
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年6月26日 16時30分
ドル円は158.50〜163.00円のレンジで高値圏推移が続く見通し。 米インフレ指標の粘着性から年内利上げ観測が根強くドル高要因となる一方、162円台では為替介入警戒が上値を抑える構図です。米雇用統計と平均時給が焦点で、これが162円の天井突破のカギとなる可能性があります。
予想レンジ:ドル円:158.50〜163.00
ドル円、161円台で伸び悩む
2026年6月22日~26日のドル円相場は、161円台後半を中心に高値圏での推移が続きました。一部報道が、片山財務相とベッセント米財務長官がオンラインで会談し、為替介入の可能性を含めた対応を協議した可能性があると報じたことで、ドル円は161.90円付近から161.068円まで下落する場面がありました。しかし、米国ではPCEデフレーターをはじめとするインフレ指標が粘着性を示し、年内利上げ観測が引き続き意識されたことで、そこからドル円は161.952円まで上昇幅を広げました。もっとも、162円の大台を前にしては、日本の通貨当局の円買い介入警戒感のほか、AI関連株の過熱感や半導体コスト上昇への警戒から株価が伸び悩んだこともあり、ドル円は上値を抑えられました。
ドル円見通し:米雇用統計がFRBタカ派姿勢を強めるか注目
2026年6月29日~7月3日のドル円相場は、米国の経済指標が方向性を左右する展開となりそうです。特に雇用関連指標や景況感指数が強ければ、年内利上げ観測が再び意識され、ドルの下支え要因になると考えられます。一方で、指標が弱ければ高値圏からの調整が入りやすく、短期的なドル売りが強まる可能性もあります。また米雇用統計を巡っては、FRBがインフレ警戒スタンスを強めていることから、雇用者数の増減よりも平均時給への注目度が高まっています。加えて、ECBフォーラムにおけるウォーシュ議長やラガルド総裁などの発言において、政策姿勢に変化が見られるかどうかも、市場の金利観測に影響を与えることから、週を通して注目されます。
足元、米国のファンダメンタルズ面が大きく崩れておらず、米国の年内利上げ期待は維持されやすいため、ドル円は高値圏での推移が続くと見られます。ただし、ドル円の上昇スピードが速かった場合、日本の通貨当局も行動をとらざるを得ない状況に追い込まれると見られ、高値からの急反落への警戒も怠れません。
ドル円テクニカル分析:短期の過熱感で押し目買い狙い
ドル円日足チャートは、上昇トレンド継続中と見てよさそうです。現在値は161円台半ばで、25日移動平均線の160.40円、100日移動平均線の158.50円、200日移動平均線の156.40円をすべて上回っています。
移動平均線の並びも上から短期・中期・長期の順に近く、形としては強いです。
ただし、直近高値の161.95円付近に接近しており、RSIも70近辺まで上がっているため、短期的にはやや過熱感も意識される局面です。
基本戦略は押し目買い優勢ですが、162円台では高値づかみに注意です。買いを狙うなら、現在値から飛びつくよりも、161.00円前後、または160.40円付近への押し目を待つ形が無難です。25日線付近で下げ止まるなら、再び162円台、さらに163円方向を狙う展開が考えられます。
【ドル円チャート 日足】

2026年6月29日〜7月3日の重要経済指標・イベントスケジュール
- 6月29日(月)
- 18:00 ユーロ 6月消費者信頼感(確定値)
- 6月30日(火)
- 08:30 日本 5月失業率
- 08:50 日本 5月鉱工業生産・速報値
- 15:00 イギリス 1-3月期四半期国内総生産(GDP、改定値)
- 16:55 ドイツ 6月失業率
- 19:00 日本 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
- 21:00 ドイツ 6月消費者物価指数(CPI、速報値)
- 22:00 アメリカ 4月住宅価格指数
- 23:00 アメリカ 6月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)
- 23:00 アメリカ 5月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
- 7月1日(水)
- 08:50 日本 4-6月期日銀短観・四半期大企業製造業業況判断
- 17:00 ユーロ 6月製造業PMI改定値
- 17:30 イギリス 6月製造業PMI改定値
- 18:00 ユーロ 6月消費者物価指数(速報値)
- 20:30 アメリカ 6月チャレンジャー人員削減数
- 21:15 アメリカ 6月ADP雇用統計
- 22:30 ユーロ ウォーシュ米FRB議長、ラガルドECB総裁、ベイリー英中銀総裁らがECBフォーラム討論会に参加
- 22:45 アメリカ 6月製造業PMI改定値
- 23:00 アメリカ 6月ISM製造業景況指数
- 7月2日(木)
- 18:00 ユーロ 5月失業率
- 21:30 アメリカ 6月雇用統計
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 7月3日(金)
- アメリカ 独立記念日の振替休日
- 17:00 ユーロ 6月サービス業PMI改定値
- 17:00 ユーロ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
- 17:30 イギリス 6月サービス業PMI改定値
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
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