
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年5月1日 16時36分
来週のユーロ円・ポンド円の見通しでは、テクニカル面では調整局面がさらに意識される状況になっているものの、ECB、BoEの姿勢はユーロやポンドを支える期待もあり、強弱材料が交錯しています。来週の為替相場をトレーダー目線で解説します。
今週のユーロ円・ポンド円は急速落下
2026年4月27日週のユーロ円・ポンド円は急落。中盤までは緩やかな円安の流れから、ユーロ円は187.553円、ポンド円は216.604円まで上昇しました。その後、為替市場では政府・日銀による円買い・ドル売り介入が行われたとの報道を受けて、ユーロ円は182.302円、ポンド円は210.451円まで急落。急落の反動から、売り一巡後は各々、ユーロ円が184円半ば、ポンド円は213円後半まで戻しましたが、引き続き日本当局の動向が懸念されて戻りは限定的でした。
(各レート水準は執筆時点のもの)
来週のユーロ円・ポンド円、介入警戒は共通のリスク
ユーロの見通し:ECBは6月理事会に向け物価動向を見極め
ECBは4月会合で中銀預金金利2.00%、主要リファイナンス金利2.15%、限界貸出金利2.40%を据え置きました。一方、ユーロ圏の4月インフレ率はエネルギー高を背景に3.0%へ加速しており、物価上振れリスクへの警戒は強まっています。ラガルド総裁は、6月会合に向けて追加データを見極める姿勢を示しており、市場では利上げ観測が意識されやすい状況です。ただし、ECBは特定の金利パスを事前に約束しておらず、景気減速懸念も残るため、ユーロ円では下値の堅さと上値の重さが併存しやすい展開です。
こうしたユーロ圏の利上げ観測と景気の弱さが混在する状況に加えて、日本では為替介入への警戒感が続いており、円買いが入りやすい地合いが続いています。これら双方の材料が重なることで、ユーロ円は、ECBの物価警戒による下値の堅さと、日本の介入警戒による上値の重さが拮抗し、不安定な綱引き相場になりやすい展開となっています。
ポンドの見通し:地方選挙に視線動く
BoEは4月会合で政策金利を据え置いたものの、中東情勢を背景としたエネルギー価格の上昇を受け、インフレ再燃への警戒を強めています。エネルギー高という“初期ショック”が企業の価格転嫁や家計の賃金要求へ波及する可能性があり、これが英国の利上げ観測を意識させ、ポンドの下支え材料となっています。
ベイリー総裁は、エネルギー価格の上昇がインフレ見通しを大きく変えたとし、物価が年後半にかけて上振れする可能性に警戒を示しています。BoEは複数のシナリオを示しており、そのうちシナリオBではエネルギー価格の低下が緩やかにとどまり、CPIインフレが長めに高止まりする姿が想定されています。現時点では景気の弱さや労働市場の緩みもあり、BoEは政策金利を3.75%に据え置きましたが、エネルギー高が長期化すれば、追加引き締め観測がポンドの下支え材料になりやすい状況です。
一方で、5月7日には英国で地方選・分権議会選が予定されており、スコットランド議会選などの政治イベントを控えた不確実性が、ポンドの上値を抑える要因となりそうです。
ユーロ円・ポンド円のテクニカル分析と来週の戦略:短期的には戻り売り目線か
ユーロ円:売りモメンタムが優勢
ユーロ円は急落後に反発したものの、10日線と50日線を下回っており、短期的には調整色が強まっています。MACDもデッドクロスを示しており、売り圧力が意識されやすい形です。短期的な反発余地はあるものの、184.65円(50日線)と186.30円(10日線)は戻り売りが出やすい水準として意識されます。下値では182.30円が重要な節目となり、同水準を割り込むと180円方向への下落余地が広がりやすい状況です。
売買戦略としては、短期的には戻り売りを意識したい局面です。184.65円や186.30円付近では上値の重さを確認しながら、182.30円を下値メドとして見る展開が想定されます。一方、182.50〜183.00円付近では短期的な反発も考えられますが、182.30円を割り込む場合は反発シナリオの見直しが必要です。
ポンド円:50日線の攻防に
ポンド円は日足で約6円の急落後に大きく買い戻され、長い下ヒゲを伴う大陰線を形成しました。短期的には下げ止まりのサインとなっていますが、10日移動平均線を大きく下回っており、短期トレンドは依然として下向きです。一方、50日移動平均線がサポートとして機能し始めており、この水準を維持できるかが今後の方向性を決める重要ポイントです。もっとも、MACDはデッドクロスを示しており、中期的には下落圧力が続いています。
このため、短期的には212.70〜213.00円付近で下げ渋るかを確認し、反発狙いの買いは短期に限る局面です。中期的には戻り売りが優勢で、213.50円や215円付近は戻り売りの候補水準として意識されやすく、212.70円を割り込むと210.50円方向への下落が加速する可能性があります。現状は「短期は反発、トレンドは下向き」というねじれた局面で、212.70円の攻防が最大の焦点となります。
【ユーロ円チャート 日足】

予想レンジ:EUR/JPY:182.00-187.00
【ポンド円チャート 日足】

予想レンジ:GBP/JPY:210.00-216.00
2026年5月4日~5月8日の重要経済指標・イベントスケジュール
- 5月4日(月)
- ・17:00 ユーロ:4月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- ・23:00 アメリカ:3月製造業新規受注
- ・25:50 アメリカ:NY連銀総裁、発言
- 5月5日(火)
- ・21:30 アメリカ:3月貿易収支
- ・22:45 アメリカ:4月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- ・23:00 アメリカ:ボウマンFRB副議長、発言
- ・23:00 アメリカ:4月ISM非製造業景況指数
- ・23:00 アメリカ:3月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
- ・23:00 アメリカ:3月新築住宅販売件数
- 5月6日(水)
- ・17:00 ユーロ:4月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- ・17:30 イギリス:4月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- ・18:00 ユーロ:3月卸売物価指数(PPI)
- ・21:15 アメリカ:4月ADP雇用統計
- ・22:30 アメリカ:セントルイス連銀総裁、発言
- ・26:00 アメリカ:シカゴ連銀総裁、発言
- 5月7日(木)
- ・英国:地方選・分権議会選、スコットランド議会選など
- ・8:50 日本:日銀・金融政策決定会合議事要旨
- ・15:00 ドイツ:3月製造業新規受注
- ・18:00 ユーロ:3月小売売上高
- ・20:30 アメリカ:4月チャレンジャー人員削減数
- ・21:30 アメリカ:1-3月期非農業部門労働生産性・単位労働コスト・速報値
- ・21:30 アメリカ:新規失業保険申請件数
- ・23:00 アメリカ:3月建設支出
- ・27:05 アメリカ:クリーブランド連銀総裁、発言
- 5月8日(金)
- ・8:30 日本:3月毎月勤労統計調査
- ・15:00 ドイツ:3月鉱工業生産
- ・21:30 アメリカ:4月雇用統計
- ・23:00 アメリカ:5月ミシガン大学消費者態度指数・速報値
関連記事
- ユーロ/円 ポンド/円見通し:テクニカル的には調整目線が中心も、下値限定か ハロンズ FX 2026/4/25
- ユーロ/円 ポンド/円見通し:ユーロ円190円到達なるか、ポンド円は日柄調整も ハロンズ FX 2026/4/18
- ユーロ/円 ポンド/円の来週の見通し:原油高で円安基調継続 ハロンズ FX 2026/4/11
小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
