執筆：外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
執筆日時 2023年7月21日 17時40分
急ピッチの円安なら、介入警戒が高まる危険も
7月17日週の米ドル/円は観測報道で急騰
日銀の政策修正期待から137.687円まで下押す局面はあったものの、植田日銀総裁が「持続的、安定的な2％のインフレ達成にはまだ距離がある」などと述べると、その流れが反転。また、一部報道が「YCC（イールドカーブ・コントロール）の変動幅を据え置く可能性」などと報じたこともあり、米ドル/円は141円後半まで急騰する場面もありました。（各レート水準は執筆時点のもの）
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FX ライブ配信、円安警戒なら7月日銀会合でYCC修正か、タンクトップ姿解禁 !? (2023年7月20日)
21日線を越えられるか注視
今週はざっと見渡しても、7月24日-米7月製造業・サービス部門購買担当者景気指数（PMI）、7月26日-米連邦公開市場委員会（FOMC）、7月27日-米4-6月期四半期実質国内総生産（GDP）、7月28日-日銀金融政策決定会合、米6月個人消費支出、米4-6月期雇用コスト指数とイベントフルな週です。FRBは利上げ打ち止めとなるのか、日銀がイールドカーブ・コントロール（YCC）修正に踏み切るか着目されます。日銀会合を巡っては現状維持が7割程度、YCC修正が3割程度となっていますので、YCC修正に踏み切った場合の方がインパクトは大きくなりそうです。本邦金融機関では、YCC修正に踏み切れば米ドル/円が１～2％程度下落するほか、YCC撤廃まで踏み込むようなら3％超下落すると見ているようですが、YCC修正見送りの観測報道が直近、流れた影響もあって、下げ幅はこれ以上に広がる危険はあります。
もっとも、伝統的な金融政策との整合性が取りづらいYCC政策への修正期待は今後も続くと見られるほか、政府による過度な円安進行への警戒心などもあって、145円付近へ近づけば、上昇の勢いは弱まりそうです。伸びきったところは戻り売りで対処したいです。また、FRBについては、しばらく抑制的な政策を続けると見られますが、今後のファンダメンタルズ次第の点は否めませんので、正直FOMCよりはGDP、PCE、雇用コスト指数などの方が動意を生じさせるかもしれません。米ドル/円は141.956円付近を推移する21日移動平均線が目下のレジスタンス。ここを抜けられれば、144.000円付近までの上昇は期待できそうです。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：USD/JPY：137.000-144.000
7/24 週のイベント:
7/24(月) 22:45 米国 7月製造業購買担当者景気指数（ＰＭＩ、速報値）
7/24(月) 22:45 米国 7月サービス部門購買担当者景気指数（ＰＭＩ、速報値）
7/24(月) 22:45 米国 7月総合購買担当者景気指数（ＰＭＩ、速報値）
7/25(火) 22:00 米国 5月住宅価格指数
7/25(火) 22:00 米国 5月ケース・シラー米住宅価格指数
7/25(火) 23:00 米国 7月消費者信頼感指数（コンファレンス・ボード）
7/25(火) 23:00 米国 7月リッチモンド連銀製造業指数
7/26(水) 23:00 米国 6月新築住宅販売件数
7/26(水) 27:00 米国 米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）、終了後政策金利発表
7/26(水) 27:30 米国 パウエル米連邦準備理事会（ＦＲＢ）議長、定例記者会見
7/27(木) 8:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
7/27(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
7/27(木) 21:30 米国 6月卸売在庫
7/27(木) 21:30 米国 4-6月期四半期実質国内総生産（ＧＤＰ、速報値）
7/27(木) 21:30 米国 6月耐久財受注
7/28(金) ― 日本 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表
7/28(金) ― 日本 日銀展望レポート
7/28(金) 8:30 日本 7月東京都区部消費者物価指数（ＣＰＩ、生鮮食料品除く）
7/28(金) 15:30 日本 植田和男日銀総裁、定例記者会見
7/28(金) 21:30 米国 4-6月期四半期雇用コスト指数(前期比)
7/28(金) 21:30 米国 6月個人消費支出（ＰＣＥデフレーター）
7/28(金) 23:00 米国 7月ミシガン大学消費者態度指数・確報値
一言コメント
報道に振り回されてばかりの市場は視ていて疲れますね…。少しは落ち着いて欲しいものです。
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