このレポートでは、メキシコペソとアメリカ経済や日本円との為替レートの動き、メキシコペソの見通し、そしてその影響を受ける可能性がある要因について詳しく解説します。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
X(Twitter): https://twitter.com/KandaTakuya
ペソ相場を取り巻く環境は不透明感を増す
7日に発表されたメキシコの5月消費者物価指数(CPI)は前年比+4.69%と市場予想(+4.82%)ほどではなかったが前月の+4.65%から伸びが加速。これに加えて足元で通貨ペソが下落していることから、市場ではメキシコ中銀が今月27日の金融政策決定会合で利下げに踏み切るのは難しいのではないかとの見方が浮上。中銀のロドリゲス総裁は先月、6月会合で利下げを議論するとの見通しを示したが、その際には「ペソ高が輸入コストの上昇を緩和し、インフレ抑制の重要な要素となっている」と指摘していた。
足元のペソ安の背景は今月2日に行われたメキシコ大統領選と議会選で与党・国家再生運動(MORENA)が圧勝したことにある。MORENAの大勝によって、新政権が外資系企業の排除など内向きな政策を推し進める可能性があるとの懸念がペソ売りを誘っている。政治リスクによるペソ相場の下落が長引くようなら、結果的に中銀は利下げに動きにくくなると考えられる。ペソ相場を取り巻く環境は不透明感を増しており、当面は不安定な値動きが続く可能性が高そうだ。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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