主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2022年9月12日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼9日(金)の為替相場
(1):日銀総裁 円安けん制発言
(2):ECBメンバーのタカ派発言が相次ぐ
(3):MPCによる政策発表を1週間延期
(4):FRB理事 9月会合で大幅利上げを支持
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:米債利回り次第の相場展開/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
9日(金)の為替相場
期間:9日(金)午前6時10分~10日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日銀総裁 円安けん制発言
黒田日銀総裁は岸田首相と官邸で会談。会談後に「急激な為替の変動は企業経営を不安定にし、将来の不確実性を高めるので好ましくない」「1日に為替が2円も3円も動くのは急激な変化だ」「為替市場の動向、今後も十分注視していきたい」と発言した。これが円安けん制と受け止められ、円を買い戻す動きが活発化した。
(2):ECBメンバーのタカ派発言が相次ぐ
ビルロワドガロー仏中銀総裁は、物価上昇への対応が遅れ、米当局が急ピッチでの利上げを迫られた1970年代の再来を各中銀は回避すべきだと主張。「整然かつ断固たる行動を取ることで回避する必要がある」と強調した。なお、この日はオランダ中銀のクノット総裁が「インフレが目標水準となるまで利上げは続ける」と述べた他、スロバキア中銀のカジミール総裁も「インフレ抑制のために断固たる利上げを継続する」と発言するなど、ECBメンバーのタカ派発言が相次いだ。
(3):MPCによる政策発表を1週間延期
英中銀(BOE)は、エリザベス女王の死去に伴い国を挙げて喪に服す期間に入ったことから、金融政策委員会(MPC)による政策発表を15日から22日へ1週間延期すると発表した。
(4):FRB理事 9月会合で大幅利上げを支持
ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事は「堅調な労働市場の中で景気後退(リセッション)の懸念は薄れた」として「9月会合では再度の大幅利上げを支持する」と発言。これより前には、ブラード米セントルイス連銀総裁も「0.75%の利上げに大きく傾いている」と述べたことが伝わっていた。これを受けて米2年債利回りは約14年ぶりに3.57%台へと上昇した。
9日(金)の株・債券・商品市場
外為注文情報
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本日の見通し
ドル/円の見通し:米債利回り次第の相場展開
9日のドル/円は終値ベースで約1.0%下落。黒田日銀総裁が「為替相場の急激な変動は好ましくない」と発言したことが円安けん制と受け止められた。前々日に145円目前まで上伸して24年ぶり高値を付けた反動もあって、断続的にドル売り・円買いが入ると一時141.50円前後まで軟化した。ただ、一巡後は142円台後半へと持ち直しており、週足では4週連続の上昇を記録。ドル高・円安トレンドは継続中と見られ、今週中に改めて145.00円の突破を試す可能性は消えていないと見る。
市場は明日13日に発表される米8月消費者物価指数(CPI)に注目している。本日のドル/円は、目新しい手掛かり材料を欠く中で米債利回りの動向を睨んだ相場展開となりそうだ。なお、米債市場では3年債と10年債の入札が予定されている。米連邦公開市場委員会(FOMC)を来週に控えていることで応札が不調に終われば米長期金利に上昇圧力がかかり、ドルの支援材料となる可能性もありそうだ。
注目の経済指標
注目のイベント
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※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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