
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年5月29日 16時00分
米・イラン情勢を巡る報道が相場を揺らし、ユーロ円とポンド円は方向感を欠く展開が続きました。地政学リスクに振らされる一方、6月会合に向けたインフレ指標と要人発言、英景況感の強弱が焦点となり、通貨ごとの材料がより鮮明になります。本稿では、足元の値動きと来週の注目ポイントを整理し、ユーロ円・ポンド円の来週(6月1日~6月5日)の見通しを解説します。
予想レンジ:ユーロ円:184.00-187.00
予想レンジ:ポンド円:212.00-216.00
ユーロ円・ポンド円、米・イラン巡る報道に一喜一憂
5月25日週のユーロ円・ポンド円は方向性が定まりにくかった。イラン革命防衛隊が米空軍基地を攻撃したとのニュースを受けて、ユーロ円は184.891円、ポンド円は213.333円まで低下したものの、「米国とイランは停戦を延長し、イランの核開発計画を巡る交渉を開始するための60日間の覚書で合意に達した(トランプ氏の署名待ち)」と、ホルムズ海峡の通航正常化への期待が広がったため、その後はユーロ円が185.60円台、ポンド円が214.20円台までもどした。もっとも、中東情勢の不透明さはなくならず、両通貨ペアとも明確な方向性は出なかった。
(各レート水準は執筆時点のもの)
来週のユーロ円見通し:6月以降の利上げタイミングを見極め
6月1日週のユーロ円は、6月欧州中央銀行(ECB)理事会での利上げ観測に加え、その後の追加利上げ余地を見極める段階に移りそうです。ユーロ側の要因として、ECBによる6月利上げは市場で有力視されており、このことはユーロの下支えになります。ただ、すでに大部分を織り込んでいるため、押上力は限定されています。注目は、2日に発表される5月消費者物価指数と4日のラガルドECB総裁の発言となります。これらの内容が6月だけではなく、7月の追加利上げをも後押しする材料となれば、ユーロが上方向を試すことになります。逆に、追加利上げ期待を後退させれば、ユーロ円は米国のファンダメンタルズや植田日銀総裁の発言や本邦の毎月勤労統計の結果を受け、方向性の見極めにくい展開になると見られます。
来週のポンド円見通し:主要国との景況感の差がポンドのドライバー
6月1日週のポンド円は、米英の景況感格差や米国の指標結果を手掛かりに動意づきそうです。英国の景気は底堅いものの、スターマー政権に対する信認低下もあって、ポンドの上値は重い状態です。もっとも、メイカーフィールド補欠選挙を通じて英議会復帰を目指すバーナム氏が、財政規律にも一定の配慮を示していることで、一方的なポンド売りにはつながりにくくなっています。手掛かりが限られる中、ユーロ圏や米国との景況感の差がポンドの値動きを決めそうです。ポンド円は、円次第の部分はありますが、214.00円を中心に方向性の見定めにくい展開となりそうです。
ユーロ円テクニカル分析:過熱感乏しく、短期基調は上向き
ユーロ円の日足は、現在値が10日線185.05円、50日線185.25円、100日線184.40円を上回っており、短期的には上向きです。RSI(9日)は60.1で、過熱感はまだ強くありません。
ただし、10日線が50日線をまだ明確に上抜けておらず、上昇トレンドが完全に強まった段階とまでは言い切れません。上値は186.00円、186.50円、さらに187円台前半が目標。下値は185.25円、185.05円、184.50円、184.00円がサポートです。
売買戦略は、押し目買い優先。185.00~185.25円付近への下げを待って買い、目標は186.00~186.50円。損切りは184.00円割れが目安です。186円台では利益確定も意識したい局面です。
ポンド円テクニカル分析:上向き維持も、上昇の勢いは限定的
ポンド円の日足は、現在値が10日線213.85円、50日線213.50円、100日線212.50円を上回っており、短期的には上向きです。RSI(9日)は53.7で、過熱感は強くありません。
ただし、直近は214円台半ばで上値が重く、上昇の勢いはやや鈍化しています。上値は214.50円、215.00円、さらに215.50円付近が目標。下値は213.85円、213.50円、212.50円、212.00円がサポートです。
売買戦略は、押し目買い優先。213.50~213.85円付近への下げを待って買い、目標は214.50~215.00円。損切りは212.00円割れが目安です。215円台では利益確定も意識したい局面です。
【ユーロ円チャート 日足】

【ポンド円チャート 日足】

2026年6月1日~6月5日の重要経済指標・イベントスケジュール
- 6/1(月)
- 08:50 日本 1-3月期四半期法人企業統計調査・ソフトウェア含む全産業設備投資額(前年同期比)
- 17:00 ユーロ 5月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- 17:30 イギリス 5月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- 18:00 ユーロ 4月失業率
- 22:45 アメリカ 5月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- 23:00 アメリカ 5月ISM製造業景況指数
- 6/2(火)
- 14:50 アメリカ ミネアポリス連銀総裁、発言
- 18:00 ユーロ 5月消費者物価指数(HICP、速報値)(前年同月比)
- 21:30 アメリカ クリーブランド連銀総裁、発言
- 23:00 アメリカ 4月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
- 23:00 イギリス ベイリー英中銀(BOE)総裁、発言
- 6/3(水)
- 17:00 ユーロ 5月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- 17:30 日本 植田日銀総裁、発言
- 17:30 イギリス 5月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- 18:00 ユーロ 4月卸売物価指数(PPI)
- 21:15 アメリカ 5月ADP雇用統計(前月比)
- 22:00 アメリカ バーFRB理事、発言
- 22:45 アメリカ 5月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)
- 23:00 アメリカ 5月ISM非製造業景況指数
- 27:00 アメリカ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
- 29:00 アメリカ ダラス連銀総裁、発言
- 6/4(木)
- 17:00 ユーロ ラガルドECB総裁、発言
- 18:00 ユーロ 4月小売売上高
- 18:30 アメリカ 5月チャレンジャー人員削減数
- 21:30 アメリカ 1-3月期四半期非農業部門労働生産性・改定値
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 24:40 イギリス ベイリー英中銀(BOE)総裁、発言
- 26:10 アメリカ サンフランシスコ連銀総裁、発言
- 6/5(金)
- 08:30 日本 4月毎月勤労統計調査-現金給与総額
- 18:00 ユーロ 1-3月期四半期域内総生産(GDP、確定値)
- 21:30 アメリカ 5月雇用統計
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
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