
作成日:2026年3月23日 11時40分
160円台を睨みつつも介入警戒で神経質な展開
今週のドル円は 158.70〜160.80円 を基本レンジとして想定しています。159円台では押し目買いが入りやすい一方、160円ちょうどや160円前半では日本当局のけん制発言が出やすく、上昇ペースは鈍りやすいとみています。
また、2026年3月23日には三村淳財務官が「原油先物をめぐる投機が為替にも波及している可能性がある」と述べ、過度な変動には包括的な対応を取る用意があると警告しました。160円に近づく局面では、口先介入リスクを無視しにくい状況です。
交易条件の悪化観測は引き続き円安のパワー
2026年3月23日時点でブレント原油は 1バレル=111.90ドル近辺 まで上昇し、米長期金利にも上昇圧力がかかっています。
一方、日本銀行は3月19日に短期金利を 0.75% で据え置き、日米金利差縮小への期待は高まりにくい状況です。原油高による日本の交易条件悪化が円の重し(円安)となりやすいことも踏まえると、ドル円は下がれば買い戻されやすい地合いが続きそうです。
ただし、160円は心理的な節目であり、160円前半は2024年4月末の介入局面が連想されやすい水準です。実際、2024年4月29日には160.245円を付けた後、円買い介入観測が強まりました。もっとも、2024年7月の介入観測時には 161.76円 → 157.30円 へ急落した経緯を踏まえると、より強い警戒水域は 161円後半〜162円手前 となりそうです。
FOMCが利下げ後ずれを意識し始める
現在のドルを支えているのは、米景気の強さというより「インフレが下がりにくく、金利も下がりにくい」という点です。3月18日のFOMC声明では、経済活動は堅調、失業率は横ばい、インフレはなお高めと総括されました。
FOMC参加者の見通しでは、2026年末の政策金利中央値は 3.4%。パウエル議長もPCEインフレ見通しが 2.7% に上方修正された点に言及しています。FRBは景気減速よりも物価再加速のリスクを重視しており、これがドルの下支えとなっています。
これらの要因からドル円は、相対的にサポートされやすく、介入を警戒しながらも徐々に上方向を試す展開が続きやすそうです。
気になる政局・要人発言
今週のドル円で最も重要なのは、FRB高官発言以上に日本の通貨当局の発言です。2026年3月23日の三村財務官発言は、単に「過度な変動を注視する」という一般論ではなく、原油市場の投機が為替に波及している可能性まで踏み込み、包括的な行動を取る用意があると明言した点に重みがあります。相場が160円に接近するほど、短期筋は「ファンダメンタルズに沿った円安」と「当局が嫌うスピードの円安」を区別して意識せざるを得ず、ドル円の上値追いは慎重さが必要です。
日本銀行については、2026年3月19日の金融政策決定会合で短期金利を0.75%に据え置きました。声明では、日本経済は一部に弱さがみられるものの緩やかに回復しているとし、物価面では上振れ・下振れ双方の不確実性を意識しています。植田和男総裁は中東情勢に伴う原油高が基調物価を押し上げる可能性に注意を向けつつも、現時点で機械的に利上げを急ぐ姿勢は示していません。FRB以上の速さで政策を引き締めるイメージを描きにくくしています。
投資家のポジション状況:「円高」への警戒感
市場心理は、なお円売り継続寄りです。最新の米商品先物取引委員会(CFTC)データに基づくと、投機筋の円ポジションは再びショート寄りになっています。もっとも、極端に一方向へ傾き切った状態ではなく、材料次第では買い戻しも起こり得る程度の偏りです。このため、原油高と米金利高が続く限り円売りは燃料を保ちやすい一方、介入警戒や米金利の反落が重なると、値幅を伴う巻き戻しも起こりやすい地合いだとみています。

2026年3月17日現在、円買いポジションは前週比で -12,592 枚となり、円売りポジションは前週比で +13,801 枚となった。これに伴い、投機筋ポジションの売り越しは前週比で +26,393 枚となっている。
