
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野直人
執筆日時 2026年7月17日 17時30分
ユーロ円とポンド円は、同じ円安を追い風としながら、来週は異なる材料に左右されそうです。ユーロは7月23日の欧州中央銀行(ECB)理事会で9月利上げへの示唆が得られるか、ポンドは22日の英消費者物価指数(CPI)が政治材料に代わる支えとなるかが焦点です。期待の織り込みが進むなか、材料出尽くしとなるか、それとも一段高につながるかを見極めます。
予想レンジ:ユーロ円 184.00〜187.00円
予想レンジ:ポンド円 215.50〜220.00円
ユーロ円は186円前半、ポンド円は219円半ばへ上昇
2026年7月13日〜7月17日のユーロ円・ポンド円は底堅く推移しました。ドル高の流れが一服したほか、英国の政局混乱が収束に向かう期待が相場を下支えしました。英国では、バーナム氏の次期首相就任がほぼ確実となったほか、噂されていたミリバンド氏ではなく、財政規律を重視するマフムード氏を財務相に指名する可能性が高まりました。ユーロ円は186.031円、ポンド円は219.608円まで上昇しました。ユーロ円は186円台で上値を抑えられ、方向感の乏しい展開が続きました。一方、ポンド円は英国政治の混乱収束への期待を背景に上昇基調を強めましたが、219円台後半では利益確定売りも見られました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
ユーロ円見通し:9月利上げにどこまで踏み込むか
2026年7月20日〜7月24日のユーロ円は、7月23日の欧州中央銀行(ECB)理事会とラガルドECB総裁の記者会見が最大の焦点です。政策金利は据え置きが予想されていますが、市場の関心はすでに次の一手へ移っています。6月のユーロ圏消費者物価指数は鈍化したものの、インフレ率はECBの目標を上回っており、サービス価格やエネルギー価格の先行きにも不透明感が残ります。
ラガルド総裁が9月の追加利上げに前向きな姿勢を示せば、ユーロ円は上値を試す可能性があります。ただし、市場は9月までの利上げをすでに強く織り込んでおり、追加利上げの可能性を残すだけでは新たなユーロ買いにつながらず、材料出尽くしとなる展開にも注意が必要です。
さらに、足元では米国の関税政策を巡る動向にも警戒が必要です。米国による関税引き上げリスクが高まると、貿易摩擦への懸念から欧州景気の減速リスクが意識され、ユーロの重石となる可能性があります。ECBの金融政策だけでなく、米国の通商政策がもたらす「リスクオフの円買い」や「ユーロ売り」の側面も合わせて注視する必要があります。
ユーロ円のテクニカル分析と売買戦略
テクニカル面では、10日・25日・75日移動平均線が集まる185.05〜185.40円が下値支持です。9日相対力指数(RSI)は56.0と買い優勢ながら過熱感はなく、186.031〜186.315円を上抜ければ187円台が視野に入ります。一方、185.05円を割り込むと、184.50〜184.00円への調整が意識されます。
筆者のメインシナリオは、185円台前半を維持しながら186.315円の突破を試す展開です。ECB理事会後も抵抗帯を越えられない場合は、材料出尽くしによる反落を想定します。
【ユーロ円チャート 日足】

ポンド円見通し:次はCPIがポンドを下支えか
2026年7月20日〜7月24日のポンド円は上昇基調を保ちながら、高値圏で調整を挟む展開を想定します。バーナム氏の首相就任が確実視され、内相のマフムード氏を財務相に起用する可能性が高まったことで、英国政治の混乱が収束するとの期待がポンドを押し上げています。ただし、政権発足と主要人事はすでに相場へ織り込まれつつあり、ご祝儀的な買いは一巡する可能性があります。
一方、英国のインフレ率はイングランド銀行の目標を上回っており、同行が年後半の再上昇を見込んでいることもあって、一部に利上げ観測が残りポンドの下値を支えています。7月22日の英消費者物価指数が下げ渋る内容となれば、ポンドの調整は限定的となるでしょう。ポンド円は上値が重くなりやすいものの、円安も続いているため、一方向には動きにくいと考えます。政治相場が終わった後、英国のインフレと金利がポンドを支えられるかが、来週の分岐点になります。
ポンド円のテクニカル分析と売買戦略
テクニカル面では、ポンド円は10日移動平均線の217.65円、25日移動平均線の215.65円、75日移動平均線の214.65円を上回り、上昇基調を維持しています。一方、9日RSIは64.0と買い優勢で、短期的な過熱感には注意が必要です。217.00〜217.65円を維持すれば219.608〜220.00円を再び試す一方、217.00円を割り込むと215.65円付近まで調整が広がる可能性があります。
筆者のメインシナリオは、217.00〜217.65円で下げ止まり、220.00円を再び試す展開です。ただし、217.00円を日足終値で割り込んだ場合は、上昇シナリオをいったん弱めます。
【ポンド円チャート 日足】

2026年7月20日〜7月24日の重要経済指標・イベントスケジュール
- 7月20日(月)
- 18:00 ユーロ 5月建設支出
- 23:00 アメリカ 6月景気先行指標総合指数
- 7月21日(火)
- 15:00 イギリス 3〜5月失業率(ILO方式)
- 15:00 イギリス 6月失業保険申請件数
- 15:00 イギリス 6月失業率
- 18:00 ユーロ 7月ZEW景況感調査
- 7月22日(水)
- 08:50 日本 6月貿易統計(通関ベース、季調前)
- 15:00 イギリス 6月消費者物価指数(CPI)
- 7月23日(木)
- 21:15 ユーロ 欧州中央銀行(ECB)政策金利
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 21:45 ユーロ ラガルドECB総裁、定例記者会見
- 23:00 ユーロ 7月消費者信頼感(速報値)
- 7月24日(金)
- 米国 通商法122条に基づく原則10%の輸入課徴金の期限
- 08:30 日本 6月全国消費者物価指数(CPI)
- 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
- 15:00 イギリス 6月小売売上高
- 17:00 ユーロ 7月製造業/サービス業PMI速報値
- 17:30 イギリス 7月製造業/サービス業PMI速報値
- 22:45 アメリカ 7月製造業/サービス業PMI速報値
- 23:00 アメリカ 6月新築住宅販売件数
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
