
執筆:外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は98.20円前後で、ニュージーランド(NZ)ドル/円は86.66円前後で週初を迎えました。前週末(4日)に行われた自民党総裁選にて、財政拡張や金融緩和を志向する高市氏が新総裁に任命されたことで、日銀の追加利上げが遅れるとの観測から週初から円売りが続きました。8日にはNZ準備銀行(RBNZ)が政策金利を発表。市場予想の25bp(0.25%ポイント)を上回る50bp利下げとなり、NZドルが売られる場面も見られましたが円売り圧力の方が強かったため、NZドル/円の下落は一時的なものとなりました。豪ドルは日米の株価上昇や、金価格の上昇も支えとなりました。9日には豪ドル/円は2024年11月以来となる100.95円前後、NZドル/円は88.57円前後まで上値を伸ばしています。
金価格の動向に注目
7日に豪産業科学資源省が公表した、資源・エネルギーに関する四半期報告によると、豪州の金輸出額は今年度(2025年7月-26年6月)に約600億豪ドル(約5兆9700億円)となり、2年前の約2倍になる見込みとなりました。主な要因は「米ドル建て金価格の異例の高騰」です。これにより、豪州の資源(コモディティ)輸出では金が液化天然ガス(LNG)を抜いて同国第2位の輸出品目になるとの見通しとなりました。このところ、米国の政府機関の一部閉鎖やフランスの政局不安、ロシア情勢への不安など様々な要因により、金価格は8日に史上初の4000ドル台に乗せました。豪州は金の産出量で世界第3位(1位中国、2位ロシア)です。日米の株価指数が上昇していることも、資源国通貨であり、リスクセンチメントに敏感な豪ドルの支援材料となっています。通常、金が買われるのはリスクオフ時ですが、ユーロ圏や米国に政治的なネガティブ材料がくすぶっており、ユーロや米ドルが買いにくく、円も日銀の追加利上げ後ずれ観測から買いにくい状況下で投資資金が金に回っているとの声も聞こえる現状では、株高、金高、豪ドル高傾向が続きそうです。
豪雇用統計の注目点
豪準備銀行(RBA)は8月12日の理事会(金融政策会合)で25bp(0.25%ポイント)の利下げを実施、翌9月30日の理事会では金利を据え置いています。労働市場については「概ね安定しており、依然としてやや逼迫していることを示唆している」評しています。また、四半期統計と比べブレが大きく重要度は下がりますが、直近の豪8月消費者物価指数は前年比+3.0%と伸びが加速(7月+2.8%)しており、RBAのインフレ目標(2~3%)のレンジ上限に到達していることもRBAが様子見姿勢を強める一因となっています。 来週は16日に豪9月雇用統計が発表されます。8月の豪雇用統計では雇用者数がマイナスに陥るサプライズがありましたが、失業率は7月から横ばいの4.2%でした。RBAが8月に公表した金融政策報告では年末時点での失業率を4.3%と予測していることから、豪9月雇用統計で失業率が4.3%を大きく上回らない限り、RBAの追加利下げ観測は高まる可能性は低そうです。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は年初来高値を更新して、約11カ月ぶりに100円台に乗せています。上値目途は昨年11月20日高値の101.56円前後や同11月7日高値の102.40円前後が意識されそうです。一方下値は、9月1日以降日足一目均衡表の基準線がサポートとして機能しています。まずは同線を下抜けられるかが注目点となります。その下の水準では先週安値の(96.86円前後)が意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】

予想レンジ:AUD/JPY:98.00-103.00、NZD/JPY:86.00-90.00
10/13週のイベント:
10/13 (月) 未定 中国 9月貿易収支
10/14 (火) 09:30 豪 9月NAB企業景況感指数
10/14 (火) 09:30 豪 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
10/15 (水) 10:30 中国 9月消費者物価指数(CPI)
10/15 (水) 10:30 中国 9月生産者物価指数(PPI)
10/16 (木) 09:30 豪 9月新規雇用者数
10/16 (木) 09:30 豪 9月失業率
一言コメント:
今週末は3連休。我が家は息子の運動会やサッカーの試合などイベントが盛りだくさんです。ただ、土曜日は雨が降る予報もちらほら。最近は天気予報がコロコロ変わりますので、土曜日も快晴に変わってくれることを祈ってます。
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外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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