
作成日時:2026年5月19日12時30分
トルコリラ円は、リラ安と円安が相殺し合い、重さを残しながらも大きな方向感が出にくい状況です。中銀の防衛姿勢は下支えとなる一方、インフレの粘りが上値を抑えています。
本稿では、外貨準備や金融安定報告などはありますが、6月1日の国内総生産(GDP)発表まで決定打となる材料が乏しい中で、トルコリラ円の見通しを解説します。
今後1週間の予想レンジ:3.40~3.55円
トルコリラ円 週間見通し:2026年5月19日~5月26日
中銀のリラ安防衛でも、リラ円の回復は鈍い
2026年5月19日時点のトルコリラ円は、3.48円台で推移しています。ドル/トルコリラは45リラ台後半とリラ最安値圏にあり、トルコリラそのものには緩やかな下落圧力が残っています。一方で、ドル円が158円台後半まで円安が進んでおり、この円安がトルコリラ円を支えており、強弱材料が混在する中で微妙なバランスをキープしています。
トルコリラを考えるときの大前提
トルコリラ円を見るときは、まずドル/トルコリラを確認する必要があります。トルコリラ円は、おおまかに言えば「ドル円をドル/トルコリラで割った水準」に近いためです。
現在は、ドル/トルコリラが45リラ台後半と史上最高値圏(リラにとっては最安値)で推移しており、リラ安継続の見方が強いことを意味します。ただし、同時にドル円が158円台後半へ上昇しているため、結果的にトルコリラ円は大きく崩れていません。
このため、ドル/トルコリラが46リラ方向へ進むか、そしてドル円が158円台を維持できるかが今週のポイントとなります。リラ安だけならトルコリラ円の下落は緩やかになりやすいですが、リラ安と円高が同時に起きると、3.40円方向へ下げやすくなるため、警戒は怠れません。
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トルコリラ円の基礎:まずドル/トルコリラを確認
トルコリラを考えるうえで、まず初めに注目しなければいけないのは金融政策です。トルコ中央銀行(TCMB、以下トルコ中銀)は、2026年4月22日の会合で政策金利を37.00%に据え置きました(3月の会合で、100bp=1.00%ポイント利下げ)。高い金利を維持することで、インフレとリラ安を抑えようとしている状況です。
ただし、高金利だからトルコリラが安心して買われる、という単純な話ではありません。2026年4月のトルコ消費者物価指数(CPI)は前年比+32.37%、前月比+4.18%と、3月から再び上振れしました。物価上昇が強いままだと、通貨の価値が下がりやすいという見方が残ります。
さらに、2026年5月14日のインフレ報告では、トルコ中銀が2026年末のインフレ見通しを+26%へ引き上げました。これは、利下げを急がないという点ではリラの支えになりますが、同時にトルコ中銀がインフレが想定よりしつこいことを認めたことでもあり、トルコリラの上値を重くする一因です。
トルコ金融政策とインフレがトルコリラ円に与える影響
では、こうしたトルコ中銀の行動を市場は、どのように受け止めているのかといえば、リラ安防衛姿勢を一定程度評価しています。高金利を維持し、必要なら引き締めを続ける姿勢は、リラの急落を防ぐ材料です。このような点は、トルコリラへの安心感につながります。
ただし、投資家が見ているのは金利の高さだけではありません。「その高金利政策が本当に続くのか」という信頼感も重要です。トルコでは、過去に金融政策が政治の影響を受けたことがあるため、政策の持続性に対する不安が残りやすいです。
外貨準備と政策の持続性から考えるトルコリラ円
外貨準備の回復も安心材料です。2026年5月14日の資料では、総外貨準備が1720億ドル、スワップを除くネット準備が390億ドルと示されました。これはリラ防衛の余力を示します。ただし、外貨準備は「どれだけあるか」だけでなく、「その回復が続くか」も重要です。今週の週次外貨準備は、市場心理を左右しやすい材料になります。
今週のトルコリラ円の見通しと注目材料
今週は、トルコ側では週次外貨準備と金融安定報告が一応注目されます。外貨準備が回復していれば、リラ防衛への安心感につながり、反対に、準備高の減少が目立つ場合は、リラ安を抑える力への不安が出やすくなります。とはいえ、トルコ中銀の高金利姿勢があるため、急速なリラ安は起きにくいと見ています。一方で、インフレ見通しの引き上げやドル/トルコリラの最安値圏推移を考えると、リラを積極的に買う理由も強くありません。
日本側では、4月全国CPIが注目です。物価が強ければ日銀の利上げ観測につながり、ドル円が下がる可能性があります。
トルコリラ円のテクニカル分析:3.52~3.55円では重さを確認か

日足では、トルコリラ円は5月初旬に3.418円まで下げたあと、3.48円台まで戻しています。10日移動平均線は3.46円付近、50日移動平均線は3.53円付近です。現在値は10日移動平均線を上回っているため、短期的には反発基調です。
ただし、50日移動平均線を下回っているため、中期的にはまだ下落トレンドの中です。RSI(9日)は51.1で、中立圏です。売られすぎからは戻りましたが、買われすぎではありません。つまり、今の上昇は強い上昇トレンドではなく、急落後の戻りと見るのが自然です。
売買戦略は、基本的に戻り売り優勢です。3.52~3.55円では、上値の重さを確認しながら戻り売りを検討しやすいです。下値では、3.46円が最初の支えです。ここを割り込むと3.43円、さらに3.40円方向への下押しに注意が必要です。
トルコリラ円見通しまとめ
今週のトルコリラ円は、3.40~3.55円のレンジ、中心は3.45~3.53円で見ています。トルコ中銀の高金利姿勢は下支えになりますが、インフレ見通しの引き上げとドル/トルコリラの最安値圏推移が上値を抑えます。
したがって、基本スタンスは横ばいないし小幅下押しです。円安が続けば下落は緩やかになりやすいですが、円高が重なると3.40円方向への下押しリスクが高まりやすいです。
今後の重要イベント
- 5月20日(水)27:00 米国 FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨
- 5月21日(木)21:30 米国 4月住宅着工件数、4月建設許可件数
- 5月21日(木)22:45 米国 5月製造業・サービス業PMI速報
- 5月22日(金)08:30 日本 4月全国消費者物価指数(CPI)
- 5月22日(金)未定 トルコ 金融安定報告、週次外貨準備、4月貿易収支確報、5月企業景況感、5月設備稼働率
- 5月25日(月)16:00 トルコ 5月経済信頼感指数
- 5月25日(月) --:-- 米国 メモリアルデー休場
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