
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年4月10日 16時50分
来週のユーロ円・ポンド円は、中東情勢と原油高を背景に底堅い推移が続く可能性があります。
ユーロ円・ポンド円、原油高で円安基調継続
ホルムズ海峡の正常化期待と、実際の通航停滞が交錯しましたが、原油価格は依然として高止まりしており、円相場は上値の重い展開が続きました。
その結果、ユーロ円は183.70円前後から186.22円付近へ、ポンド円は210.30円前後から213.85円付近へと、いずれも堅調に下値を切り上げました。
もっとも、独自材料が乏しい中での“円安主導”の上昇だったため、上値を追う勢いは限定的でした。
(各レート水準は執筆時点のもの)
クロス円、もっぱら中東リスクが相場をけん引
■ユーロの見通し
足もとでは、中東情勢の悪化を背景にエネルギー価格が上昇しており、これがユーロ圏のインフレ見通しに再び上振れリスクをもたらしています。こうした状況を受け、ECB内部ではタカ派的な発言が目立ち始めています。ラデフ・ブルガリア中銀総裁は「インフレ期待が急速に高まるリスク」を指摘し、物価上昇圧力が続く場合には「迅速な利上げの準備が必要」と踏み込んだ姿勢を示し、IEAのビロル事務局長もホルムズ海峡封鎖によるエネルギー危機が過去の危機を上回る深刻さだと述べ、エネルギー高が長期化する可能性を示唆しています。
こうしたタカ派シフトが広がるなか、今後発言が予定されているラガルドECB総裁が、利上げに対してどの程度、慎重姿勢を維持するのかが最大の注目点となります。総裁がインフレ再燃リスクを強調しタカ派寄りのトーンを強めれば、ユーロの下支え材料となりやすいです。一方で、景気の弱さを重視して利上げに慎重な姿勢を崩さない場合には、ECB内の温度差が意識されやすくなり、ユーロの上値を抑える要因となる可能性があります。
■ポンドの見通し
来週のポンド相場は、英国の成長指標と英中銀(BOE)の利下げタイミングを巡る思惑が交錯し、対ドル・対ユーロともに方向感を探る展開となりそうです。もっとも、BOEが他国に比べて利下げに慎重な姿勢を維持していることは、ポンドの下値を支える要因として意識されやすいです。
英国ではGDPや生産関連指標の発表を控えており、景気の底堅さが確認されれば「利下げは急がない」との見方が強まり、ポンドは対ドル・対ユーロで底堅く推移する可能性があります。一方、指標が弱く成長不安が再燃すれば、早期利下げ観測が意識され、ポンドは上値の重い展開となりそうです。
ポンド円については、BOEの利下げが後ずれするとの見方が根強いことに加え、円安基調が続いていることから、下押し局面では買いが入りやすく、底堅い推移が見込まれます。英国指標の強弱やリスク選好の変動に左右されつつも、総じて下値は限定的となりやすい地合いが続きそうです。
ユーロ円・ポンド円のテクニカル分析と戦略:188円・216円をターゲット
■ユーロ円:過熱感の高まりは限定的
ユーロ円日足チャートは、右肩上がりの100日移動平均線をサポートとする堅調な上昇トレンドにあります。ローソク足は上向きの10日線の上に位置し、直近で強い上昇を見せています。14日RSI(64.5)は少しずつ過熱感が高まっていますが、まだ上昇の余地があり、上向きの流れを見込める形状です。
売買戦略としては、この上昇トレンドに乗る「押し目買い」が基本となります。184円台半ば(10日線付近)への軽い調整を待って買いを狙い、ユーロ発足以来の高値186.87円超えを狙いたいと考えています。ただし、10日線を日足終値で明確に下回った場合は、速やかに損切りをして、100日移動平均線のサポート力を確認したいです。
■ポンド円:2月高値を目指すか
ポンド円日足チャートは、100日移動平均線を強力なサポートとする堅調な上昇トレンドにあります。ローソク足は上向きの10日線の上に位置し、14日RSI(61.5)も過熱感がないため、さらなる上昇余地が見込める形状です。
売買戦略としては、このトレンドに乗る「押し目買い」が有効と考えます。211円台後半(10日線付近)への軽い調整後の戻りを待ってから買いを狙い、216.00円に向けた動きを待ちたいです。損切りは、211.50円割れとタイトにして、その後はユーロ円と同様に100日線のサポート力を確かめたいです。
【ユーロ円チャート 日足】

予想レンジ:EUR/JPY:183.000-188.000
【ポンド円チャート 日足】

予想レンジ:GBP/JPY:209.000-216.000
2026年4月13日~4月17日の重要経済指標・イベントスケジュール
4/13(月)
- 15:15 日本 植田和男日銀総裁、発言
- 23:00 アメリカ 3月中古住宅販売件数
4/14(火)
- 8:01 イギリス 3月英小売連合(BRC)小売売上高調査
- 21:30 アメリカ 3月卸売物価指数(PPI)
- 25:00 イギリス ベイリー英中銀(BOE)総裁、発言
- 25:15 アメリカ シカゴ連銀総裁、発言
- 26:00 アメリカ フィラデルフィア連銀総裁、発言
- 30:00 ユーロ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
4/15(水)
- 18:00 ユーロ 2月鉱工業生産
- 21:30 アメリカ 4月ニューヨーク連銀製造業景気指数
- 21:30 アメリカ 3月輸入物価指数
- 24:50 イギリス ベイリー英中銀(BOE)総裁、発言
- 26:45 アメリカ ボウマンFRB銀行監督担当副議長、発言
- 27:00 アメリカ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
4/16(木)
- 8:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
- 15:00 イギリス 2月月次国内総生産(GDP)
- 15:00 イギリス 2月鉱工業生産
- 15:00 イギリス 2月製造業生産指数
- 15:00 イギリス 2月貿易収支
- 18:00 ユーロ 3月消費者物価指数(HICP、改定値)
- 21:30 アメリカ 4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 21:30 アメリカ 失業保険継続受給者数
- 21:35 アメリカ NY連銀総裁、発言
4/17(金)
- 18:00 ユーロ 2月貿易収支
一言コメント
これだけ政策面で動きがあるにもかかわらず、市場の反応が限定的なのは興味深いです。
小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
