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【1ドル=40リラ超の現実】高インフレとトルコリラ安で市民が「ドルと金」に頼る【海外特派員レポート】2026年3月18日

 2025年、トルコは世界のインフレランキングで6位となりました。内戦や経済制裁などもない中、2022年以降常にランキング上位に入っていることは、世界的にも珍しいケースと言えます。

 トルコは2017年頃から少しずつインフレ率の上昇が始まり、コロナ後の2022年には70%を超えてしまいました。2025年には約30%と少しずつ鈍化しつつありますが、依然として高水準を保ったままであり、先行きの不透明感は否めません。

トルコのインフレが止まらない理由――低金利政策と生活への打撃

 

 ここまでトルコのインフレ率が上昇した理由のひとつに、現政権の「高金利はインフレ率の上昇の原因となる」という独自の見解を基に行われた低金利政策が挙げられます。結果として、トルコリラは大幅に価値を失い、輸入物価が上がりインフレが加速、一般家庭に大きな影響を与えました。牛肉の値段は、部位によって値段に差がありますが、アンカラの商工会議所の発表では2020年には1キロあたり35〜85トルコリラでした。現在は800〜1,100トルコリラと10倍以上価格が上昇し、トルコを訪れる海外旅行客からは、「トルコ旅行は安価ではなくなってしまった」と言われるようになってしまいました。

 トルコは食料自給率は高いのですが、実は肥料や飼料などを輸入に頼っているほか、都市部までの輸送費が高額なことから野菜や果物の値段の上昇が止まらず、地区ごとに週1で開かれる市(パザル)では、1週間で値上がりしてしまった野菜に対してクレームを言うトルコのお母さんたちで溢れています。「昔は果物も1キロ、2キロで買っていたのに、今はみかんを家族の人数分買うので精一杯」という人たちもいます。ほんの5、6年前には硬貨をポケットに入れて、キロ単位で購入する野菜や果物を入れる為の車輪のついたお買い物バッグを持ってパザルに行くのが日常でしたが、今は一番高額なお札を持って行っても、1週間分の買い物もできません。それどころか、夜になるとパザルで売り物にならなかった傷んだ野菜や果物を拾いに来る女性たちが問題になっており、今のトルコの厳しい状況を映し出しているようです。

トルコリラ離れが加速――ドルと金で資産を守る人々

 トルコリラを持っていても日に日に価値を失っていくだけなので、ここ数年で資産をドルや金などに分散する人が増えてきました。ドルのレートは、2010年には約1.5トルコリラでしたが、2026年3月現在では40トルコリラを上回っている状況です。トルコリラの価値が日々下がり続ける中、信頼性が高いドルで資産を保有したがるのは正直、当たり前のことだと思います。給料が入ったら、まずはドルと金の購入分と生活費に分け、残ればトルコリラの貯蓄に回す。トルコリラに対してのドルの価値は、1か月間でも確実に上がるので、銀行に預けているだけで価値を下げてしまうトルコリラよりも安全なのです。

 トルコ人はよく「ドルが上がっている」という言い方をします。世界的に見ると実際はドルに対してトルコリラの価値が下がっているのですが、こうした言い方には、通貨安の原因を国内経済よりも為替の動きとして捉える感覚が表れているのかもしれません。

結婚祝いに金貨を贈る文化――トルコ人と金の深い関係

 

 次に、昔からトルコでは結婚や出産のお祝いとして、金貨や金のブレスレットなどを渡す習慣があります。金貨は結婚する2人の首にかかったタスキに付けていき、金のブレスレットは花嫁の手首に。これはもともと、万が一、夫が亡くなったり離婚した場合に、女性が生活に困らないようにするためのものでした。ここ数年で非常に高額になった結婚式の費用を支払う為に、結婚式後に現金に換えてしまう若い夫婦が増えたとはいえ、やはり金を資産として持つことはトルコでは一般的です。

金価格は10年で80倍超――早期購入者だけが笑える現実

 トルコの経済状況が悪化していく中で、金の価値は上昇の一途をたどり、お祝いでもらった金を貸金庫で保管するだけではなく、銀行の資産を金に換えるトルコ人が増えてきました。2015年には1グラム約90トルコリラでしたが、2026年3月現在で約7,300トルコリラまで値段が上昇しており、早めに金を購入していたり、幼少期からもらった金を貯めてきたトルコ人たちは笑いが止まらないことでしょう。

2028年大統領選が焦点――政権交代でトルコ経済は変わるのか

 トルコ人の多くは、現政権の交代が今後の経済の鍵になる、と考えているようです。トルコの次の大統領選は2028年に予定されていますが、「経済の悪化を止めることができないなら、選挙を前倒しすべきだ」という声が若者の中から多く出てきました。高インフレが今も続く中、トルコ経済の行方は政治と金融政策の両面に大きく左右されるとみられています。新政権になったとして本当にインフレを止めてトルコ経済を立て直すことができるのか、現地でも、今後の政策の変化に注目が集まっています。

 
ミライ氏
トルコ在住14年。日本企業での勤務を経てトルコ企業に転職。通訳やトルコ語講師もこなす。日本人のようなトルコ人の夫と小学生の娘とイスタンブール住まい。
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