主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2022年6月8日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼7日(火)の為替相場
(1):日銀総裁 改めて金融緩和継続発言
(2):RBA 予想を上回る利上げ幅
(3):米4月貿易収支 予想より小さい赤字
(4):米10年債利回り 3.0%割り込みドル売り
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:米長期金利の動きに注目/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
7日(火)の為替相場
期間:7日(火)午前6時10分~8日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日銀総裁 改めて金融緩和継続発言
日銀の黒田総裁は参院財政金融委員会で「強力な金融緩和を粘り強く続ける」と改めて表明。引き締めを進める海外主要中銀とのスタンスの違いが意識されて円売りが活発化した。なお、黒田総裁は円安について「マクロ的にはプラスだが、家計や地方のサービス産業にはマイナス」との見解を示し、「為替はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要」と述べた。
(2):RBA 予想を上回る利上げ幅
豪中銀(RBA)は政策金利を50bp(0.50%ポイント)引き上げ0.85%にすると発表。0.60%もしくは0.75%への利上げを見込んでいた市場の予想を上回る利上げ幅となった。声明では、インフレ抑制に向けて「今後数カ月で、さらなる措置を取ることを見込んでいる」として追加利上げを示唆した。これを受けて豪ドル買いが強まると、豪ドル/円は96.11円前後まで急伸。ただ、7年ぶりの96円台では戻り売り圧力も強く、買い一巡後は95円台前半へ押し戻されるなど不安定な値動きとなった。
(3):米4月貿易収支 予想より小さい赤字
米4月貿易収支は871億ドルの赤字となり、赤字額は市場予想(895億ドル)よりも小さかった。上海などのロックダウン(都市封鎖)の影響で中国からの輸入が大幅に減少した。
(4):米10年債利回り 3.0%割り込みドル売り
米ディスカウントストア大手のターゲットが過剰在庫などを背景に業績見通しを下方修正し、値下げを行うと発表したことで、米国のインフレが鈍化するとの観測が広がった。米10年債利回りは3.0%を割り込んで低下し、米国株は金利低下を好感して上昇に転じた。こうした中、ドルが売られるとドル/円は132.30円台へと反落したが、クロス円はストレートドルの上昇に連れて強含んだ。
7日(火)の株・債券・商品市場
外為注文情報
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本日の見通し
ドル/円の見通し:米長期金利の動きに注目
昨日のドル/円は20年ぶり高値を更新。黒田日銀総裁が「強力な金融緩和を粘り強く続ける」と述べたことで積極的な引き締めを続ける米連邦準備制度理事会(FRB)との政策の違いが意識され、2002年4月以来の高値となる133.00円付近までドル高・円安が進んだ。海外市場では米長期金利が低下に転じたため132円台前半へと押し戻される場面もあったが、円の先安感は根強く前日比約0.6%高の132.63円前後で取引を終えた。
本日のドル/円は、引き続き米長期金利の動きがカギになりそうだ。昨日は米小売り大手のターゲットが値下げを発表した事でインフレ鈍化への期待が広がり米長期金利が低下。10年債利回りは3%を割り込んで低下した。10年債利回りの低下が続くようならドル/円の133円台定着は難しくなりそうだ。
ただ、本日と明日の米債入札(10年債330億ドル、30年債190億ドル)や、明後日の米5月消費者物価指数(CPI)発表を前に米長期金利の低下余地は小さいだろう。ドル/円は調整があっても131円台後半までにとどまりそうだ。
注目の経済指標
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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