主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2022年9月15日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼14日(水)の為替相場
(1):円買い・ドル売り介入への警戒感が広がる
(2):英CPIは予想を下回る
(3):ユーロ圏鉱工業生産は予想を下回る
(4):9月FOMCでの超大幅利上げ期待がやや後退
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:不安定な値動きが続きそう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
14日(水)の為替相場
期間:14日(水)午前6時10分~15日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):円買い・ドル売り介入への警戒感が広がる
財務官や財務相から円安けん制発言が相次いだ。さらに日銀が金融機関に相場水準を確認する「レートチェック」を実施したと報じられたことを受けて、政府・日銀が円安を食い止めるために円買い・ドル売り介入を行うのではないかとの警戒感が広がった。円を買い戻す動きが強まると、ドル/円やクロス円が下落。なお、市場筋によると日銀の「レートチェック」は1ドル=144.90円台近辺で行なわれた模様だ。その後、鈴木財務相が改めて「(為替介入について)やるときは間髪入れずに瞬時にやる」などと発言したことも伝わった。
(2):英CPIは予想を下回る
英8月消費者物価指数(CPI)は前年比+9.9%と予想(+10.0%)を下回った。前月は約40年ぶりの高い伸びとなる+10.1%を記録していた。前年比の伸び率が鈍化するのは2021年9月以来約1年ぶり。一方、エネルギー・食品・アルコール飲料・タバコを除いたコアCPIは前年比+6.3%と予想及び前月(+6.2%)を上回る伸びとなった。
(3):ユーロ圏鉱工業生産は予想を下回る
ユーロ圏7月鉱工業生産は前月比-2.3%と予想(-1.1%)を下回る大幅な落ち込みとなった。
(4):9月FOMCでの超大幅利上げ期待がやや後退
米8月生産者物価指数(PPI)は前年比+8.7%と予想(+8.8%)を下回り、前月(+9.8%)から伸びが鈍化。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPPIは前年比+7.3%だった(予想+7.0%、前月+7.7%)。これを受け、前日の米8月消費者物価指数(CPI)後に浮上していた9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での100bp(1.00%ポイント)の利上げ期待はやや後退した。
14日(水)の株・債券・商品市場
外為注文情報
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本日の見通し
ドル/円の見通し:不安定な値動きが続きそう
昨日のドル/円は145円台目前で失速。終値は前日比0.95%安の143.16円前後だった。前日のドル全面高の流れを引き継いで144.94円前後まで買いが先行したが、本邦政府・日銀による円買い介入への警戒感が広がると海外市場で142.55円前後まで反落した。日銀は市場関係者に相場動向などをヒアリングする「レートチェック」を実施。鈴木財務相は円買い介入について「やるときは間髪入れずに瞬時にやる」などと発言した。
政府・日銀が実際にドル売り・円買い介入に踏み切る可能性はきわめて低いと見るが、今後も折に触れて口先介入による円安けん制が入りそうだ。ドル/円が再び145円台に接近すれば介入への警戒感も再燃するだろう。米利上げ加速観測でドルの先高観を強める市場と、円安加速への警戒を強める政府・日銀の心理戦で、ドル/円は不安定な値動きが続きそうだ。
注目の経済指標
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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