執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也
南アフリカランド/円(4時間足)
※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照
直近1週間のポイント
☆世界リセッション懸念でプラチナ続落
・南ア電力不足、スタグフレーション懸念
足元の南アフリカランド/円は軟調に推移
南アフリカの主要産品であるプラチナ価格の下落と歩調を合わせてランドも軟調推移が続いています。
プラチナは工業用品としての側面が強いことから、世界的なリセッション(景気後退)を巡る不透明感が価格の重しになっているようです。
また、6月末には南アフリカの国営電力会社エスコムが大規模な計画停電を実施。
南アフリカ経済が、物価高と不況が共存する「スタグフレーション」に向かっているとの懸念もくすぶっています。
そうした中、ランド/円は8日に一時8.000円付近まで下落。
12日には8.000円を割り込み約2カ月ぶりに7.985円前後まで続落しました。
13日にかけてやや持ち直しましたが、8.0円台で上値の重い動きとなっています。
注目ポイントはリセッション懸念
リセッション懸念が高まると、市場では株式や資源などのリスク資産を手放す動きが強まる傾向があります。
為替は新興国・資源国通貨が下落する一方で、基軸通貨のドルが買われやすくなります。
足元のランドはそうした展開を先取りするかのように軟調です。
なお、ドル/ランドは今週、2020年9月以来の17.188ランド前後までドル高・ランド安が進む場面もありました。
ランド相場は当面「リセッション懸念」という抽象的かつ概念的で、払拭が困難な材料と闘わねばなりません。
主要国の株価や資源価格の動きを睨みながら上値の重い展開が続くと見られます。
20日に発表される南ア6月消費者物価指数が上ブレすれば、南ア中銀は翌21日の会合で追加利上げに動かざるを得なくなりそうです。
ただ、スタグフレーション懸念が高まることにもなるため、利上げ期待がランド相場を押し上げる展開にはなりにくいでしょう。
来週までの南アフリカランド/円の見通し
予想レンジ
7.750~8.200円
基調
上値重い
来週までの注目ポイント
・7/20 南ア6月消費者物価指数
・7/21 南ア中銀政策金利
☆主要国株価、国際商品価格
「為替チャート|南アフリカランド/円(ZARJPY)|60分足」はこちら
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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