
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野直人
執筆日時 2026年7月31日 18時30分
ユーロ円は182.10円、ポンド円は212.30円まで下落し、終盤の円急騰が重しとなりました。その後は持ち直したものの、政府・日銀による円買い介入への警戒から反発余地は限定的です。
本稿では、ECBと英中銀の政策姿勢、来週の欧州・英国指標、
そしてユーロ円(181.00〜186.00円)・ポンド円(212.00〜217.00円)の予想レンジを解説します。
予想レンジ:ユーロ円 181.00~186.00円
予想レンジ:ポンド円 212.00〜217.00円
ユーロ円とポンド円、円急騰で失速
2026年7月27日〜7月31日週のユーロ円・ポンド円は、終盤の円急騰を受けて大幅に下落しました。ユーロ円は182.103円、ポンド円は212.301円まで下落しました。その後、ユーロ円が185.10円付近、ポンド円は216.30円付近まで持ち直しましたが、政府・日銀による介入警戒感もあり、そこから再び軟調に推移するなど、上値の重い展開でした。
(各レート水準は執筆時点のもの)
ユーロ/円見通し(2026年8月3日~8月7日)
欧州中央銀行(ECB)の追加利上げ観測が、ユーロを下支えしそうです。ユーロ圏では景気が持ち直し、物価上昇圧力も残っていることから、9月会合で再び利上げに動くとの見方が根強くあります。
来週はユーロ圏の製造業・サービス部門PMI改定値、ドイツの製造業受注と鉱工業生産、ユーロ圏の小売売上高が発表されます。景気回復の広がりが確認されれば、ECBの利上げ観測とともにユーロを支える要因になります。
ただし、ユーロ円では政府・日銀による円買い介入への警戒が上値を抑えそうです。ユーロが対ドルで底堅く推移しても、ドル円の戻りが限られれば、ユーロ円も上昇しにくくなります。
ユーロ円は、ECBの追加利上げ観測が下値を支える一方、円買い介入への警戒が上値を抑える展開です。欧州指標が堅調でも上値は限られやすく、米雇用統計を受けて円高が進めば、前週安値の182.103円を再び試す可能性があります。
ユーロ円テクニカル分析
ユーロ円は急落により、10日移動平均線の185.85円と50日移動平均線の185.30円を下回りました。反発した場合は、185.30~185.85円付近が上値抵抗として意識されそうです。
下値では、200日移動平均線が位置する183.70円付近が当面の分岐点です。このレベルは、先週に一時割り込んだものの終値では回復したこともりあ、水準を維持できれば、185円台への反発余地が残りますが、明確に割り込めば前週安値の182.103円、さらに181円台まで下値を広げる可能性があります。
来週の予想レンジは181.00~186.00円です。200日移動平均線を挟んで上下に振れながら、欧州指標と米雇用統計を受けて次の方向を探る展開を見込みます。
【ユーロ円チャート 日足】

ポンド円の見通し(2026年8月3日〜8月7日)
英中銀(BoE)はインフレ再加速への警戒を残す一方、労働市場の軟化や賃金上昇圧力の鈍化を踏まえ、追加利上げには慎重な姿勢を示しています。金融市場では年内の利上げ観測が残っていますが、時期や実施の有無を巡って見方は分かれており、ポンドの上値を抑えそうです。
来週は英国の製造業・サービス部門PMI改定値と建設業PMIが発表されます。サービス業を中心に景気の底堅さが確認されればポンドを支えますが、弱い結果となれば、英中銀の慎重姿勢が改めて意識される可能性があります。
ポンド円は、英中銀の利上げ観測が下値を支える一方、利上げ時期の後ずれと円買い介入への警戒が上値を抑える展開を見込みます。英国指標が弱く、米雇用統計を受けて円高が進めば、前週安値の212.301円を再び試す可能性があります。
ポンド円テクニカル分析
ポンド円は前週の急落で、10日移動平均線の217.50円と50日移動平均線の215.67円を下回り、212.301円まで下落しました。その後は50日移動平均線付近まで戻しており、当面は、50日移動平均線を中心に上下へ振れる展開が想定されます。
上値では10日移動平均線の217.50円付近が抵抗となる一方、下値では前週安値の212.301円と、200日移動平均線の211.65円付近が支持線として意識されます。
来週の予想レンジは212.00〜217.00円です。50日移動平均線を中心とした振幅を基本としつつ、下落時は前週安値と200日移動平均線を維持できるかが焦点になります。
【ポンド円チャート 日足】

2026年8月3日〜8月7日の重要経済指標・イベントスケジュール
- 8月3日(月)
- 17:00 ユーロ 7月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- 17:00 イギリス 7月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- 23:00 アメリカ 7月ISM製造業景況指数
- 8月4日(火)
- 23:00 アメリカ 6月製造業新規受注
- 23:00 アメリカ 6月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
- 8月5日(水)
- 08:30 日本 6月毎月勤労統計調査
- 08:50 日本 日銀・金融政策決定会合議事要旨(6月会合分)
- 17:00 ユーロ圏 7月サービス部門PMI改定値
- 17:30 英国 7月サービス部門PMI改定値
- 18:00 ユーロ 6月卸売物価指数(PPI)
- 21:15 アメリカ 7月ADP雇用統計
- 23:00 アメリカ 7月ISM非製造業景況指数(総合)
- 8月6日(木)
- 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
- 15:00 ドイツ 6月製造業新規受注
- 17:00 ユーロ ECB経済報告
- 18:00 ユーロ 6月小売売上高
- 18:30 アメリカ 7月チャレンジャー人員削減数
- 21:30 アメリカ 4-6月期四半期非農業部門労働生産性・速報値
- 21:30 アメリカ 4-6月期四半期単位労働コスト・速報値
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 8月7日(金)
- 15:00 ドイツ 6月鉱工業生産
- 15:00 ドイツ 6月貿易収支
- 21:30 アメリカ 7月雇用統計
- 23:00 アメリカ リッチモンド連銀総裁、発言
関連記事
- ユーロ円 ポンド円見通し:ECB利上げ観測とBOEの慎重姿勢 ハロンズFX 2026/7/25
- ユーロ円 ポンド円見通し:ユーロは中銀待ち、ポンドは政治から物価へ ハロンズFX 2026/7/18
- ユーロ円 ポンド円見通し:強いポンド、重いユーロ ハロンズFX 2026/7/11
小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
