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FX/為替「1ドル=137円を前に伸び悩み 米利上げ期待とリセッション懸念の綱引き」 外為トゥデイ 2022年7月11日号

外為トゥデイ

主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。

作成日時 :2022年7月11日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼8日(金)の為替相場
(1):リスク回避の円買い 135.33円前後まで下落
(2):独長期金利低下 ユーロ/ドル2002年12月以来の安値
(3):米雇用統計 予想上回る結果
(4):米要人 7月FOMC利上げ幅への見解

▼8日(金)の株・債券・商品市場

▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:方向感の出にくい相場展開/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント

8日(金)の為替相場

チャート期間:8日(金)午前6時10分~9日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム

(1):リスク回避の円買い 135.33円前後まで下落

奈良県で街頭演説をしていた安倍晋三元首相が銃で撃たれ心肺停止の状態であるとの報道が飛び込んだ。これを受けリスク回避の円買いが強まるとドル/円は一時135.33円前後まで下落。クロス円も急落した。その後、安倍氏は治療を受けていた病院で亡くなったことが発表された(17時3分)。黒田日銀総裁は「安倍元首相は、日本を長引くデフレから脱却させ、持続的経済成長の大きな成果残した」「強いリーダーシップ、日本の経済発展への貢献に心から敬意表したい」と述べた。その他、各国首脳などからも相次いで追悼の声が届いた。

(2):独長期金利低下 ユーロ/ドル2002年12月以来の安値

ユーロ圏の景気先行き不安から独長期金利が低下する中、ユーロが下落。ユーロ/ドルは2002年12月以来の安値となる1.0072ドル前後まで売り込まれた。ユーロ/円も136.86円前後まで軟化した。ただ、その後は独長期金利の持ち直しなどを背景にユーロにショートカバーが入った。

(3):米雇用統計 予想上回る結果

米6月雇用統計では、非農業部門雇用者数は37.2万人増と、前月(38.4万件増)から増加幅がやや鈍化したものの、予想(26.5万人増)を上回った。失業率は3.6%で予想通りだった。平均時給は前月比で+0.3%と予想に一致、前年比では+5.1%と予想(+5.0%)を上回った。市場は堅調な内容と受け止めた模様で米連邦準備理事会(FRB)が7月会合で75bp(0.75%ポイント)の利上げを進めるとの観測が改めて強まった。米10年債利回りが3.00%台へ急伸すると、ドル/円も136.57円前後まで強含んだ。クロス円もドル/円につれて上昇した。

(4):米要人 7月FOMC利上げ幅への見解

ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁は「米雇用市場は減速したものの、依然として信じられないほどタイト」とした上で「データを注視して利上げ幅やペースを判断する」と述べ「7月会合では50ないし75bpの利上げが議題になる」との認識を示した。これより前、ボスティック米アトランタ連銀総裁は「雇用者数は減速のわずかな兆しを示している」とした上で、7月の75bp利上げを支持する考えを改めて明らかにした。

8日(金)の株・債券・商品市場

株・債券

外為注文情報

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本日の見通し

予想レンジ

ドル/円の見通し:方向感の出にくい相場展開

8日のドル/円は終値ベースで0.1%弱の小幅高。安倍元首相の銃撃事件を受けてリスク回避の円買いが強まると135.33円前後まで下落したが、米6月雇用統計が堅調な結果となったことでドル買いに傾くと136.57円前後まで反発した。ただ、一時約20年ぶり安値へと下落していたユーロ/ドルにショートカバーが入るなど、ドルはNYクローズにかけて伸び悩んだ。雇用統計を受けて7月の75bp(0.75%ポイント)利上げの確度が高まる中、米債利回りは上昇したが、2年債利回りが10年債利回りより高い「逆イールド」の状態は継続。市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)の引き締めによって、米経済が近い将来にリセッション(景気後退)に陥るとの見方を変えていないようだ。

ドル/円は本日も、米国の利上げ期待とリセッション懸念の綱引きで方向感の出にくい相場展開が見込まれる。20日移動平均線が通る135円台半ばが下値支持と見られる一方、6月末に付けた24年ぶり高値の137.00円付近は強い上値抵抗として意識されそうだ。

注目の経済指標

特になし

注目のイベント

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kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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