執筆：外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
執筆日時 2023年2月10日 17時50分
英インフレ動向が中銀に利上げ停止の論拠与えるか注目
2月6日週のユーロ/円、ポンド/円は日銀報道で振幅
次期日銀総裁を巡る観測報道から、序盤にユーロ/円は142.810円、ポンド/円は159.949円まで上昇幅を広げました。その後も関連ニュースに一喜一憂する形が続きましたが、日経による「政府は次期総裁に植田氏起用方針」との報道で、ユーロ/円は139.556円、ポンド/円は157円半ばまで円が急騰するなど、荒っぽい値動きが続きました。また、市場予想を大幅に下回る1月の独消費者物価指数が発表されたほか、ベイリー英中銀総裁の「今年は物価に対し強い押し下げ圧力がかかるだろう」との発言が伝わったものの、手掛かりにはならなかったようです。（各レート水準は執筆時点のもの）
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FX ライブ配信、黒田総裁 再再任?!、オプション市場はドル高警戒 (2023年2月9日)- YouTube
利上げ期待は引き続きユーロを下支え
欧州中央銀行（ECB）要人からはタカ派な発言が相次ぎ、3月の0.5％の追加利上げの方針が改めて示される格好になっています。ECBの利上げ姿勢に目立った変化は今のところないようで、ECBの金融政策はユーロのサポート材料となります。ただ、来週は目立った独自材料が出そうにないため、米ドルや円の動向が波及する形でユーロが振幅する格好になりそうです。ユーロ/円については、日銀正副総裁に推薦されるであろう植田氏、内田氏、氷見野氏の発言に注意する必要がありそうです。
英中銀の利上げ停止観測を高めるか
１日の英中銀金融政策委員会では、７名のうち２名が金利据え置きを主張して、引き締め停止期待を少し高めました。また、ベイリー総裁はインフレが急低下する可能性は高いとしつつも､上振れリスクはかつてないほど大きいと指摘しました。その上で、賃金と物価のスパイラルが続くと示唆される場合は追加利上げが必要になるとの認識を示しています。つまり、金利動向はファンダメンタルズ次第だが、特に賃金動向が及ぼすインフレ動向に着目している様子で、2/14(火)の 1月雇用データと同時に発表される賃金データや、2/15(水)の 1月消費者物価指数（ＣＰＩ）の結果に市場は反応しそうです。インフレピークアウト観測が高まれば、経済への期待が持ち直す形でポンド買いが強まりそうですが、逆に、失望が強まればポンド安が進んでいきそうな雰囲気です。何れにしても、ポンドはこれら経済データに一喜一憂しそうで、振幅の荒い値動きに注意したいところです。
ユーロ/円、レンジ推移が継続
ユーロ/円は140.000円付近を推移しており、昨年末以降、概ね137.000-143.000円のレンジでの振幅が続いています。現状、レンジのほぼ中央に位置しているため、今後は読みづらいものの、日足一目均衡表・雲の形状や、ローソク足との位置関係を考えると、上方向は少し重いイメージです。200日移動平均線を上回った水準では戻り売りを検討しても良さそうです。逆に、138.000円付近からは押し目買いスタンスになりそうです。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：EUR/JPY：138.000-143.000
ポンド/円、長期Fファンの節目割れへ
ポンド/円も、日足一目均衡表・雲の下限を下回って上値の重たさが感じられる一方で、下値を徐々に切り上げて狭いレンジに押し込まれる格好になっています。どちらにレンジブレイクするのか見極める展開になりそうですが、161円台から164円台にかけてレジスタンスラインが並んでいる点を踏まえると、上方向にブレイクしても上値は広がりづらいかもしれません。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：GBP/JPY：155.000-163.000
2/13 週のイベント
2/14(火) 16:00 イギリス 1月失業率
2/14(火) 19:00 ユーロ 10-12月期四半期域内総生産（ＧＤＰ、改定値）
2/15(水) 16:00 イギリス 1月消費者物価指数（ＣＰＩ）
2/15(水) 19:00 ユーロ 12月鉱工業生産
2/15(水) 19:00 ユーロ 12月貿易収支
2/17(金) 16:00 イギリス 1月小売売上高
2/17(金) 16:45 フランス 1月消費者物価指数（ＣＰＩ、改定値）
一言コメント
外為どっとコム総合研究所のTEAMハロンズ（＠TeamHallons） が平日毎日21時よりライブ配信しています。番組では、注目材料の紹介、テクニカル分析でエントリーポイントや利食い・損切りポイントを解説し、実際にリアルトレードも行っています。ご興味のある方は、一度、こちらにアクセスしてみてください。
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