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ポンド/円・豪ドル/円の10月見通し「ドル一強の流れに変化は?」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 9月の推移
・9月の各市場
・9月のポンド/円ポジション動向
・10月の英国注目イベント
・ポンド/円 10月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 9月の推移
・9月の各市場
・9月の豪ドル/円ポジション動向
・10月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 10月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 9月の推移

9月のポンド/円相場は180.762~185.779円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約1.2%下落した(ポンド安・円高)。英国では失業率がじわりと上昇しており、賃金の高い伸びは継続したものの、消費者物価指数(CPI)の伸びはコアベースで大幅に鈍化した。そうした中で、英中銀(BOE)が予想外に利上げを見送るとポンド/円は21日に180.76円前後まで下落。しかし、日銀が22日に大規模緩和を維持したことから円安が進んだため、ポンド/円はそれ以上に下値を探る動きは強まらなかった。なお、ポンドはドルに対して月間で約3.7%下落。BOEの利上げ見送りが9月のポンド相場において売り材料になったことは事実だが、マイナス金利通貨の円に対する下落ピッチは比較的緩やかだったと言えるだろう。

出所:外為どっとコム

6日
BOEのベイリー総裁は議会公聴会で証言を行い「多くの指標は、今のところ我々が想定していた通りに推移している」「指標はインフレ率の低下が続くことを示唆している」と述べた。また、「金利についてはサイクルの頂点にかなり近付いた」との見解を示し、利上げの終了が近いことを示唆した。

11日
BOEのマン金融政策委員会(MPC)委員は「中立金利は以前よりも高くなった可能性がある」として「引き締めの行き過ぎによる間違いの方がましだ」などと述べて追加利上げを支持する考えを示唆した。

12日
英8月失業率は4.0%、失業保険申請件数は0.09万件(前回4.0%、0.73万件)だった。国際労働機関(ILO)基準の5-7月失業率は4.3%で予想通りに前回(4.2%)から上昇。5-7月週平均賃金(除賞与)も予想通りに前年比+7.8%と、3カ月連続で過去最高水準で高止まりした。

13日
英7月国内総生産(GDP)は前月比-0.5%と予想(-0.2%)を下回った。昨年12月以来の大幅な落ち込みとなったことで英経済の先行き不透明感が強まった。なお、同時に発表された英7月鉱工業生産は前月比-0.7%(予想-0.7%、前回+1.8%)、同貿易収支は140.64億ポンドの赤字(予想159.00億ポンドの赤字)だった。

20日
英8月CPIは前月比+0.3%、前年比+6.7%といずれも予想(+0.7%、+7.0%)を下回る伸びにとどまった。変動の大きい食品やエネルギーなどを除いたコアCPIも前年比+6.2%と予想(+6.8%)を下回り前月(+6.9%)から減速した。これを受けてBOEが翌日の金融政策委員会(MPC)で利上げを見送るとの観測が急浮上した。

21日
BOEは大方の予想に反して政策金利を5.25%に据え置いた。声明で「金融引き締めがより広く労働市場や実体経済の勢いに一定の影響を与える兆候が強まっている」と利上げ見送りの背景を説明。同時に発表した議事録では、据え置きが5対4の僅差で決定したことも明らかになった。カンリフ副総裁、グリーン委員、ハスケル委員、マン委員が25bp(0.25%ポイント)の利上げを主張した。その後、ベイリーBOE総裁は「インフレ率を2%の目標へと戻し、その水準で維持することが中銀の責務だ。この仕事はまだ終わっていない」と述べて利上げ再開に含みを持たせた。

22日
英8月小売売上高は前月比+0.4%と市場予想(+0.5%)に届かなかった。英9月製造業PMI・速報値は44.2(予想43.2)、同サービス業PMI・速報値は47.2(予想49.4)とマチマチだった。

9月の各市場

9月のポンド/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

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10月の英国注目イベント

ポンド/円 10月の見通し

英中銀(BOE)は9月に予想外の利上げ見送りを決定した。英政府がエネルギー価格の上限を引き下げた影響などもあって同国のインフレは鈍化基調となっている。こうしたインフレの落ち着きによって、BOEとしては景気動向を点検するための時間を確保したということだろう。原油価格の上昇などでインフレが再加速する場合や、高水準の金利でも経済が減速しない場合は利上げ再開の可能性が高まりそうだ。なお、BOEは9月の利上げ見送りを5対4の僅差で決定した。見送り支持のうち1票が意見を変えれば次回11月会合では利上げが再開される可能性がある点に留意したい。18日に発表される英9月消費者物価指数(CPI)をはじめ、17日の英9月雇用統計や20日の英9月小売売上高の結果が注目されよう。その他、20日には大手格付け会社のS&Pとムーディーズが英国の格付け見直しの結果を発表する予定。S&Pは今年4月に、英景気の下押しリスクが後退したとして格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げた。昨年10月に格付けを1段階引き下げ、格付け見通しも「ネガティブ」としたムーディーズの見解に注目したい。格上げがあればポジティブサプライズとなるが、格付け見直しの引き上げでもポンドにはポジティブだろう。10月のポンド相場は、ドルに対する上値の重さは残ると見られるが、円に対しては円安基調が続きやすい地合いの中で持ち直しの動きが見込まれる。
(予想レンジ:177.500~185.000円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 9月の推移

