主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年5月1日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼30日(火)の為替相場
(1):神田財務官 介入の有無を明示せず
(2):豪小売売上高 予想外の減少
(3):独GDP 4四半期ぶりにプラス成長
(4):根強い米賃金インフレ
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:ドル高主導の円安地合いは本日も続く/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
30日(火)の為替相場
期間:30日(火)午前6時10分~1日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):神田財務官 介入の有無を明示せず
財務省の神田財務官は、前日に円相場が乱高下したことに関して「過度な変動が投機によって発生すると国民生活に悪影響を与える。国際ルールにのっとってしかるべく対応をする」と述べた。為替介入の観測については「介入の有無について私から申し上げることはない」とあらためて語った。26日の日銀金融政策決定会合後に植田総裁が基調的な物価上昇率に対する円安の影響は大きくないとの見解を示したことについては「植田総裁がおっしゃっていることに私からコメントするのは不適切だ」として言明を避けた。
(2):豪小売売上高 予想外の減少
豪3月小売売上高は前月比-0.4%と市場予想(+0.2%)に反して減少。物価高を背景に消費者が支出を控えたと見られる。なお、同時に発表された中国4月製造業PMIは50.4(予想50.3)と前月(50.8)からやや低下した。一方で、その後に発表された中国4月財新製造業PMIは51.4と市場予想(51.0)及び前月(51.1)をやや上回った。
(3):独GDP 4四半期ぶりにプラス成長
独1-3月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比+0.2%と市場予想(+0.1%)を上回り4四半期ぶりにプラス成長となった。その後に発表されたユーロ圏4月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+2.4%と予想通りで前月から横ばいだった。食品やエネルギーなどを除いたコアHICP・速報値は前年比+2.7%と市場予想(+2.6%)を上回ったが、前月(+2.9%)から伸びが鈍化した。
(4):根強い米賃金インフレ
米1-3月期雇用コスト指数は前期比+1.2%と市場予想(+1.0%)を僅かに上回り10-12月期(+0.8%)から伸びが拡大した。賃金インフレ圧力の根強さが示されたとの見方から米長期金利が上昇するとドル買いが優勢となった。その後に発表された米4月消費者信頼感指数は97.0と市場予想(104.0)を下回り前月(103.1)から低下したが、ドルの下落は限定的だった。
30日(火)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:ドル高主導の円安地合いは本日も続く
昨日のドル/円は157円台後半へと反発。前日の日本政府・日銀による円買い介入と見られる動きで下落した反動が出た。連休の谷間の5・10日とあって仲値公示に向けて本邦実需のドル買いが観測されると157円付近へと上昇。この水準ではやや伸び悩んだものの、米1-3月期雇用コスト指数が予想を上回り賃金インフレ圧力が根強いことがわかると明確に157円台に乗せた。その後もドル高主導の展開が続き、NY市場終盤には157.84円前後まで上伸した。円買い介入をもってしてもドル高主導の円安を止める効果は小さいことがあらためてわかる動きであろう。なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)は本日、政策金利を5.25-5.50%に維持する見通しで、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長はインフレ動向を踏まえ、利下げ開始に慎重な姿勢を示す公算が大きい。ドル高主導の円安地合いは本日も続くと見ておきたい。FOMCの前には米3月JOLTS求人件数や米4月ISM製造業景況指数といった重要経済指標の発表も予定されている。158円台は29日の円買い介入と見られる動きで一瞬のうちに通過した「真空地帯」だけに、戻した場合のスピードも速いと考えられる。
注目の経済指標:FOMC
注目のイベント:パウエルFRB議長発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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