テクニカル分析:どこでも強気で追いかけてよい相場ではない

日足チャートを見ると、ドル円は2月中旬の152円台(152.094円)を底にして、力強い上昇トレンドを形成しています。直近では3月に入って159.897円まで急上昇し、160円の大台に迫る動きを見せました。足元の価格は159.45円前後で推移しており、下値を支える10日移動平均線(159.05円レベル)をしっかりと上回っていることから、短期的な上昇モメンタムは維持されています。
また、相場の過熱感を示すRSI(9日)は60レベルとなっており、一般的に「買われすぎ」とされる70ラインまではまだゆとりがある状態です。テクニカル面からは、上昇トレンドの最中にあり、上値を探る余地を残した形状だと言えます。
もっとも、先週の値動きが示したように、160円接近局面では一方向に素直ではありません。159.897円のピークを付けた後の3月19日には主要中銀イベント後に円が買い戻され、一時157.61円まで調整する場面もありました。つまり、今のドル円はテクニカル的にもファンダメンタル的にも「押し目買い優位」ではあっても、「どこでも強気で追いかけてよい相場」ではないということです。
159円前後(10日線水準)は押し目候補だが...
今週の想定レンジは158.70円〜160.80円を基本線に置きます。上方向は160.00円、160.23円前後、さらに160.50円近辺が順に意識されやすく、下方向はまず10日移動平均線(159.05円レベル)付近での攻防や、159円割れで勢いの鈍化を確認し、その次に3月19日の安値圏である157.5円台を守れるかが重要です。
一方で、160.00円から160.23円近辺は、上抜けに時間がかかりやすい壁です。ここでは実需の売りだけでなく、当局の警戒発言が増えやすく、短期筋も利食いを入れやすいからです。仮に一時的に抜けても、160円台での滞空時間が短く、すぐ押し戻されるなら、相場は「強い」のではなく「試しに行っているだけ」と判断した方がよい局面です。上抜けが本物になるには、160円台定着と、その間に米金利が高止まりすることの両方が必要です。
10日移動平均線を下回り、159.00円前後を明確に割り込んで、戻しても159円台を回復できない状態になれば、上昇の勢いはかなり鈍っています。この段階では、追いかけたロングは軽くする判断が妥当です。159円台を維持できないということは、160円を試すだけの買いエネルギーが一時的に不足している可能性を示すからです。
さらに重要なのは、3月19日の安値圏である157.50〜157.60円を日足終値で明確に割れるかどうかです。ここを割り込むなら、先週後半の戻りが“トレンド再開”ではなく“自律反発”だった可能性が強まり、ロング継続の前提がかなり後退します。その場合は、週内ロングは原則いったん見直し、次の支持帯を探す発想に切り替えた方が安全です。逆に言えば、157.5円台を守る限りは、上値が重くても円売り基調そのものはまだ残りやすいと考えます。
今週は「強気一辺倒」でも「天井決め打ち」でもなく、159円前後(10日線水準)は押し目候補、160円台前半は利食い・警戒ゾーン、157.5円割れは週次の強気シナリオ見直し、という整理が妥当と考えます。また、原油高と米金利高が続く限り上方向の余地は残りますが、160円台では当局の存在が常に相場の速度を落とす点を忘れない方がよいでしょう。
【注目イベント】これから為替が動くきっかけになる経済カレンダー
今後の為替相場を予測する上で絶対にチェックしたいのは以下の4つです。
- 3月23日(月)米国:1月建設支出。
- 3月24日(火)日本:2月全国消費者物価指数
- 3月24日(火)米国:S&P Global米フラッシュPMI。
- 3月25日(水)米国:EIA週間石油統計。
今週は注目イベントが限られるため、通常以上に中東ヘッドライン、原油、米長期金利、日本当局発言の比重が高い週です。
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