9月の豪ドル/円相場は93.583~96.918円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.8%上昇した(豪ドル高・円安)。豪中銀(RBA)の利上げサイクルが終了したとの観測などから上旬は上値が重かったが、93円台半ばがサポートとなり持ち直した。中国当局が金融緩和に動いて景気を下支えする姿勢を強めたことや、実際に中国の8月の経済指標が予想を上回る好結果となったことが豪ドルの支えになった。下旬には、中国の不動産セクターを巡る不安が再燃する兆しを見せたが、同国が大型連休に入ったこともあって特に大きな問題に発展することはなかった。すると28日には、豪ドル/米ドルで月末・四半期末を控えたショートカバーと見られる動きが強まった。月末最終日の29日には豪ドル/米ドルの続伸につれて約4カ月ぶりの高値となる96.92円前後まで急伸する場面もあった。

出所:外為どっとコム

5日
RBAは大方の予想通りに政策金利を4.10%に据え置いた。据え置きは3会合連続。RBAは声明で「豪州のインフレはピークを過ぎた」とした上で、「合理的な時間枠でインフレ率が目標に戻るよう万全を期すには、金融政策のさらなる引き締めが必要となる可能性があるが、それは引き続きデータと進行中のリスク評価次第になるだろう」と改めて指摘した。

6日
豪4-6月期国内総生産(GDP)は前期比+0.4%と、市場予想通りの伸びとなった。輸出や公共投資がけん引した一方、個人消費は物価高の影響などから前期比+0.1%に伸びが鈍化した(前回+0.2%)。なお、1-3月期GDPは+0.2%から+0.4%に上方修正された。

7日
豪7月貿易収支は80.39億豪ドルの黒字と、黒字額は市場予想(100.00億豪ドル)を下回った。金や石炭の輸出が減少した一方で、自動車の輸入が増加した。その後に発表された中国8月貿易収支は683.6億ドルの黒字で、黒字額は市場予想(739.0億ドル)を下回った。輸出は前年比-8.8%、輸入も-7.3%と冴えない結果となった。

14日
豪8月雇用統計は、新規雇用者数が6.49万人増(予想2.50万人増)となり、失業率は労働参加率が過去最高の67.0%に上昇したにもかかわらず予想通りに前月から横ばいの3.7%にとどまった。これを受けて豪ドルは一時買いが優勢となったが、雇用者数の伸びの大半がパートタイマーだったことからRBAの利上げ再開期待は高まらず伸び悩んだ。その後、中国人民銀行(PBOC)は預金準備率を0.25%ポイント引き下げると発表。PBOCは「引き下げは合理的で潤沢な流動性の維持を支えることが目的だ」と説明した。

15日
中国8月小売売上高は前年比+4.6%と市場予想(+3.0%)を上回り前月(+2.5%)から伸びが拡大。同鉱工業生産も前年比+4.5%と市場予想(+3.9%)以上に伸びた(7月+3.7%)。

19日
RBAは5日に開いた理事会の議事録を公表。25bp(0.25%ポイント)の利上げも検討したが、最終的に政策金利を4.10%に据え置くことを決めたと明らかにした。「最近の指標は、政策金利が現行水準にとどまる間、インフレ率が妥当な期間に目標水準に戻るという見通しと整合的」とし、据え置きの決定は、金融政策の影響が経済に浸透するまでの時間差を考慮し、これまでの引き締め効果が完全に表れるまでさらなる時間を確保する意義をメンバーが認めた結果だとあらためて表明した。

25日
中国で不動産セクターを巡る不安が再び拡大。前日には、恒大集団傘下の企業が新規債券の発行資格を満たせないと発表した。この日は恒大集団の本土部門が40億元のオンショア債の支払いが履行できなかったと発表した。

27日
豪8月消費者物価指数(CPI)は前年比+5.2%と予想と一致。前月の+4.9%から伸びが加速したものの、燃料価格の上昇が主因であり、これらの変動が大きい品目と旅行を除いたCPIは前月の+5.8%から+5.5%に鈍化した。結果的にRBAは10月3日の理事会でも政策金利を4.10%に据え置くとの見方が強まった。

28日
豪8月小売売上高は前月比+0.2%と2カ月連続のプラスとなったが、市場予想(+0.3%)には届かなかった。物価高や金利上昇を受けて消費者が支出を控えた。

9月の各市場

9月の豪ドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

10月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 10月の見通し

豪中銀(RBA)の総裁が、ロウ氏からブロック氏に交代して初めての会合となった10月3日の理事会では、大方の予想通りに政策金利は4.10%に据え置かれた。声明文にも大きな変更は見られず、最終段落の「インフレ率が妥当な期間内に目標に戻ることを確実にするためには、金融政策のさらなる引き締めが必要になる可能性があるが、それは引き続きデータとリスク評価の進展に依存する」との一文も前回と一言一句同じだった。ブロック氏もロウ前総裁と同じく、インフレよりも景気を重視しがちなハト派志向の総裁と見て良さそうだ。豪州のインフレがRBAの見立てに沿って鈍化基調にあることを考えると、近く利上げが再開される可能性は低そうだ。かといって、豪州景気は底堅さを維持しており、近い将来にRBAが利下げに転じる公算も小さい。豪ドルは10月も、年内の追加利上げの可能性が残るドルに対しては軟調推移が予想される一方で、マイナス金利の継続が見込まれる円に対してはやや強含む展開が続きそうだ。豪ドル/円は上値抵抗と見られる97.00円付近と、下値支持と目される93.00円付近の間で推移するだろう。
(予想レンジ:93.000~97.000円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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