
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年3月19日 16時20分
ユーロ円185円・ポンド円215円が重たい展開、為替市場はブレ気味
ユーロ円・ポンド円、円安とドル高に挟まれる展開
円安進展期待を背景にユーロ円は183.828円、ポンド円は212.721円まで戻りを試しました。しかし、中東情勢を巡る不透明感に伴う「有事のドル買い」の流れが幅広い通貨で断続的に続いたため、対ドルでユーロやポンドの上値が抑えられ、ユーロ円やポンド円は上値を伸ばしきれませんでした。
(各レート水準は執筆時点のもの)
原油高への反応関数が複雑で、方向がつかみにくい
■ユーロの見通し
来週のユーロは大きな方向感は出にくいものの、材料が出れば動きやすい相場になりそうです。その中心となるのは中東情勢です。
情勢が悪化すれば、原油高を通じてユーロ圏のインフレ圧力が強まる一方、リスク回避のドル高が進みやすく、ユーロにとっては強弱が入り混じる複雑な環境になります。また、ホルムズ海峡の治安維持に向けた米国の呼びかけに対し、EUが積極的な姿勢を示さなかったことで米欧関係の摩擦が意識されれば、ユーロの上値を重くする可能性もあります。
逆に情勢が落ち着き原油価格が安定すれば、ドル安方向に振れやすくなるうえ、ユーロ圏のインフレ懸念も和らぎ、ユーロにとっては素直にプラス材料として働くことになるのではないでしょうか。
■ポンドの見通し
来週のポンドも、材料次第で動きが出る場面はありそうですが、全体としては動意が乏しい展開が続くと考えます。執筆時点ではイングランド銀行の金融政策が未発表であり、その結果によってはポンドの振れ幅が大きくなる部分はあります。しかし、エネルギー価格上昇を受けた利下げ期待の後退はポンドを支える一方、インフレ上昇による景気の下押し懸念や、成長鈍化を通じた財政健全化の遅れが上値を抑える構図は変わりがないため、中期で方向性はつかみにくい状況が続くとみられます。
ユーロ円とポンド円のテクニカル分析
■ユーロ円:上値は185〜186円が強いレジスタンス
ユーロ円は長期的には上昇トレンドを維持していますが、185円超の高値をつけたあと勢いが鈍り、短期的には調整局面に入っています。現在は20日移動平均線(183.35円付近)をわずかに下回り、この水準が上値の重しになっています。RSIも49前後と中立圏で、買いと売りが拮抗する落ち着いた状態です。上値は185〜186円が強いレジスタンスで、ここを超えない限り上昇再開はやや難しい展開です。一方、下値は180円が最初のサポートラインで、割り込むと175円付近まで調整が深まる可能性があります。当面は180〜185円のレンジでの持ち合いが続きやすく、次のトレンドに向けた「溜め」の時間帯になりそうです。買いを狙う場合は、180円付近での反発や20日線の上抜けを確認してから判断したいです。
■ポンド円:反発局面を活かせるか
ポンド円は長期的な強い上昇トレンドの中でいったん調整を挟んだものの、現在は押し目をつけて再び上昇に向かう流れになっています。現在は20日移動平均線(211.18円:執筆時点)を上抜けており、この水準がサポートとして機能し始めているように見受けられます。RSIも50を上回って推移しており、買いの勢いが戻りつつあることを示唆しています。上値は直近高値の215円がターゲットで、その手前の213〜214円ではいったん売りが出やすいものの、トレンドが続けば高値更新を試す期待もできそうです。一方、20日移動平均線を割り込むと再び206〜207円付近まで調整する可能性があります。
【ユーロ円チャート 日足】

出典:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:EUR/JPY:180.000-185.000
【ポンド円チャート 日足】

出典:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:GBP/JPY:208.000-214.000
2026年3月23日~3月27日の重要経済指標・イベントスケジュール
3月23日(月)
24:00|ユーロ|3月消費者信頼感(速報値)
景況感の先行指標。改善ならユーロ買い、悪化なら景気不安が意識されやすい。
3月24日(火)
8:30|日本|2月全国消費者物価指数(CPI)
日銀の政策判断に直結。コアCPIの伸びが鈍化するかが焦点。
18:00|ユーロ|3月製造業・サービス業PMI速報値
18:30|イギリス|3月製造業・サービス業PMI速報値
21:30|アメリカ|10-12月期 四半期非農業部門労働生産性(改定値)
22:45|アメリカ|3月製造業・サービス業PMI速報値
米景気の勢いを測る重要指標。製造業の改善が続くかがポイント。
3月25日(水)
8:50|日本|日銀・金融政策決定会合議事要旨
利上げ後のスタンスや今後の政策運営のヒントが注目される。
16:00|イギリス|2月消費者物価指数(CPI)
インフレ鈍化が続くかが焦点。利下げ時期への思惑が動きやすい。
18:00|ドイツ|3月IFO企業景況感指数
ユーロ圏景気の方向性を示す指標。改善ならユーロの支えに。
21:30|アメリカ|10-12月期 四半期経常収支
3月26日(木)
8:50|日本|2月企業向けサービス価格指数
企業物価の動向を示す指標。サービス価格の強さが注目される。
8:50|日本|対外対内証券売買契約等の状況
21:30|アメリカ|新規失業保険申請件数
労働市場の強さを示す週次指標。増加なら景気減速懸念が意識される。
3月27日(金)
9:01|イギリス|3月GFK消費者信頼感調査
消費者心理の改善が続くかが焦点。
16:00|イギリス|2月小売売上高
個人消費の強さを確認する指標。ポンドの短期材料になりやすい。
23:00|アメリカ|3月ミシガン大学消費者態度指数・確報値
インフレ期待の動向が最重要。上振れならドル買い材料に。
一言コメント
まるで“寒の戻り”のように相場の温度感も急に変わるため、慎重に取引したい局面です。
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