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FX「円売り需給。今週は貿易統計。景気後退vs日銀利上げ観測。新NISAvs口先介入」

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総括

FX「円売り需給。今週は貿易統計。景気後退vs日銀利上げ観測。新NISAvs口先介入」

ドル円=148-153、ユーロ円=160-165、ユーロドル=1.06-1.11

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨最下位(最下位)、株価2位(2位)、円売り需給変わらず。今週は貿易統計。景気後退vs日銀利上げ観測。新NISAvs口先介入」
 ドル円の日足、週足、月足は同じようにボリバン上限近くに位置している。調整が起きるとしたら、それぞれボリバン2σ上限の153あたりか。ドル円の10日ごとの過去のクセとしては2月上中旬のドル高のような偏ったクセは今後はない。3月下旬だけがドルが高そうだ。3月はリパトリと、年度末の海外支払いが大きく出るので、最近の薄商いでは、少し荒れそうだ。基本は出来高が少ないなか、貿易為替は増えているので、仲値決定前のドル買いの影響は出やすい。日経平均、NYダウの市場最高値更新を受けてのリスク選好の円売りも出る。新NISAの外貨投信絡みの円売りもある。また今週は2月上旬貿易統計の発表がある。

 日銀は春闘での賃金引上げ状況を見て4月にマイナス金利を正常化に戻すことを示唆しつつ、大規模金融緩和状態は続くとしたことで円売りは続いている。ただ景気後退状況であり、政府も月例報告で景気判断を下方修正している中で、金融政策の変更は日銀としては珍しく余ほどの覚悟があるのだろう。物価が低下傾向にあるので心配だ。今週は1月消費は物価の発表がある。

 また介入警戒感はあるが、政治は別として、日経平均史上最高値など日本全体の明るい雰囲気を壊すことにもなる円買い介入をしていいものかと思う。

(仲値動向基本)

2/26(月)3連休明けゴトビ
2/27(火)下旬ナカネ
2/28(水)月末ナカネ
2/29(木)月末ナカネ
3/1(金)通常のナカネだが、月末の円買いは剥げ落ち

*米ドル「通貨首位(首位)、株価(NYダウ)8位(6位)、米国は利下げ観測後退も強い経済」
 ドルはさらに上昇、対円で年初来6.75%高で12通貨中、首位。株価も金利高止まりの中でもS&Pとナスダックが6%超高、ダウも史上最高値を更新して3.83%高。米国は長い目で見れば「4%ルール」に則って強い。4%ルールとは、毎年、資産運用額の4%未満を生活費として切り崩していれば、30年以上が経過しても資産が尽きる確率は非常に低いという内容。米国の一般的な株価の成長率(7%)から物価上昇率(3%)を差し引いて計算されたもので、要は投資で得られる利益の範囲内で生活を続ければ、半永久的に資産が目減りすることなく生活ができるという考え方。

 さて、FOMC議事要旨で、金利をいつまで現行水準に維持すべきかに不透明感が存在する中、政策担当者の大半が尚早な利下げに対する懸念を示していたことが分かった。先週はFRBの多数の関係者から金融政策の意見が出たが、ほぼFOMC議事要旨に沿ったものであった。市場もFRBが利下げに着手する時期の予想が5月から6月に後ずれしたほか、想定される利下げ幅が大幅に縮小。今週の個人消費支出(PCE)が金融政策の行方の手がかりになる可能性がある。

 米経済は利下げ観測後退感があっても強い。また依然、世界中で地政学的不安もあるので、安全資産としてのドル買いも根強い。アトランタGDPナウは2.9%でIMF予想の2.1%を超えている。2月CPIナウは3.11%、コアは3.7%だ。

*ユーロ「通貨7位(6位)、株価6位(7位)DAX)、ユーロドルは8日連続上昇したが値幅は小さい。景気は弱いがインフレ懸念強い」
 ユーロドルは小刻みに8日連続上昇したが1.07台から1.08台へ100ポイント上昇と値幅は小さい。ECBの1月理事会の議事要旨では、急速な賃金の伸びと基調的な物価上昇圧力を踏まえると利下げに関する討議は尚早であるものの、インフレは制御されつつあるとの認識が共有されていたことが明らかとなった。

