
総括
FX「かろうじて金利差がリラ安を救う。焦点は来週のGDPとCPI」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価7位)
予想レンジ トルコリラ/円3.4-3.9
*リラ弱いが、株価は高値更新
*リラ円は8月はほぼボリバン下位で推移
*今後の焦点、GDPとCPI
*外貨保護預金制度が廃止された
*株の空売り禁止を解除
*外国人投資家がトルコ株へのエクスポージャーを拡大
*対ドルで3月危機のレベルに近づくも静観
*3月危機でリラ買い介入を行ったが、その後はリラ売りを実施
*インフレ抑制へ目標設定
*対米関税は15%と比較的低い、他国が利用するか
*格付け引き上げ、ムーディーズ
*国内政治リスクは高い
*経済団体は、利下げとリラ安を要求
*政府は野党を抑圧
*リラ安の主因=トルコの外貨預金が依然規格外に大きい
(リラ弱いが、株価は高値更新)
やはり強くはない。8月はほぼボリバン下位で推移している。年間では対円18.55%安、対ドル15.37%安、対ドルでは1ドル41台にも乗せている。対ドルでは3月危機のレベルに近づくも当局は静観している。いや3月危機でリラ買い介入を行ったが、その後はリラ売り介入を実施し自ら緩やかなリラ安を演出している。
イスタンブール100株価指数は、追加利下げ観測もあり年間で16.76%高。10年国債は31.2%。
今年もリラは弱いが、下落幅は縮小しており金利差が為替差損を僅かに上回っている。
(今後の焦点、GDPとCPI)
9月1日発表の2Q・GDP、今年1Qに2%成長したトルコ経済は6月鉱工業生産も大幅改善し、第2四半期にはさらに力強い成長を達成すると予想される。
またインフレ目標も新たに設定されたが、9月3日には8月消費者物価が発表される。
(外貨保護預金制度の廃止)
政府が、推定600億ドルの費用をかけてトルコ・リラ建て預金を通貨下落から守る物議を醸したプログラムである外貨保護預金制度を8月23日に終了した。
KKMとして知られるこの制度は、通貨暴落によりリラが2021年に対ドルで44%下落したことを受けて、21年末に開始された。この制度により、個人や企業は、為替差損が保証された特別口座にリラを預けることができた。
それ以来、リラは2022年に29%、2023年に37%、2024年に16%下落した。このプログラムによる預金は1400億ドルでピークに達したが、その後110億ドルに減少した。
トルコ当局はこれまで、このプログラムは2025年後半までに終了すると述べていたが、段階的な廃止は予想よりも早く行われ、リラ危機を助長したと非難されている異例の政策を放棄する新たな一歩となる。
(空売り禁止を解除)
トルコ当局は、外国人投資家にとってトルコ株式市場の魅力を高めるため、空売り禁止を今月末で自然消滅させる計画だと、事情に詳しい関係者が月曜日に明らかにした。トルコ当局は、イスタンブール市長のイマモール氏の汚職容疑での逮捕をきっかけに起きた市場の混乱を抑えるため、3月に既存の空売り禁止を拡大した。
空売り禁止は3回の延長を経て、8月29日に期限を迎える予定だ。トルコの主要株価指数が最近、過去最高値を更新したことや、中銀が利下げを再開したことも、この決定の要因となった。禁止解除によって株式市場の取引量と厚みが増し、外国人投資家にとっての魅力も高まるとみられている。規制当局はまた、自社株買い規制の緩和を含む他の措置も自然に失効させる予定だ。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
8月はほぼボリバン下位で推移
日足、8月はほぼボリバン下位で推移。7月24日-8月25日の上昇ラインがサポート。8月1日-25日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、ボリバン下位。3月17日週-8月18日週の上昇ラインがサポート。7月28日週-8月18日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
月足、3月-4月の上昇ラインを下抜く。現在は2σ下限あたり。3月-7
月の上昇ラインがサポート。3月-7月の下降ラインが上値抵抗。
年足、2024年で10年連続陰線。その間52円から3円台へ沈む。2025年もここまで陰線。

メルハバ
外国人投資家がトルコ株へのエクスポージャーを拡大
トランプ米大統領に関連する関税をめぐる不確実性が部分的に緩和されたことを受けて、他の新興市場の動向を反映してトルコへの資本流入が再開した。
国内インフレ率の低下と中央銀行による最近の金利引き下げが、外国人投資家の関心をさらに後押ししている。
中銀データによると、外国人投資家は過去7週間にわたりトルコ株式への関心を維持しており、わずか1ヶ月半で12億ドル相当の株式を購入した。一方、債券投資からは純流出が見られた。
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