執筆：外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
- ▼10月9日週のユーロ/円、ポンド/円は買い先行
- ▼ユーロ、中東の混乱拡大なら成長減速が加速か
- △▼【ユーロ/円チャート 日足】
- ▼一目雲の中で振幅か
- △▼【ポンド/円チャート 日足】
- 10/16 週のイベント
- 一言コメント
執筆日時 2023年10月13日 16時30分
手掛かり不足だが、前向き材料も少ない
10月9日週のユーロ/円、ポンド/円は買い先行
米金融政策者による早期追加利上げに慎重な姿勢が明らかとなると、幅広く米ドルが売られ、ユーロ/円は158.612円、ポンド/円は183.808円までレンジ上限を広げました。ただ、上昇一巡後は米長期金利の反発を受けた米ドル買い戻しから、ユーロ/円、ポンド/円は頭打ちとなりました。（各レート水準は執筆時点のもの）
FX ライブ配信、実践FX短期売買『米CPI』、中国はいよいよ底打ち一方、ドルはトレ点？ (2023年10月12日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ユーロ、中東の混乱拡大なら成長減速が加速か
ECB（欧州中央銀行）内では「まだ、金利はピークに達していない」との認識がある一方、「利上げは十分」との見解もあって意見が分かれており、10月26日のECB理事会に向けたコンセンサスは定まっていません。ただ、OIS（オーバーナイト・インデックス・スワップ）市場では、消費者物価指数の鈍化を受けて利上げペースを遅らせるのではとの思いから、10月の利上げをほとんど織り込んでいません。今後、発表されるファンダメンタルズから、追加利上げが実施されるのか、確認していくことになりそうです。とはいえ、中東の混乱はエネルギーを他国に依存するユーロ圏経済にとって、成長への不確実要素でしかなく、ECBへのタカ派期待は強まりづらい状況です。こうして眺めると、目先ユーロを買い進める材料は多くなく、ユーロ/円の上値は限られそうです。
ユーロ/円は154.393円まで下落後、目先のレジスタンスだった21日移動平均線をも越えてきて、下値警戒心は和らいでいます。しかしながら、さらに上方向を目指すのに必要な支援材料も見当たらず、力強く上昇していくイメージは描けません。再び雲の中でのもみ合いとなりそうな雰囲気です。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：EUR/JPY：155.000-159.000
一目雲の中で振幅か
英国では、失業率、賃金動向、消費者物価指数など重要な指標が発表されます。賃金動向や消費者物価指数の結果を受けて、インフレがこれから急速に鈍化するとの中銀見通しを裏付けるのかどうか注目されます。中銀の見立て通り、インフレ鈍化への期待感が強まれば、英経済に対する信頼回復からポンド安の巻き戻しが期待されます。逆に、インフレが高止まりするようなら、利上げ再開への見方が英成長にマイナスとなり、ポンドの上値を重くする可能性はあります。ただ、この場合、金利の先高感がポンドをある程度支えそうなため、すんなりとポンド安が進むかは微妙です。
ポンド/円は、日足一目均衡表の雲の中でもみ合う形でトレンドが見極めづらくなっています。目先は、次なる方向性を探りながら、限られたレンジでの推移が続きそうな様子です。ただし、雲の下限（181.542円、執筆時点）を下回ってくるようだと、8月22日高値（186.765円）を起点とする下降チャネルの中での振幅が想起され、178.00円付近までポンド/円の目線が下がりそうです。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：GBP/JPY：179.000-185.000
10/16 週のイベント
10/16(月) 18:00 ユーロ 8月貿易収支
10/17(火) 15:00 イギリス 9月失業率
10/17(火) 18:00 ドイツ 10月ＺＥＷ景況感調査
10/17(火) 18:00 ユーロ 10月ＺＥＷ景況感調査
10/18(水) 15:00 イギリス 9月消費者物価指数（ＣＰＩ）
10/18(水) 18:00 ユーロ 9月消費者物価指数（ＨＩＣＰ、改定値）
10/18(水) 18:00 ユーロ 8月建設支出
10/19(木) 15:45 フランス 10月企業景況感指数
10/20(金) ― 欧米首脳会議（於：ワシントン）
10/20(金) 8:01 イギリス 10月ＧＦＫ消費者信頼感調査
10/20(金) 15:00 ドイツ 9月生産者物価指数（ＰＰＩ）
10/20(金) 15:00 イギリス 9月小売売上高
一言コメント
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