総括
FX「フィッチ投資適格級維持、好悪材料併記。ペソ敢闘中、株は強い」メキシコペソ見通し
予想レンジ 6.9-7.4
(通貨6位、株価4位)
(ポイント)
*フィッチが投資適格級を維持、好悪材料併記
*年初来安値更新後に5連続陽線、年初来6位
*ドルより強いが円やスイスフランに引き離される
*メキシコ株価上昇は一縷の望み
*トランプ政権は水とトマトにも圧力
*日本の自動車会社は米国へ移転するのか
*プラン・メキシコでエネルギー自給
*関税の傷浅いメキシコ、中国・ベトナムより優位に
*米関税ではUSMCAに基づき優遇される
*ただ指標は引き続き弱くリセッション懸念もあり
*OECDの成長見通しは大幅下方修正
*S&P、フィッチがメキシコの財政運営を評価
(健闘。年初来安値更新から、5日連続陽線で反発、株が強い)
4月9日に対円で6.84円の安値をつけた。現在は7.22円、今月は対円で1.37%安、年初来で4.24%安。年初来で6位だが、「米国が中国に245%の関税を課す」などの混乱は続きリスク回避で買われる円やスイスフランに引き離されてきた。
ボルサ株価指数も、年初来7.08%高とプラス圏で希望が持てる。日経平均やナスダックの10%以上の下げと比べれば健闘している。10年国債利回りは9.82%、年初の10.83%からは低下している。
(格付け維持、米国の圧力が今年打撃を与えるも、2026年の見通しは明るい)
フィッチは、「慎重なマクロ経済政策の枠組み、堅固な対外財政、そして大規模で多様化した経済によって支えられている」評価する一方、「今年景気後退(0.4%縮小予想)に陥ると予想する」としながらも、ソブリン信用格付けを最低の投資適格レベルのBBB-、見通し安定的、に据え置いた。
「長期的成長の鈍化、ガバナンス指標の弱さ、低い歳入基盤と予算の硬直性に関連する財政上の課題、国営石油会社ペメックスからの偶発債務によって制約されている」と付け加えた。
フィッチは、メキシコと米国の貿易関係の最終的な「運命」は「少なくとも2026年半ば
に予定されているUSMCA協定の見直しまでは不透明なままになる可能性が高い」と述べ
た。「今のところ、経済が関税を消化し続け、米国の成長が引き続き軟調であり、2026
年には0.8%の緩やかな回復を予想している」と述べた。
フィッチの報告書は、「経済活動の停滞にもかかわらず」2025年の最初の2か月間で税収が前年比10%増加したことを強調した。税収の増加は「支出削減が順調に進んでいる一方で、回復力と一部の施策(電子商取引への課税など)による利益の可能性」を反映していると述べた。
(ホンダ、米国への工場移転を否定)
メキシコの経済大臣は、ホンダ幹部はメキシコでの生産計画を変更していないと述べた。
ホンダメキシコは、メキシコでの事業に影響を及ぼすような決定は行っておらず、検討もしていないと述べた。
(トランプ政権は水とトマトにも圧力)
*トランプ大統領はメキシコが米テキサス州に水を供給する協定を守らなければ関税や制裁を課すと発言、両国間の対立を激化させた。メキシコは米国と81年前に締結された水資源共有条約を遵守するための代替案を探っており、すでに提案書を米国当局に送付したと述べた。
*米国はメキシコ産トマトの輸入に21%の関税を課す。メキシコのベルデグ農相は、メキシコの生産者がトマトを不当に低価格で販売しているという米国の生産者による非難は根拠がなく、両国は交渉すべきだと述べた。
(トランプ政権との交渉継続が投資家の信頼感を高めている)
シェインバウム大統領は、米国と国境における安全保障協力に関する外交文書を米国に送ったと発表した。アナリストはシェインバウム大統領が粘り強くトランプ米大統領との交渉姿勢を続けていることが投資家の信頼感を高めていると指摘する。
テクニカル分析
5日連続陽線で中位に近づく、まだ雲の下
日足、ボリバン3σ下限を一時下抜いた後、反発。現在5日連続陽線でも、依然ボリバン下位。4月16日-17日の上昇ラインがサポート。4月9日-17日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く、20日線下向き。
週足、ボリバン3σ下限を一時下抜く。22年12月19日週-25年4月7日週の上昇ラインがサポート。25年3月24日週-31日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
月足、今年はじり安も4月は下ヒゲ出し抵抗中。2σ下限に近い。
23年3月-25年4月の上昇ラインがサポート。25年1月-2月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線下向き。
年足、2024年は4年振り対円で年足が陰線。今年もここまで陰線。23年-24年の上昇ラインを下抜く。21年-22年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
プラン・メキシコでエネルギー自給
シェインバウム大統領は「プラン・メキシコ」に関する18のプロジェクトについて講演した。プロジェクトの中には、エネルギー自給率を高める政策として、次の内容が含まれた。
・ガソリンやディーゼルなどの国内生産を30%増やし、天然ガスの輸入量を減らす。
・電力庁(CFE)への投資を加速し、発電量を増加させる。増加させる発電量の25%を再生可能エネルギーとする。
・鉄道網、高速道路、港湾、空港への投資についても新たなプロジェクトを発表
・地産地消を強化する産業として、繊維、履物、家具、鉄鋼、アルミニウム、半導体、太陽光発電パネル、バッテリー、クリエイティブ産業を挙げた。
・自動車産業においても地産地消を促進すべく、5月に具体的な法令を公布するとした。
(JETRO)
(注)メキシコは産油国であるが、ガソリンなどの輸入を含めると、エネルギー貿易は赤字である
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