主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2022年6月13日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼10日(金)の為替相場
(1):中国で複数の経済指標発表
(2):三者会合後に円買い強まる
(3):米CPIは約40年ぶりの伸び
(4):米為替報告書を公表
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:135円突破の可能性高まる/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
10日(金)の為替相場
期間:10日(金)午前6時10分~11日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中国で複数の経済指標発表
中国5月生産者物価指数(PPI)は前年比+6.4%と予想通りとなったものの前月(+8.0%)から伸びが鈍化。同消費者物価指数(CPI)は前年比+2.1%と市場予想(+2.2%)を下回り前月と変わらなかった。
(2):三者会合後に円買い強まる
財務省・日銀・金融庁は三者会合後に声明を発表。最近の為替相場について「急速な変動は望ましくない」とし「 政府・日銀、緊密に連携しつつ為替市場の動向や経済・物価への影響をいっそうの緊張感持って注視する」と表明。「各国通貨当局と緊密な意思疎通図りつつ、必要な場合には適切な対応」とし円安進行をけん制した。なお、神田財務官は急速な円安の進行について「憂慮している」と発言。円安けん制のトーンが一段上昇したと受け止められ、円を買い戻す動きが活発化した。
(3):米CPIは約40年ぶりの伸び
米5月CPIは前年比+8.6%と市場予想(+8.3%)に反して伸びが加速し、1981年12月以来の高い伸びとなった。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数も前年比+6.0%と市場予想(+5.9%)を上回った。インフレ懸念が強まり、米連邦準備理事会(FRB)が9月以降も積極的な金融引き締めを続けるとの見方が広がる中、米長期金利の上昇とともにドル買いが優勢となった。その後発表された米6月ミシガン大消費者信頼感指数・速報値は50.2と市場予想(58.1)を下回り過去最低水準となった。
(4):米為替報告書を公表
米財務省は主要な貿易相手の通貨政策を分析した為替報告書を公表。「為替操作国」への認定国・地域はなかったものの、日本や中国、韓国など12カ国を通貨政策の「監視対象」に指定した。日本の為替介入については「非常に例外的な状況に限られるべき」とする従来の主張から変更はなかった。円相場の急落については「日銀が金融緩和のスタンスを維持していることが主な要因である」との見方を示した。
10日(金)の株・債券・商品市場
外為注文情報
【情報提供:外為どっとコム】
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本日の見通し
ドル/円の見通し:135円突破の可能性高まる
10日のドル/円はほぼ横ばい。日本政府・日銀が急速な円安の進行を「憂慮」しているなどとして牽制トーンを強めたことから133.35円前後まで下落したが、米5月消費者物価指数(CPI)が約40年ぶりの高い伸びとなった事を受けて米長期金利が上昇すると134.48円前後へと反発した。米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的ペースで引き締めを続けるとの見方が強まる中、ドルの下値は堅かった。
本日も早朝から134.70円台へと上伸するなど、ドル/円は心理的節目の135.00円と2002年高値の135.15円を意識した動きとなっている。135円台への続伸を阻む要因としては日本政府の円安牽制と世界的な株安が挙げられる。ただ、10日の動きからも窺えるように口先介入の効果は限定的であろう。また、米長期金利の上昇を起点とした株安は円買いと同時にドル買いを誘発しやすい。いずれも決定的な下落材料にはなりにくいと見られる。本日のドル/円は20年4か月ぶりの135円台を示現する可能性が高まっていると考えられる。
注目の経済指標
注目のイベント
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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