
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年5月8日 15時50分
来週のユーロ円・ポンド円は、日本の通貨当局による介入警戒や中東情勢の不透明感に加え、ユーロ圏・英国の景気指標への警戒心、テクニカル面での地合いの悪さから、さえない展開が見通せます。来週の為替相場を、トレーダー目線で整理します。
ユーロ円・ポンド円、介入観測で円主導の乱高下
5月4日週のユーロ円やポンド円は、ドル円の動向に連動する格好となりました。米国とイランの協議を巡る報道が錯綜する中、ユーロやポンドは方向性が定まらず、もっぱらドル円の動向に連れて振幅しました。ユーロ円は182.052円〜185.038円、ポンド円は210.775円〜214.225円のレンジで推移しました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
来週のユーロの見通し:GDPと中東情勢で上値重い展開か
来週(5/11〜5/15)のユーロ円は、円買い介入への警戒とユーロ圏の景気不安が重なり、上値の重い展開になりそうです。12日のユーロ圏ZEW景況感、米CPIに加え、13日のユーロ圏1〜3月期GDP改定値が相場の方向性を左右する材料となりそうです。ユーロ圏経済の回復ペースの鈍さが改めて確認されれば、景気減速懸念からユーロの上値は重くなりやすい一方、エネルギー高を背景としたECBの利上げ観測が残るため、ユーロ円の下値も一方的には広がりにくいと見られます。
来週のポンドの見通し:マン英MPC委員の発言に注意
来週(5/11〜5/15)のポンド円は、英指標の弱さと日本の介入警戒が重なり、全体として軟調に推移しやすい展開になりそうです。13日のマン英MPC委員の講演にも注意が必要です。講演本文は日本時間23時に公表予定で、講演自体は26時に予定されています。市場では英中銀の利上げ期待が一時より後退しており、14日の1〜3月期GDPが弱ければ、景気減速懸念からポンド売りが強まりやすくなります。さらに、政権不安が再燃すればポンドの上値抑制要因となる可能性があります。一方、日本サイドでは円買い介入への警戒感がくすぶる状況が続きそうなことも、ポンド円の上値が抑えられる一因と見られます。総じて、来週のポンド円は「英指標で下押しされやすく、介入警戒で上値も伸びにくい」といった状況下で、215円台では上値が抑えられやすいと考えます。
ユーロ円:100日線割れで戻り売りが優勢
ユーロ円は最高値から急落後の反発が弱く、現在は100日移動平均線をわずかに下回る水準で推移しており、全体的に下落優勢の地合いです。10日線が強い上値抵抗となる一方、MACDはデッドクロスとマイナス圏入りで下落モメンタムが強まっており、意識される水準は上が184.24〜184.92円、下が182.052円です。100日線を割り込んでいることから戻り売りが基本で、184円台前半〜後半で上値が重ければ売りが有利と考えられます。また、182.052円を下抜ければ下落加速の可能性が高まり、逆に182円付近で強い反発が出た場合のみ限定的に買いが検討される局面です。総じて、まずは100日線を上抜けられるかどうかが焦点で、上値が抑えられるようであれば戻り売りがセオリーとなります。
ポンド円:MACDのデッドクロス継続
ポンド円は216.604円を天井に急落した後、100日移動平均線(212.10円付近)で下げ止まり、小幅に反発しています。一方で10日移動平均線(213.80円付近)が上値抵抗として機能し、MACDもデッドクロスを示しているため、短期的には下落圧力が優勢です。意識される水準は上が213.80円、下が212.10円で、このどちらを明確に抜けるかが今後の方向性を決めるポイントとなります。現状は戻り売りが入りやすい地合いで、100日線の攻防がトレンド判断の鍵となります。 メインシナリオ(戻り売り)では、10日線付近まで反発した場面で上値の重さを確認して売りを狙い、利確は100日線付近、10日線を終値で上抜けた場合は損切りとする戦略が有効と考えられる状況です。
【ユーロ円チャート 日足】

予想レンジ:EUR/JPY:181.20-186.00
【ポンド円チャート 日足】

予想レンジ:GBP/JPY:210.00-215.00
2026年5月11日~5月15日の重要経済指標・イベントスケジュール
- 5/11(月)
- --:-- ベッセント米財務長官、来日予定(13日まで)
- 26:00 アメリカ 3年債入札
- 5/12(火)
- 08:30 日本 3月全世帯家計調査・消費支出(前年同月比)
- 08:50 日本 日銀金融政策決定会合における主な意見(4月27・28日分)
- 15:00 ドイツ 4月消費者物価指数(CPI、改定値)
- 18:00 ユーロ 5月ZEW景況感調査
- 21:30 アメリカ 4月消費者物価指数(CPI)
- 26:00 アメリカ 10年債入札
- 26:00 アメリカ シカゴ連銀総裁、発言
- 5/13(水)
- 08:50 日本 3月国際収支・経常収支
- 18:00 ユーロ 1~3月期四半期域内総生産(GDP、改定値)
- 21:30 アメリカ 4月卸売物価指数(PPI)
- 24:30 アメリカ ボストン連銀総裁、発言
- 26:00 アメリカ 30年債入札
- 26:00 イギリス マン英MPC委員、発言(23:00 テキスト公表)
- 26:15 アメリカ ミネアポリス連銀総裁、発言
- 5/14(木)
- --:-- トランプ米大統領、中国訪問(15日まで)
- 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
- 13:00 日本 増・日銀審議委員、発言
- 15:00 イギリス 1~3月期四半期国内総生産(GDP、速報値)
- 21:30 アメリカ 4月小売売上高
- 21:30 アメリカ 4月輸入物価指数
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 23:00 アメリカ 3月企業在庫
- 26:00 アメリカ クリーブランド連銀総裁、発言
- 5/15(金)
- 08:50 日本 4月国内企業物価指数
- 21:30 アメリカ 5月ニューヨーク連銀製造業景気指数
- --:-- パウエルFRB議長任期満了、次期議長人事に注意
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
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