
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年5月29日 16時00分
来週(6月1日~6月5日)のドル円相場は、「日本の金利が上がるか」「米国の高金利が続いてドル高が維持されるか」という、日米の金利動向の綱引きで決まります。
本記事では、日銀の利上げ観測や米金利、雇用統計など、相場を左右する材料を整理し、今後のポイントを解説します。
予想レンジ:ドル円:157.500-160.500
足もとのドル円、高値もみ合いが継続
5月25日週のドル円は底堅い展開が続いた。米金利の伸びは一服したものの、根強い円売りの流れを受けて、一時159.648円まで上昇した。ただ、月末週だったうえ、中東情勢の不透明感もあり積極的な取引は控えられたため、値幅は限定された。
来週のドル円見通し、日米の金利動向が相場のカギ
6月1日週のドル円相場は、日米の「金利の先行き」が原動力となり、157.50円〜160.50円のレンジで推移する見込みです。
現在のドル円相場は、日米それぞれの金利の方向性を左右し得るイベントが重なるため、相場の焦点は「日本の利上げ」と「米国の高金利維持」の2点に絞られると見られます。
植田日銀総裁講演、追加利上げへの距離感を確認
まず相場を動かす第1の軸が、日本の金利上昇(利上げ)への期待値です。6月3日に予定されている日銀の植田総裁の講演がその試金石となります。5月27日の発言では、植田総裁が原油高の影響について、賃金・期待・需要・為替レート次第で大きく異なるとの見方を示した一方、具体的な政策対応には踏み込みませんでした。そのため、市場では6月利上げを巡る思惑が残る一方、発言だけで円高方向へ強く傾く材料にはなりにくい状況です。
とはいえ、今回の講演で総裁が追加利上げに前向きな姿勢をにじませた場合、日本の長期金利の上昇が意識され、ドル円は157円台後半から158円台前半に向けて、円高・ドル安圧力が強まる可能性はあります。
米国の金利動向、高金利の持続性を雇用統計などから探る
相場を動かす第2の軸が、米国の金利の高止まりです。現在の米国のインフレ状況から、FRB(米連邦準備制度理事会)による高金利政策は長期化するとの見方がドルの下値を支えています。
この米金利の先行きを決めそうなのが、6月5日の米5月雇用統計を含めた来週の一連の米経済指標です。米国のインフレ高止まりや雇用情勢の底堅さが確認され、米長期金利が一段と上昇する結果となれば、ドルの強さがさらに補強されます。植田総裁が利上げに慎重な姿勢を崩していなかった場合は、米金利の上昇が主導する形で、160.00円から160.50円の水準に向けたドル買い・円売りが加速するシナリオが優勢になると考えます。
ただし、伏線として米国・イランを巡る協議や中東情勢も、原油価格を通じて金利を動かす可能性があるため、注意が必要です。
ドル円テクニカル分析:過熱感は高くない、基調は上向き
ドル円の日足は、10日線159.10円、50日線158.80円、100日線157.65円を上回っており、基調は上向きです。RSI(9日)は58.8で、過熱感はまだ強くありません。
上値は159.50円台、160.00円前後、さらに160.727円が目標です。一方、下値は159.10円、158.80円がサポートで、ここを割ると158.50円、157.65円まで調整余地があります。
売買戦略は、押し目買い優先。158.80~159.10円付近への下げを待って買い、目標は159.70~160.00円。損切りは158.50円割れ、慎重に見るなら157.60円割れが目安です。160円台では追いかけず、利益確定も意識したい局面です。
【ドル円チャート 日足】

2026年6月1日~6月5日の重要経済指標・イベントスケジュール
- 6/1(月)
- 08:50 日本 1-3月期四半期法人企業統計調査・ソフトウェア含む全産業設備投資額(前年同期比)
- 17:00 ユーロ 5月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- 17:30 イギリス 5月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- 18:00 ユーロ 4月失業率
- 22:45 アメリカ 5月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- 23:00 アメリカ 5月ISM製造業景況指数
- 6/2(火)
- 14:50 アメリカ ミネアポリス連銀総裁、発言
- 18:00 ユーロ 5月消費者物価指数(HICP、速報値)(前年同月比)
- 21:30 アメリカ クリーブランド連銀総裁、発言
- 23:00 アメリカ 4月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
- 23:00 イギリス ベイリー英中銀(BOE)総裁、発言
- 6/3(水)
- 17:00 ユーロ 5月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- 17:30 日本 植田日銀総裁、発言
- 17:30 イギリス 5月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- 18:00 ユーロ 4月卸売物価指数(PPI)
- 21:15 アメリカ 5月ADP雇用統計(前月比)
- 22:00 アメリカ バーFRB理事、発言
- 22:45 アメリカ 5月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- 23:00 アメリカ 5月ISM非製造業景況指数
- 27:00 アメリカ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
- 29:00 アメリカ ダラス連銀総裁、発言
- 6/4(木)
- 17:00 ユーロ ラガルドECB総裁、発言
- 18:00 ユーロ 4月小売売上高
- 18:30 アメリカ 5月チャレンジャー人員削減数
- 21:30 アメリカ 1-3月期四半期非農業部門労働生産性・改定値
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 24:40 イギリス ベイリー英中銀(BOE)総裁、発言
- 26:10 アメリカ サンフランシスコ連銀総裁、発言
- 6/5(金)
- 08:30 日本 4月毎月勤労統計調査-現金給与総額
- 18:00 ユーロ 1-3月期四半期域内総生産(GDP、確定値)
- 21:30 アメリカ 5月雇用統計
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
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