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FX「財政悪化で外為特会に手をつけたことを嫌気、ランド安」南アランド見通し

 

総括

FX「財政悪化で外為特会に手をつけたことを嫌気、ランド安」南アランド見通し

「通貨11位、株価19位」
「予想レンジ 南アランド円7.5-8.0」

(ポイント)
*財政赤字縮小の為に外貨準備に手を付けたことを市場が嫌気
*財政赤字は拡大
*先々週は最強通貨であったが、先週は最弱
*雇用悪化
*5月29日に大統領選挙と総選挙
*インフレはまだ抑制されていない 中銀総裁
*電力問題の終わりは近づいている、電力大臣
*スタンダード銀行、2024年の南アフリカ経済にプラスの見通し
*IMFは成長見通し下方修正
*与党は過半数失うか
*成長は電力、物流、財政次第
*中国と南アの関係は強化されている
*グレイリストには2025年まで残る
*人口は増加、白人は減少

(最強から最弱へ)
 南アランド円は年初の7.6近辺から、2月21日には、年初来高値の7.984を付けたが、その後失速し、先週は7.794で終えた。先々週は最強通貨であったが、先週は最弱となった。年初来順位も7位から11位へ後退した。
株価指数(全南ア指数)も冴えず、年初来3.49%安。10年国債利回りは10.14%で、他国が金利低下の中売られて利回りがやや上昇した。
 
(ランド失速の要因)
 南ア財務省は2月21日、債務の増加に歯止めを掛けるため、中銀の緊急準備金を取り崩すと発表した。向こう3年間で1500億ランド(79億3000万ドル)を引き出す。財務省は緊急準備金の取り崩しにより中銀の財務の健全性が損なわれることはなく、為替変動のショックを吸収するバッファーも十分な水準が維持されるというが、市場は、事態は深刻と見て南アランドと国債を売った。株価売られなかった。

 日本も財政支出のため、外貨準備を管理する外国為替資金特別会計(外為特会)を利用している。南アの外貨準備は約610億ドル、約1.2兆ランドなので、1500億ランドは利用可能な金額とも思えるが、財政非泊で外貨準備に手を付け始め、万が一の南アランド急落時には外貨売りランド買いする資金が不足するという思惑で売られたのだろう。日本の1兆ドルという外貨準備と比べると600億ドルは小さいと見られたのだろう。外貨準備はドルなど外貨で運用しているので、毎年、金利収入で増加するので過度に心配する必要はないだろうが、今後も景気が低迷し、税収が減れば、また外貨準備利用に注目が集まるかもしれない。(以下は過去10年の南アの外貨準備高の推移、100万ドル)。



(雇用悪化)
 雇用の悪化があった。23年4Qの失業率は32.1%、前期の31.9%から悪化した。失業者数は789.5万人で、前期の784.9万人から増加した。政府はすでに不平等の是正と社会福祉補助金の増額を求める圧力にさらされており、失業率の上昇は資金需要に関してさらなる負担となるだろう。若者のほぼ半数は職に就いていない。

(5月29日に大統領選挙と総選挙)
 ラマポーザ大統領は、大統領選挙と総選挙を5月29日に実施すると発表した。与党アフリカ民族会議(ANC)が1994年に政権を握って以来最も接戦になると予想されており、世論調査によれば、アフリカ民族会議が初めて過半数を失う可能性がある。ANCは財政出動をして景気回復を狙いたいが、財政赤字拡大は格下げ要因となってしまう。

 また中銀はインフレ抑制という自らの任務に対する脅威として財政リスクを繰り返し強調し、借入コストが長期にわたって上昇し続ける可能性があると警告している。

またラマポーザ大統領は先週一般教書演説を行ったが財政懸念もあり新規の政策発動の話はわずかだった。パンデミックの際に導入した社会保証制度を延長し、改善すると述べたが、詳細は明らかにしなかった。 主要野党の民主同盟のスティーンハイゼン党首は「18年以来実現していない計画や公約を羅列したリスト」の演説と切って捨てた。

テクニカル分析(ランド/円)

先々週は最強、先週は最弱。浮き沈み激しく

 日足、苦節雲の上、ボリバン2σ上限へ出たが、先週は雲中に沈み、一時ボリバン3σ下限に迫る。1月23日-2月23日の上昇ラインがサポート。2月22日-23日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向く。
 週足、先々週最強通貨も先週は最弱。浮き沈み激しい。ボリバン中位を下抜く。雲の上は維持。1月22日週-2月19日週の上昇ラインがサポート。11月13日週-2月19日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
 月足、6月-1月の上昇ラインがサポート。22年6月-23年11月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線下向き。
年足、2023年は円とデッドヒートを繰り返しほぼ同位の10位。今年は円を引き離すも先週は自滅し差を詰められる。21年-23年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインが上値抵抗。

喜望峰

苦しい予算教書

 ゴドンワナ財務大臣は、2024年度国家予算演説を行った。この予算では、国の現在の経済状況、成長予測、巨額の債務返済費、罰則税の引き上げ案、社会救済補助金の延長など、多くの点や話題に触れた。

・南ア経済は転換点に直面しており、アナリストや研究者の成長予測は下向き

・継続的な計画停電は止まる気配がほとんどなく、港湾と鉄道の非効率性と高いソブリン信用リスクが依然として経済成長に対する脅威

・1年前と比較して、2023/24年の財政赤字はGDPの4%から4.9%に悪化すると推定

・債務返済費への支出は、社会的保護、健康、平和と安全のためのそれぞれの予算よりも大きい

・債務は2025/26年にGDPの75.3%でピークに達すると予想

・今年の予算について、政府は2023年中期予算政策声明で概説された財政戦略の方針を堅持しており、2023/24年に基礎的財政黒字を達成し、2025/26年までに債務が安定すると述べた。

・23年の実質GDP成長率は0.6%と予想。これは2023年中計期間中に推定された0.8%成長よりも低い

・2024年から2026年までの成長率は平均1.6%になると予想

・新エネルギープロジェクトの生産開始に伴う停電緩和の予想や、インフレ低下が家計消費と信用供与を支援することで成長見通しが支えられている

情報提供元:FX湘南投資グループ
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