 ECB幹部からも利下げには慎重な意見が多く出た。
ラガルド総裁は、4Qの賃金上昇が比較的緩やかだったことには勇気づけられるとしながらも、インフレ退治を確信するには不十分との認識を示した。
ナーゲル独連銀総裁は、ユーロ圏のインフレ高止まりに懸念を示し、「早期利下げの誘惑」に抵抗すべきという見解を示した。
エストニア中銀総裁は「最初の利下げは辛抱強く待つのが賢明、賃金上昇率はインフレ目標との整合性を確保できる水準を依然として上回っている」とした。

 一方、ユーロ圏の景気は独が特に弱い。独連銀は景気後退に陥っている可能性が高いとの見解を示した。外需が弱く、消費は振るわず、高金利により国内投資も抑制されているためという。
2月のユーロ圏総合PMIは48.9と、前月の47.9から上昇したが、市場予想を上回った。独総合PMIは46.1と、予想外に低下、前月は47.0であった。

 今週は2月消費者物価の発表があり、予想は弱い。

*ポンド「通貨2位(3位)、株価14位(14位)、メキシコを抜き2位へ浮上、景気後退から早期に脱却か」
  ユーロドル同様に小刻みに上昇、対ドルで1.25台から1.26台へ上昇。2月の総合PMIは53.3と、1月の52.9から上昇し9カ月ぶりの高水準となった。サービス業が好調だったほか、企業の楽観度が2年ぶり高水準だった。景気後退から早期に脱却するとの見方を強める内容となった。 ただ、インフレ圧力は強く、英中銀は引き続き利下げに慎重になる可能性が高い。24年1Qの経済成長率は0.2-0.3%になる見通し。昨年3Qと4Qはマイナス成長。
 
 金融当局関係者の意見は前回理事会も利下げと利上げ派がいたように様々だ。

ベイリー英中銀総裁は、市場が織り込む年内の利下げ期待に「満足している」としながらも、2023年後半に景気後退に陥った英経済が持ち直している兆しがあると述べた。
ブロードベント副総裁は、今年利下げを実施する可能性はあるが、それは経済の動向次第と述べた。
グリーン英中銀政策委員は、利下げに賛成票を投じるにはインフレ圧力緩和の一段の証拠が必要になるとの見解を示した。
ディングラ委員は、英経済には大きなリスクがあり、金融引き締め政策はそれを悪化させるだけだとした。

*豪ドル「通貨9位(10位)、株価12位(11位)、賃金上昇、PMI改善で堅調、今週は消費者物価」
 対ドルで小刻みに上昇、円が弱いことから、対円では先週は97円台から一時99円台をつけた(終値は98.82)。2023年4Qの賃金価格指数は前年比4.2%上昇した。3Qの4.1%から加速し、2009年初頭以来の高い伸びとなった。チャーマーズ財務省は、「政府はこのニュースを歓迎しているが「調子に乗って」はいない」と語った。「実質賃金が3四半期連続で増加したのは2018年以来初めてだ」と述べた。
 また、2月の総合PMIは51.8と前月の49から上昇、製造業は前月の50.1から47.7へ落ち込んだが、サービス業が49.1から52.8へ上昇ひた。

RBAは最新の議事要旨で追加利上げの可能性を排除する前にインフレ率が低下していると確信する必要があるとし、それまでにはまだ時間がかかるとの認識を示した。ただ、消費鈍化により経済がより良いバランスに戻りつつあるとも指摘した。インフレ動向の進展や労働市場の逼迫が予想以上に速いペースで緩和していることを踏まえて金利据え置きを決定した。
豪の経済がバランス良く回復していることを好感し豪ドルは上昇、今週は1月消費者物価でそれをチェックする。また先週は春節明けの中国株価市場の回復も好感された。豪は貿易での中国依存度が高い国だ。

