
5/22 週のイベント:
05/24 (水) 07:45 NZ 1-3月期四半期小売売上高
05/24 (水) 11:00 NZ ニュージーランド準備銀行（RBNZ）政策金利
05/26 (金) 10:30 豪 4月小売売上高
一言コメント：
先日、杉並区の小学校の校庭から大量の釘が出てきたとのニュースがありました。運動会の目印を付ける際に打ち込んだものの抜き忘れだったようですが、このニュースを受けて文科省が全国の教育委員会に「各学校の安全点検をしっかりやるように」との通知を行いました。5月は運動会を開催する学校も多いため、急ピッチで点検が進んでいるようです。
私が指導している少年サッカーチームも小学校のグランドを使用しているため、点検の日は練習が休みになりました。子供の安全のために必要なことですね。私はチームの代表でもあるので、教育委員会から電話がかかってきたときにはビックリしました。（笑）
外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員中村 勉（なかむら・つとむ）
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー（株）へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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