主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年6月1日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼31日(水)の為替相場
(1):豪CPI加速でRBA6月利上げ観測高まる
(2):独失業者数は予想を下回る
(3):独CPIは伸びが鈍化
(4):米JOLT求人件数 予想に反して増加
(5):FED高官6月利上げ見送りを示唆
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:経済指標の結果に一喜一憂/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
31日(水)の為替相場
期間:31日(水)午前6時10分~1日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪CPI加速でRBA6月利上げ観測高まる
豪4月消費者物価指数(CPI)は前年比+6.8%と市場予想(+6.4%)を上回り前月の+6.3%から伸びが加速。豪中銀(RBA)が6月の利上げを見送るとの観測が後退する中で豪ドルは上昇したが、同時に発表された中国5月製造業PMIが48.8と予想(49.5)を下回って低下したため失速した。
(2):独失業者数は予想を下回る
独5月失業者数は0.90万人と市場予想(1.35万人)を下回った。同失業率は5.6%で予想通りに前月から横ばいだった。
(3):独CPIは伸びが鈍化
独5月CPI・速報値は前月比-0.1%、前年比+6.1%といずれも予想(+0.2%、+6.5%)を下回り、4月の+0.4%、+7.2%から伸びが鈍化した。欧州連合(EU)基準の5月CPIは前年比+6.3%だった(予想+6.7%、前月+7.6%)。
(4):米JOLT求人件数 予想に反して増加
米4月JOLT求人件数は1010.3万件と予想(940.0万件)に反して前月の974.5万件から増加。人手不足による労働需給のひっ迫が続いていることから米連邦準備制度理事会(FRB)が6月も利上げを行うとの見方が強まりドルが上昇した。
(5):FED高官6月利上げ見送りを示唆
FRBのジェファーソン理事が「次回会合での利上げ見送りは金利のピークを意味しない」「利上げを見送ることでデータを精査する時間を確保できる」と発言したのに続き、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も「インフレは頑固だが、時間の経過とともに低下する可能性」「次回の会合で利上げをスキップできる」「スキップであり、一時停止ではない」などと発言。米4月JOLT求人件数の予想外の増加で高まっていた6月利上げ観測がこれらの発言を受けて急速に後退するとドルが下落した。
31日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:経済指標の結果に一喜一憂
昨日のドル/円は値動きの荒い展開となった。アジア株安を受けたドル売り・円買いが一服すると欧州市場で一時140円台を回復。その後のNY市場では米4月JOLT求人件数の予想外の増加で140.38円前後まで上昇したものの、米連邦準備制度理事会(FRB)メンバー2人が6月利上げの見送りを示唆すると139.23円前後まで反落した。金利先物市場では、JOLT求人件数の発表後に約70%まで進んでいた6月の25bp(0.25%ポイント)利上げ織り込みがFRB高官のハト派発言を受けて約35%へと低下した。先日は別の複数のFRBメンバーが利上げ継続に前向きな姿勢を表明しており、6月の利上げを巡ってはFRB内で意見が大きく割れているようだ。
そうした中、本日のNYタイムには米5月ADP全国雇用者数、米新規失業保険申請件数、米5月ISM製造業景況指数などの米重要経済指標が発表される。これらの結果次第で6月利上げの織り込みがさらに変化する公算が大きく、ドル/円もこれらの結果に一喜一憂する展開が見込まれる。そのほか、東京タイムには米債務上限の引き上げ法案を巡る下院採決が行われる予定となっている。5日のタイムリミットが迫る中、無事に可決され上院へ送付される運びとなるか注目したい。
注目の経済指標:米ADP雇用統計、ISM製造業景況指数
注目のイベント:ラガルドECB総裁発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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