*NZドル「通貨6位(8位)、株価15位(15位)、先週は最強通貨、2月もここまで最強。今週は政策金利決定、タカ派的対応か」
 NZドルはさらに上昇、年初来8位、先週は最強通貨、2月もここまで最強通貨だ。オア中銀総裁は 「インフレ期待が2%の水準にしっかりと固定されるためには、まだ取り組みが必要だ」とし、生産能力への圧力とインフレ期待が金融政策委員会の焦点になると説明した。コンウェイNZ中銀金融政策委員は「4Qのインフレ率は4.7%で、中銀予想の5%を下回ったものの、非貿易品インフレは中銀が予想したほど減速しなかった。国内の物価圧力を推定する非貿易品は依然として粘り強く、2%には程遠い」と述べた。

 2月28日の政策金利決定では5.5%に据え置きの予想が多いが、ANZ銀行は2月と4月に利上げすると予想している。HSBCやKIWIBANKは据え置き予想だが、総裁のコメントはタカ派になるもとされている。24年4Q期まで金利を据え置くと予想されているが、再利上げや利下げは予想より遅れる可能性が高いとしている。

 ただ景気が頗る良いわけでもない。1月の総合PMIは前月の46.9から上昇したが、23年4Qの小売売上高は前年比4.1%減と3Qの3.4%減から悪化している。苦しいところもある最近のNZドル上昇だ。

テクニカル分析

*ドル円「ボリバン上位で底堅い。週足、月足強い」
日足、ボリバン3σ上限から小反落も上位で横ばい推移。2月22日-23日の上昇ラインがサポート。2月13日-23日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、4週連続陽線。ボリバン2σ中位越え維持。2月12日週-19日週の上昇ラインがサポート。11月13日週-2月12日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、1月大陽線。2月もここまで陽線。23年4月-24年1月の上昇ラインがサポート。22年10月-23年11月の下降ラインが上値抵抗。5か月線上向く、20か月線は上向き。
年足、2022年、2023年と長い上ヒゲの陽線となった。151円後半がダブルトップとなる。22年-23年の上昇ラインがサポート。1985年-2022年の下降ラインが上値抵抗。

*ユーロドル「小刻みに上昇もボリバン2σ上限と雲下限とに抵抗される」
日足、雲下で小刻みに上昇。一時ボリバン2σ上限に達し雲下限にも近づくも反落。2月21日-23日の上昇ラインがサポート。2月22日-23日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く、20日線下向き。
週足、雲中。下ヒゲの長い短い陽線が2週続き先週は陽線。ただ上ヒゲ長い。2月12日週-19日週の上昇ラインがサポート。12月25日週-2月19日週の下降ラインが上値抵抗。下向きの5週線が上向きの20週線を下抜く。
月足、2月は下押すも戻し、現在、ほぼ寄り引き同時。10月-11月の上昇ラインがサポート。12月-1月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線上向き。
年足、2023年は陽線。ドルより強かった。22年はボリバン2σ下限到達し長い下ヒゲでサポ―ト。今年は陰線スタート。22年-23年の上昇ラインがサポートできるか。14年‐21年の下降ラインが上値抵抗。

*ユーロ円「13日連続陽線、一時ボリバン2σ上限上抜く」
日足、一時ボリバン2σ上限を上抜く。2月21日-23日の上昇ラインがサポート。2月22日-23日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、ボリバン2σ上限へ近づく。3週連続陽線。2月12日週-19日週の上昇ラインがサポート。11月13日週-2月19日週の下降ラインが上値抵抗。5週線が20週線を上抜く。
月足、11月-1月の下降ラインを上抜く。12月-1月の上昇ラインがサポート。5か月線、20か月線上向き。
年足、4年連続陽線。24年も陽線スタート。22年-23年の上昇ラインがサポート。08年-23年の下降ラインが上値抵抗。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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