主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2022年10月28日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼27日(木)の為替相場
(1):ドル円 145.11円前後まで下落
(2):ECB 政策金利引き上げもユーロ売り強まる
(3):米7-9月期GDP 予想を上回る
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:日銀緩和維持でも147円台は重そう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
27日(木)の為替相場
期間:27日(木)午前6時10分~28日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):ドル円 145.11円前後まで下落
米国の利上げペースが年内に減速するとの観測が広がる中、短期筋のポジション調整と見られるドル売り・円買いが強まった。ドル/円は10月24日の政府・日銀による円買い介入と見られる動きで付けた145.45円前後を下抜けて145.11円前後まで下値を広げた。クロス円もつれ安した。
(2):ECB 政策金利引き上げもユーロ売り強まる
欧州中銀(ECB)は主要政策金利を予想通り75bp(0.75%)引き上げて1.25%から2.00%にすると発表。声明では「今後も利上げを継続する」としながらも「3回連続の大幅利上げにより、理事会は金融緩和からの撤退を相当程度進められた」と指摘。その上で「今後数回の会合に渡って引き上げを継続する」との文言を削除した。これを受けてユーロは下落。その後、ラガルドECB総裁が会見を行い「2022年第3四半期の経済活動は著しく減速したと見られる」「第4四半期と2023年第1四半期はさらに減速する可能性が高い」との見解を示すとユーロ安の勢いが増した。
(3):米7-9月期GDP 予想を上回る
米7-9月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比年率+2.6%と予想(+2.4%)を上回り3四半期ぶりに上昇。GDPの約7割を占める個人消費は前期比年率+1.4%と予想(+1.0%)を上回ったものの、4-6月期(+2.0%)から鈍化した。同時に発表された9月耐久財受注は前月比+0.4%と予想(+0.6%)を下回った。変動の大きい輸送用機器を除いた受注も前月比-0.5%と予想(+0.2%)に反して減少した。一方、米新規失業保険申請件数は21.7万件と前週(21.4万件)から僅かに増加したが予想(22.0万件)は下回った。米経済指標のマチマチの結果によって米長期金利が改めて低下。ユーロ安・ドル高の影響などから146.90円台まで強含んでいたドル/円は反落した。
27日(木)の株・債券・商品市場
外為注文情報
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本日の見通し
ドル/円の見通し:日銀緩和維持でも147円台は重そう
昨日のドル/円は終値ベースで0.1%未満の小幅安。米国の利上げペース減速が意識される中、ドルの買い持ちを落とす動きが先行すると145.11円前後まで下落した。その後146.94円前後まで買い戻される場面もあったが、米長期金利が再び低下したため上値は重く146円台前半で取引を終えた。注目された米7-9月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+2.6%と予想の+2.4%を上回ったが、市場の利上げペース減速観測を後退させることはできなかった。
本日は、日銀の金融政策発表に注目が集まっている。日銀は、物価見通しを上方修正しつつも現行の大規模緩和を維持すると見られる。為替市場は現状維持を織り込み済みと見られるが、債券市場の一部には緩和修正観測がくすぶっているようだ。したがって、黒田総裁の会見内容が従来通りにハト派的なら、本邦長期金利の低下につれて円安に振れる可能性もある。
ただ、足元のドル/円の上値の重さを踏まえると、総裁発言によほどのサプライズがない限り、147円台を大きく超えて円安が進む公算は小さいだろう。来週1-2日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えていることもドル買い・円売りを抑制しそうだ。
注目の経済指標:日銀金融政策決定会合
注目のイベント:黒田日銀総裁会見
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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