
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年7月10日 16時30分
ユーロ円とポンド円は、政治要因と円買い戻しの思惑が交錯する中で方向感を欠く展開が続いています。欧州政治の不透明感や英国の新政権誕生を巡る期待と警戒が相場を揺らし、いずれもレンジ内での取引が中心となりやすい状況です。短期的な円高圧力が高まる中、主要クロス円ではテクニカル面でも節目を意識した慎重な売買が求められます。
予想レンジ:ユーロ円:183.50-186.50
予想レンジ:ポンド円:215.00-220.00
ユーロ円・ポンド円の足元の値動き、方向性定まらず
2026年7月3日〜7月10日のユーロ円は高値圏でもみ合う展開となった一方、ポンド円は底堅く、ドル円に連動する動きとなりました。ユーロ円は184.40円台から185.82円付近での振幅が続きました。一方、ポンド円は新政権発足への期待感から底堅い動きとなり、中盤に218.017円と、2008年1月以来の水準まで上昇しました。その後、7月10日には本邦年金資金の国内還流を巡る思惑から円買いが強まり、ユーロ円・ポンド円の上値を抑える材料として意識されました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
ユーロ円見通し:政治リスクで上値限定
2026年7月13日〜7月17日のユーロ円は、下向きの動きに警戒したいです。パリ控訴院がマリーヌ・ルペン氏の被選挙権の停止期間短縮を決定し、同氏が来春の仏大統領選への出馬を表明したことで欧州の政治混迷と財政懸念が意識され始めています。ユーロに対するプレッシャーはまだまだこれからといった状態ですが、政治的な不安が表面化し始めたことは、ユーロの上値抑制材料として意識されます。また、短期的な円安がかなり進んでいるため、ちょっとしたきっかけで円買い戻しが大きく出やすいこともあり、ユーロ円は下げ幅を広げる可能性があります。
ポンド円見通し:新政権期待と財務相人事が焦点
2026年7月13日〜7月17日のポンド円は不安定な推移が見込まれます。7月20日にはバーナム新首相が誕生する可能性が高まる中、市場は次期財務相に左派重鎮のエド・ミリバンド氏が起用されるとの見方が優勢になりつつあります。同氏の大胆なネットゼロ投資や分配重視のスタンスに対し、財政悪化を警戒する金融街(シティ)では反発も根強くあり、7月20日にも公表される新財務相への注目が高まっています。ミリバンド氏の起用観測が強まる場合、財政規律や国債市場への影響を見極めたいとの警戒感から、ポンドの上値を抑える可能性があります。
ユーロ円テクニカル分析:レンジ継続の可能性
ユーロ円は、25日移動平均線の184.95円付近に位置しており、方向感はやや中立です。足元では185円台後半まで戻す場面がありましたが、上値は186.30円台で抑えられる流れは継続しており、上放れ期待は高まっていません。
一方、下値では183.10〜183.50円台がサポートとして意識されます。RSIも50前後で推移しており、買われすぎ・売られすぎのどちらにも傾いていないため、現状はレンジ相場と見るのが自然です。
買いは183.50〜184.00円付近で下げ渋りを確認して検討、売りは185.50〜186.30円付近で上値の重さを確認して検討したいところです。
ポンド円テクニカル分析:基調はまだ底堅い
ポンド円は直近で218.00円台まで上昇し、高値圏を維持しています。25日移動平均線は214.90円付近、75日移動平均線は214.10円付近にあり、現在値は両線を上回っています。基調は上向きです。
短期的な調整はあり得るものの、215.00円台を維持する限り、押し目買い優勢の流れが続きやすいと見ます。
上値は218.00円付近が最初の抵抗です。ここを上抜けると、219.00円台から220.00円付近を試す展開が想定されます。一方、下値は216.00円前後、次に215.00円付近がサポートです。
売買戦略は、基本的に押し目買い中心です。216.00〜215.00円付近で下げ渋りを確認できれば買いを検討し、利益確定は218.00円、219.00円、220.00円付近が目安です。損切りは215.00円割れ、慎重に見るなら214.80円割れです。
【ユーロ円チャート 日足】

【ポンド円チャート 日足】

2026年7月13日〜7月17日の重要経済指標・イベントスケジュール
- 7月13日(月)
- 18:25 アメリカ ボウマンFRB副議長、発言
- 7月14日(火)
- 13:30 日本 5月鉱工業生産・確報値
- 21:30 アメリカ 6月消費者物価指数(CPI)
- 23:00 アメリカ ウォーシュFRB議長、議会証言
- 25:40 アメリカ バーFRB理事、発言
- 7月15日(水)
- 08:50 日本 5月機械受注
- 18:00 ユーロ 5月鉱工業生産
- 21:30 アメリカ 7月ニューヨーク連銀製造業景気指数
- 21:30 アメリカ 6月卸売物価指数(PPI)
- 23:00 アメリカ ウォーシュFRB議長、議会証言
- 27:00 アメリカ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
- 7月16日(木)
- (時間未定) イギリス 労働党党首選、受付締め切り
- 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
- 15:00 イギリス 5月月次国内総生産(GDP)
- 15:00 イギリス 5月貿易収支
- 18:00 ユーロ 5月貿易収支
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 21:30 アメリカ 6月小売売上高
- 23:00 アメリカ 7月NAHB住宅市場指数
- 23:00 アメリカ 5月企業在庫
- 25:30 アメリカ ダラス連銀総裁、発言
- 7月17日(金)
- (時間未定) 日本 特別国会会期末
- 18:00 ユーロ 6月消費者物価指数(HICP、改定値)
- 21:30 アメリカ 6月輸入物価指数
- 21:30 アメリカ 6月住宅着工件数
- 21:30 アメリカ 6月建設許可件数
- 23:00 アメリカ 7月ミシガン大学消費者態度指数・速報値
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
