主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年2月3日9時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼2日(木)の為替相場
(1):BOE 2会合連続で50bp利上げ
(2):ECB予想通りの利上げも総裁会見でユーロ売り
(3):米チャレンジャー人員削減数 前年比+440%
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:米雇用統計に関心集中/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
2日(木)の為替相場
期間:2日(木)午前7時10分~3日(金)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):BOE 2会合連続で50bp利上げ
英中銀(BOE)は予想通りに政策金利を3.50%から4.00%に引き上げた。50bp(0.50%ポイント)の利上げは2会合連続。声明では「より持続的なインフレ圧力の証拠があれば、金融政策の一段の引き締めが必要になる」としたが、前回の「必要に応じて力強く対応する」から表現をやや緩めた。また、「英国を含む世界のインフレはピークに達したようだ」と指摘した。議事録では英中銀金融政策委員会(MPC)メンバーの9人中7人が50bp、2人は据え置きを支持していたことが明らかとなった。その後、ベイリーBOE総裁は「2024年春以降の消費者物価指数(CPI)は目標(2%)を下回る」との見通しを示した。これらを受けてポンドは下落した。
(2):ECB予想通りの利上げも総裁会見でユーロ売り
欧州中銀(ECB)は主要政策金利を予想通りに50bp引き上げて2.50%から3.00%にすると発表。中銀預金金利も2.00%から2.50%へと引き上げた。声明では「金利は依然として安定したペースで大幅に上昇する必要がある」と表明。「3月も50bpの利上げを実施する意向」とした上で「その時点でその後の金融政策の道筋を評価する」と今後に選択肢を残した。その後、ラガルドECB総裁が会見を行い、物価圧力は依然として強いとしながらも「インフレ見通しを巡るリスクはより均衡しつつある」と発言。「経済成長の見通しに対するリスクは、より均衡化している」とも指摘した。市場はECBがタカ派度合いを弱めたと受け止められユーロ売りが優勢となった。
(3):米チャレンジャー人員削減数 前年比+440%
米新規失業保険申請件数は18.3万件と、予想(19.5万件)に反して前週(18.6万件)からわずかに減少した。一方、これより前に発表された米1月チャレンジャー人員削減数は10.29万人と、前月の2倍以上に膨らんだ。前年比では+440%の記録的な大幅増となった。
2日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:米雇用統計に関心集中
昨日のドル/円は128円台を中心とする弱含みの展開だった。一時129.12円前後まで強含む場面もあったが、一巡後は米長期金利の低下を受けて128.08円前後まで反落。ただ、英中銀(BOE)と欧州中銀(ECB)の政策金利発表後にポンドやユーロが下落したためドルが相対的に上昇すると128円台後半へと下げ幅を縮小した。
米欧の中銀イベントラッシュを通過して、市場の関心は本日の米1月雇用統計に移る。市場予想は非農業部門雇用者数18.9万人増(前回22.3万人増)、失業率3.6%(前回3.5%)、平均時給前年比+4.3%(前回+4.6%)などとなっている。前哨戦の米1月ADP全国雇用者数が10.6万人増にとどまったことなどから、やや弱気な見方が優勢のようだ。その弱気な予想さえも下回る雇用統計となればドル/円は127円台に差し込む可能性もある。
注目の下値ポイントは1月16日安値の127.23円前後だ。一方、弱気な予想に反して強い結果となれば、週末を控えたショートカバーも相まってドル買いが強まることも考えられる。上値ポイントは心理的節目の130.00円だろう。実質5・10日の仲値公示を通過すれば、市場は次第に「雇用統計待ち」のムードになりそうだ。
注目の経済指標:米1月雇用統計
注目のイベント:サンフランシスコ連銀総裁講演
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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