主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年2月10日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼9日(木)の為替相場
(1):山口元副総裁の名前にアルゴリズムが反応
(2):独1月CPI 前月から伸び加速
(3):BOE内でインフレ見通しの意見割れ
(4):米新規失業保険申請件数 前週から増加
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:5・10日仲値通過後は日銀人事睨みへ/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
9日(木)の為替相場
期間:9日(木)午前7時10分~10日(金)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):山口元副総裁の名前にアルゴリズムが反応
自民党議員の話として「日銀総裁人事、アベノミクス転換示唆なら調整難航も」「山口元副総裁の場合は党内がまとまらない」との報道が伝わると一時的に円買いが進んだ。総裁候補の中で最もタカ派と見られる山口元副総裁の名前にアルゴリズムが反応したとの見方が出ていた。もっとも、記事の内容はむしろ山口氏の可能性は低いことを示唆していたため、一転して円売りに傾くなど、ドル/円やクロス円は乱高下した。その後、日銀人事案を来週14日に国会に提示する方向で調整しているとの報道も伝わった。
(2):独1月CPI 前月から伸び加速
独1月消費者物価指数(CPI)・速報値は前年比+8.7%と前月の+8.6%からわずかに加速した(予想+8.9%)。一方欧州連合(EU)基準の1月CPIは前年比+9.2%と前月の+9.6%から減速した(予想+10.0%)。これより前にビルロワドガロー仏中銀総裁は「今年上半期にインフレはピークを迎え、その後は低下していく」と発言していた。
(3):BOE内でインフレ見通しの意見割れ
ベイリー英中銀(BOE)総裁は「労働市場は非常にタイトである」としながらも「今年はインフレ率が急速に低下すると予想」と発言。一方、ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員は「インフレ予測にかなりの上振れリスクがある」とし「持続的なインフレの兆候に注意を払い続け、必要であれば力強く行動する」と述べた。BOE内でインフレ見通しに関して意見が割れていることが改めてわかった。
(4):米新規失業保険申請件数 前週から増加
米新規失業保険申請件数は19.6万件と予想(19.0万件)を上回り、前週(18.3万件)から増加した。これを受けてドル/円は130.33円前後まで下落した。ただ、ドルは売り一巡後に反発。その後、米30年債入札が不調に終わったため米長期金利が上昇したこともあって131円台後半まで持ち直した。
9日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:5・10日仲値通過後は日銀人事睨みへ
昨日のドル/円は方向感を欠く展開となった。東京市場で131.83円前後まで買われた後は、欧州市場からNY市場序盤にかけて売りが優勢となり130.33円前後まで反落。しかし、NY市場中盤以降は米長期金利の上昇を背景に買戻しが入ると131円台後半へと切り返した。終値は131.53円前後で前日終値(131.45円前後)とほぼ同水準だった。
市場の関心は来週発表される米1月消費者物価指数(CPI)と日銀正副総裁人事に向っているようだ。なお、昨日のNHK報道によれば日銀人事の国会提出は「来週初」にも行われるとのこと。次期日銀総裁については雨宮副総裁が最有力と見られるが、もし他候補の名前が挙がれば円高に振れる公算が大きい。本日および今週末にも観測報道・リーク報道が飛び出す可能性があるため警戒が必要だろう。
本日のドル/円は5・10日仲値を通過すれば様子見ムードが広がりやすく、ポジション調整主体の値動きとなりそうだ。
注目の経済指標:英10-12月期GDP・速報値
注目のイベント:米ウォラーFRB理事講演
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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